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鮮烈なる対人戦

遅れました。いやぁ、某鳥頭半裸が飛び跳ねる小説を読み直していたらいつの間にかこんなに時間が……。あと私用があってぇ……


それはそれとして、対人戦が始まります。

追記:最後の対人戦で人数ミスってたので直しました。銃と剣の人はそのうちどっかの神殺しで出します。ほんとすいません……

「さぁやるぞ。準備はいいか?用意、初め!」

 管理人さんの合図で一斉に二つのグループが動き出した。大混戦、と言ったところだろうか。魔法の光が見えたり、剣が交えられる音が響いたりしていた。

 ……神と戦ってるときとはやっぱり全然違う戦い方だ。

 フェイントを掛けたり、足元を狙ったり、首や鳩尾など一撃で相手を行動不能にできるところを狙おうとしている。動きの阻害、騙し合いなど、なんでもありの戦い方らしい。

 ……そういえば、ツバキはどこにいるんだろ。

 視線をうろうろさせてあの艶やかな黒髪を探すとすぐに見つかった。槍のようなものを持って戦っているが、槍とは刃先の形状が違うように見える。初めて見る武器だ。よく分からないけどとりあえず槍ということにしておこう。それと私と同じように腰に小さな刃物も持っていた。

 ……ん?でもあれ、ナイフじゃない。片刃だから、カタナなのかな。

 小さな体躯だから対人戦では不利になりそうだと思っていたが、気づけばさっきまで目の前にいた相手の背後に回っていたり、喉元や胸に刃を当てて、相手を投了させている。身体が小さくて身軽であるということを差し引いても人間離れした速さだった。どうなっているのだろうか。

 ……全然何してるのかが見えない。

 動体視力はそこそこ良かったはずだが、どこに移動したのかが見えても何をしたのかが見えない。まるで舞踊を見せられているようだった。


 しばらく見入っていると、ツバキの相手となっていたグループが全員投了した。

 ……これで対人戦は終わりかな?

 と、思っていたが、今度は仲間内で戦闘が始まった。ツバキと同じグループだったかみさまの殺し屋がツバキを囲う。

「あれ、まぁたボクから?ま、そりゃそうだよね〜、正しい判断!」

 囲まれているというのに当の本人は全く気にしていない様子だった。それどころか紅を引かれた唇は弧を描いていた。

「でも、そう簡単にボクには勝てないよ!」

 数の暴力、という言葉が生きていた間はあったが、ここではそれが通用するかは怪しい。ツバキはそれを正に体現していた。

 ……ルベリアと一緒に戦ってたって言ってたし、ルベリアもこれくらい強いのか……。

 ツバキが飛び上がり、いくつもの刃物らしきものを投げる。他のかみさまの殺し屋に当たって致命傷とかになりはしないかと不安になったが、それが飛んだところに防御魔法が作られて弾かれる。ツバキはそれが予想できていたのか、気にも留めずに包囲網の外に降りた。

 ……なんだろ、あの刃物みたいなの。

 短剣のような見た目ではなかった。見慣れない武器が多い。やはり生まれた場所が違うからだろうか。

「包囲網が薄すぎだよ〜。これくらいだと簡単に飛び越えられちゃう!」

 でもさっきの防御魔法は良い判断!と言って向かってくるかみさまの殺し屋を軽くいなす。

 ……いや、普通は飛び越えられたりはしないと思う。

 さっきの包囲網は三重くらいあったはずだ。しかもほぼ全員がツバキよりも大きい体躯をしていた。少なくとも普通では飛び越えることもできないし、打開することもできないはずだったのだが。

 と、そこでツバキの背後に回って攻撃を仕掛けた者がいた。

「おぉっと!」

 攻撃が当たる直前にツバキは避けて足払いをかける。背後の取り方は充分良かったし、他のかみさまの殺し屋たちのツバキの意識を持っていくという連携は見事なものだったが、まるでそれすら全て見えていたようだった。

「ボクみたいな厄介な相手だと一人で特攻は危ないよ〜!」

 背後を取った相手を投了させて、すぐに新手の対応に戻る。鮮やかな身のこなしだった。槍を振って近くにいたかみさまの殺し屋を散らす。

「距離が近すぎ!人間って操られてる状態だったらどんなことでもしてくるんだからね!そんなに近いと今頃胸ぐら掴まれて刃に向かって押さえつけられてたよ!」

 なんて物騒な。神に取り込まれたらそんなことも躊躇なくやるのか。

 ……まぁ、理性も奪われてるんだしやるか……。

「ま、ボクはそんなに美しくない戦い方しないけどね!」

 誤解されては堪らないと言ったような声色でツバキが言う。確かに今見ている以上美しい戦い方をしているような気がするが、周りにいたかみさまの殺し屋の反応から見るにそうでもなさそうだ。

 一旦距離を取っているからか、ツバキも他の人も気が緩んでいる空気感だ。だが、そういうのが対人戦では命取りになるのではないだろうか。


「さーて、そろそろ戦いに戻ろっか。あんまり喋ってるのも休憩みたいになっちゃって良くないしね。ちなみにさっきの間に本当だったら三人くらい殺されてると思うよ」

 ツバキの言葉で一瞬でピリついた空気に戻る。全員がどこから攻撃が飛んできても対応できるように構えた。

 ……ツバキも他の人たちも奇襲を仕掛けなかったのは意外だな。

 ツバキが仕掛けないならまだしも、他の人が仕掛けないのはちょっと不思議だ。奇襲をかけておけば気を取らせることもできるし、油断から思ったより上手く攻撃が当たることだってあるはずだ。

 ツバキが槍を雑に握り、真正面からぶつかりに行く。さっきの戦略的な戦い方とは打って変わった無謀な戦い方だ。一体何が目的だろうか。

 ……あの入り方だったら、すぐに仕留められるんじゃないの?

 だが案外、ツバキを仕留めたような感じは見たところしない。どうなっているのだろうか。完全に囲まれている以上、そう簡単に避けたり防いだりすることもできないだろう。

 塊をよく見ていると、槍の柄の部分で後ろにいる相手の肩を押してバランスを崩し、その後すぐに目の前にいた相手を攻撃している。やっていること自体は単調でも、目の前にいた人が倒れることで連携が崩れていく。

 仕留めることは出来なくても相手の動きを邪魔するという点ではとても強い手だ。

「取り込んだ神によってはこうやって力任せに飛び込ませる奴もいるからね!」

 人数が少ないところから崩していって、完全に囲まれていた状況から脱した。やはりルベリアとは違って身のこなしや戦い方をしっかり考えている人だ。

 ……その場で戦い方を考えてるっていうか、染み付いてるって言った方が正しいような判断スピードな気がする。

 残るはあと四人だ。ここからはどんな戦い方になるのだろうか。

「うーん、あとは四人かぁ。じゃあ普通に戦おう!」

 魔法使いらしき人と剣士と弓使いと槍使い。遠距離、中距離、近距離、補助と丁度揃っている。

 ……全員の息が合うかは別として、結構上手くやれるんじゃないかな?

 ルベリアみたいに力任せになぎ倒していくタイプじゃない以上、そこそこ戦えると思う、多分。ツバキは普通に、と言っているがここまで見ていてずっとツバキは教育のための戦い方をしていた。つまりここからがツバキの普段の戦い方になるということだ。

 ……うーん、でも模擬戦の初めの方も普通にやってたのかな?

 その辺は本人に聞いてみないとわからない話だ。


 ツバキの普通の戦いが始まってから、残っていた五人は上手く連携が取れているようだった。ツバキからの攻撃を防御魔法で弾き、正面から剣士が攻撃を仕掛ける間に、槍使いが後ろから攻撃を仕掛けようとする。だがそれは先程のようにうまくかわされる。と、そのとき、防御魔法を使った魔法使いの後ろから弓が三本撃たれた。

 ……他の処理に意識を持っていかせる作戦か。

 手強い相手には手数で上回るのが定石だが、ツバキにそれは通じるのか。さっきまでの戦い方が手抜きというか、教育用のものだったとしたらここからの戦い方はツバキにとっての普通の対人戦のこなし方になるだろう。

「処理する攻撃が多すぎて危うく直に受けちゃうところだったよ!」

 ツバキが矢の軌道を読んで上手く避ける。槍を使って防ぐのかと思いきや、それをしなかったのには意図があったのだろう。矢の軌道は正面から仕掛けてきていた剣士に向いている。

 ……なるほど。確かにそれだと防ぐより避けるほうが逆に相手の隙を作れるのか。

 剣士はなんとか矢を避けて、体勢を立て直そうとしている。その間に槍使いはツバキに喉元に槍を向けられて投了していた。

 ……あと三人だね。

 次はどう仕掛けるのだろうか。ツバキの出方もそうだが、それ以上に三人の出方も気になる。さっきの連携が駄目なら、他にどんな出方をするのか。それとも諦めるのか。

「やっぱり遠距離攻撃って苦手だなぁ……!」

 苦手、と言いつつも相手の攻撃を逆手に取った動きをしている時点で世間的に言われる苦手の部類には入っていないような気がする。気がするというか、そうだと思う。

 中距離が落とされたことによって次に狙われるのは誰だろうか。補助か、遠距離か、それとも近距離か。私なら先に遠距離を処理したい。近距離は確かに危険だが、それ以上に背後から狙ってくる可能性のある遠距離の方を警戒したい。

 今気づいたのだが、どこを見ても魔法使いが見当たらない。どこに行ったのだろうか。

 ……水平に見てもいないといってことは、上?

 見上げると、魔法使いが飛んでいる。スフィーさんもやっていたような飛行の魔法だろう。すごく便利そうだから使えるようになりたいが、それはまた別の話だ。魔法使いが攻撃の構えをする。

 どうやら攻撃の本命はこっちだったらしい。

 ……ここでツバキに警告をするのは、なんか野暮な気がする。

 というか、ツバキのことだからもう気づいていそうだ。それに、気づいていなくても対応できそうだ。

 強い赤の光が放たれる。

 ツバキが真上に槍を投げて逃走する。

 ……武器を手放したけど、もしかしてあの腰に付けてた短剣で戦うつもり?

 投げられた槍は撃たれた魔法をすり抜けて魔法使いに真っ直ぐ向かっていく。そして魔法使いがその槍を奪う。いくら短剣を持っていても主武器を捨てるのはかなり不利になるだろう。ツバキはどうやって戦うのだろうか。

 魔法使いが空中から降りて、奪った槍を構える。それを援助する形で後ろに弓使いが着いた。剣士もそれに合わせる。

 ツバキは腰に付けていた短剣を持った。

「さ、いくよ」

 ツバキが低姿勢で駆け出す。弓使いが狙撃出来ないようにだろうか。剣士の攻撃も魔法使いの槍も避け、弓の弦を切った。

「はい、これで二対一」

 確かに近距離戦で、しかも狙える余裕があるほど動きを止めないなら弓使いは実質死に状態だ。手出しが全くできない。早々に狙われて落とされるのは必然だろう。

 ……近距離がピンチのときの最終手段って訳でも無さそうだね……。

 目に見える遠距離攻撃は消えたが、魔法使いがどう出てくるかによってかなりここから変わってきそうだ。槍をツバキに返しても不利になるだろうし、この状態で魔法使いが槍を持っていても全力は出せなさそうだ。

 ……それにしても、魔法使いの槍の使い方、重心が全然ブレてなかったな。もしかして、魔法以外の武器として槍使ってる?

 全く槍を使ったことのない人とは思えない姿勢と振り方だった。少なくとも、武器に身体が持っていかれる、なんてことは起きていなかった。

「流石〜!ちゃんと薙刀の扱いもできるみたいだね!」

 今にも拍手でもしそうな声色でツバキが魔法使いを褒める。どうやらあの槍っぽい武器はナギナタ、と言うらしい。

 ……そんな名前だったんだ、あの武器。

 それにしても余裕綽々な態度だ。ナギナタを捨てて短剣で戦うことも計算のうちだったのだろう。次は二人のうちどちらを狙うのだろうか。ツバキの今持っている武器はどちらと比べてもリーチが短い。それでも楽なのは普段自分が使っているナギナタの方だろうか。

 ……自分の使ってる武器なら間合いも測りやすいと思うし、そっちからかな。

 と、思っていたがツバキは思い切り剣士の方に向かって走っていた。先に剣士を投了させるつもりだろうか。それを阻止するように魔法使いがナギナタを振る。

「よっ……と!」

 しかしツバキは振られたナギナタの峰の部分を足場にして跳躍した。剣士はどこからツバキが降りてくるのか警戒している。だが、ツバキは剣士の方には降りてこなかった。

「はい、キミもここで退場だよ」

 魔法使いの後ろに着地し、その首筋に短剣を添えていた。

 ……見失わせて相手の予測と真反対のことをするとは。

 その状況判断と戦略は流石としか言いようがない。あとは剣士1人だ。魔法使いが投了してナギナタは置いていかれたが、ツバキはそれを持たずに剣士に向かい合う。

 地を蹴り、恐ろしいスピードで剣士との間合いを詰める。剣士は致命圏内にツバキが入り込めないように剣を構えようとしたが、それよりもツバキの踏み込みの方が速かった。

 音も無く首筋には短剣が添えられた。

「終わりだよ。君は下半身がガラ空き、あれだと今みたいにすぐに間合いを詰められちゃうから、気をつけてね」

 かくして、対人戦は幕を閉じた。

ツバキ、私がとても好きなキャラです。次の神殺しはいつにしようかな……

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