表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒い光に照らされて。  作者: ユウソン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/38

第三十四話 vs五島悟(その1)

「名探偵だって?漫画や映画みたいに俺を頭脳で倒すのか?あぁ?」

拳をぶん回して突進してきた五島に距離を取る。

俺は上着を五島にかけて目眩しをする。

以前藤沢康介にされた事を思い出して使った。

「あ?」

一瞬そう聞こえた気がするが、上着が空を切る音でよく聞こえなかった。

そのまま顔面に膝蹴りをぶち込む。

「ゴアっ!」

そう言って五島は倒れ込んだ。

上着を剥いで立ち上がり俺を睨む。


「お前の住処には映画や漫画があるんだな。媒体はなんだ?バナナの皮か?」

そう言って鼻で笑う。

「ゴリラぐらいしかレパートリーねぇのか?」

五島はそう言いながら血が混じる唾を吐き出した。

「コイツは失礼。まだまだあるぜ。少し進化しようか?ネアンデタール人。」


「舐めやがって。」

そう言って俺の方に向かって歩く五島。


「舐めてんのはテメェだよ。」

背後からの声に振り向いて確認しようとした瞬間、ボディからアッパーをぶち込まれ倒れた五島。

後輩が仁王立ちしている。

「挟まれてる事忘れてんじゃねぇよ。アナンタール人?」


「惜しい。70点。ネアンデタール人だ。」

俺は思わず突っ込んだ。


五島は飛び起きて、後輩に頭突きを仕掛けるが、交わされてカウンターのフックをもらう。

地面に手を付いた。

おそらく、視界が揺れているのだろう。


「頭突き勝負は、頭脳戦にはいらねぇぞ。」

先ほどの煽り文句を、地味に返された五島のプライドはボロボロだ。

「お見事。」俺はそう言って拍手をしたが、ギプスのせいで上手く音が鳴らない。


「ダハハハ!やっぱりお前らおもしれぇな!」

そう言うと五島は立ち上がり様に後輩の喉元にラリアットをかます。

ガードは間に合ったが、ぶっ飛ばされて車に激突した。

空を舞う後輩に視線を奪われているうちに五島は俺との距離を詰めていた。

「ブースターでも付いてんのかテメェ!」

急いで応戦するものの、フィジカルでは圧倒的に上をいく五島のほうが速い。

俺は掌底打ち(?)を腹部に喰らいぶっ飛ばされた。

距離を取って移動していたせいか、俺はそこそこ壁際まで来ていたらしい。

ガッシャーン!!

窓ガラスをぶち抜き外に出された。

「グハァ!」

ヒビの入った肋骨に追撃を喰らい思わず蹲る。

五島はガラスの割れた窓を開けてそこから外に出てきた。

そして俺の頭を踏みつける。

「ぐっ!」

まるで重機だ。

「おら。頑張れ!」

じわじわと体重を掛けてくる。頬骨がピキッと音を鳴らす。

力で対抗しようにも、ビクともしない。

俺はポケットからボールペンを取り出して、体を捻りながら俺を踏み付ける足に刺した。

「ぐあぁあ!」

五島は脚を抑えながらしゃがみ込んだ。その隙に脱出する。


「探偵って事忘れたか?聞き込みに紙とペンは必須だぜ。」


五島は足首を摩っている。

「いってぇ。お前、見かけによらず凶暴だなオイ。」

そうしていると後輩も倉庫から出てきた。


五島と俺達はジリジリと距離を測りながら移動していた。

突然倉庫の方から銃声が聞こえた。

一瞬、視線が倉庫側に奪われ、すぐに戻したが、五島はそれを見逃さなかった。

前蹴りが飛んでくる。

ガードは間に合うが、やはり体格差からかぶっ飛ばされて、3回転ほど地面を転がった。

後輩は、五島と同じタイミングで距離を詰めるも、

五島はすでに体勢を直し、後輩に応戦。

後輩はローキックを打つが、ガードされる。

蹴りを出した脚を戻し、瞬時にミドルキックを打つが、捕まってしまった。

五島はそのまま後輩を振り回す。


「うおらぁ!!」

俺の方へ後輩が飛んで来た。

避ける暇もなく、俺は後輩を受け止める。

その瞬間にまたしても五島の前蹴りを喰らう。

「ぐえ!」「ぐふっ!」

俺達はゴミの山に突っ込んだ。


「掃除完了ってところか?ダハハ!」

手をパンパンと叩いて笑う五島。

その顔面に向かって瓶ビールが飛ぶ。

周囲が暗く、飛んで来た事に気付かずに口元に被弾した。

「うごっ!」

そう言って口元を押さえる五島に向かって後輩が飛び出した。

後輩は飛び上がり、五島の頭を掴んで、空中で顎に膝蹴りを打ち込んだ。

「だっ!」

そう短く声を上げて五島は倒れる。


俺は起き上がり、援護しようと走り出すが足元が引っ掛かり転んだ。

「あ痛で!」

何かに脚を取られた。何事かと足下を見ると、

ロープに足が潜っていた。

ふと、ゴミの山を見上げるとここは粗大ゴミが集まる山が出来ていた。

さっきの瓶は、目の前の冷蔵庫の中から転がった物のようだ。

ロープを手繰る。そこそこの長さだ。

(コレ、使えそうだな。)

そうして、ロープを身体に巻き付け先に輪っかを作る。自分が扱いやすい長さに調整して、後輩の援護に入る。

後輩は、五島と一進一退の攻防を繰り返していた。

俺は、後輩の視野に入るように回り込み、膝裏に蹴りを入れる。

瞬時に俺の攻撃を分析して、それに対しアッパーを合わせた。

膝裏を蹴られ、頭が下がったところにカウンター気味にアッパーを喰らった五島は、地面に手を付く。

その瞬間に、足にロープを絡ませて、一気に縛り上げた。そして、身体に巻き付けたロープを解き、俺は距離を取る。

後輩は、しゃがみ込んだ五島の脇腹に、蹴りを入れた。

五島はそれを防ぎ、立ち上がる。

そして、後輩との距離を詰めるために踏み出した。

その瞬間にロープを引く。

五島の踏み出した足は空を切り、そのまま後方へ。

倒れ込んだ瞬間にまたしても、後輩の膝が顔面にヒットした。

「よっしゃぁ!」

脚のコントロールを握った。

「この勝負貰ったぜ!」

そう叫んだ瞬間に五島はロープを掴み引っ張った。

俺は、力負けし倒れ込む。ロープを回収された。

後輩がまた仕掛けるも、ロープをムチのようにして、牽制した。

ロープがビュンビュン音を立てて、地面をバチンバチンと打つ。

「コイツは良いな。」

五島はニヤリと笑い、曲芸の様な動きでロープを振り回す。

だが、そうなっても良い様に俺は手を打ってある。

両ポケットからビール瓶を取り出して、1つを五島の顔面に、もう1つを高く投げて、距離を詰める。

五島は顔に飛んで来た瓶を弾き飛ばし、突っ込んでくる俺に狙いを定め、ロープを振った。


俺は被弾覚悟で潜り込む。

ロープは俺の身体を2周ほど巻き付いて落ち着いた。

その瞬間に後輩が投げた瓶を掴み、そのまま五島の頭に叩き込んだ!


五島はまたしても膝を着く。

俺はまた、ロープを引き、五島の足を掬って転ばせた。すかさず後輩が顔面を踏み付ける。

しかし、ダメージを受けたのは後輩の方だった。

「ぐあっ!」

足を押さえ込んで倒れた。

(何があった?)

良く目を凝らすと、五島の手元がギラリと光を反射した。

ナイフだ。

五島は起き上がり、足に巻かれたロープを切った。

大きなため息をついて首のストレッチをする。


「お前ら“も”そろそろ殺してやるよ。」


ただの脅し文句だったが、俺の中で引っ掛かった。

「も?」

(こいつ、殺しの経験があるのか?やべぇな。)


「あぁ。最近のだと、夫婦を殺したな。泣き叫んでばっかりでつまらなかったよ。女の方は少し遊んだけどな。」


心臓が跳ね上がった。


「お前……まさか…」


五島は俺を見てニヤリと血だらけの顔を向けて言う。

「そう言えば、その女はどっかの探偵と会ったばかりだったかなぁ。ヒャハハ!」


全身が沸騰する様に熱い。

(コイツが!こんな奴が!こんな奴の為に!)

俺は怒りで頭が真っ白になる。


「五島ァア!!」


ゴミ処理場に響く俺の怒号は反響し、それを合図に走り出す。

(コイツだけは!コイツだけはぶっ殺す!)

俺は冷静じゃ無かった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ