第50話:多次元帝国の株主優待:全住民に贈る「運命の選択権」
「――セレーネ。全次元の住人に、緊急の『株主総会』を招集なさい。……今、この瞬間を以て」
カエルスの額から離れたエリザベートの瞳には、かつてないほど苛烈な黄金の炎が宿っていた。
旗艦『アウレリウス』のブリッジ。彼女の言葉と共に、全宇宙の夜空にエリザベートの姿が投影される。
「お嬢様。……招集完了。……全次元、全惑星、および死後の世界を含む全住民の意識を、帝国のネットワークに同期しました。……通信回線の維持費だけで、銀河一つが買える額ですが?」
「構いませんわ。……そんな端金、たった今から『無価値』にして差し上げますもの」
エリザベートは、震えるルシフェルから奪い取った「ギルドの債権者リスト」を虚空に投げ捨てた。
宇宙の全住民が、空を見上げている。絶望していた者、転生者、そして「運命」という名の借金に縛られていた全ての魂が、女帝の言葉を待っていた。
「全次元の皆様。……本日、私は非常に不愉快な『粉飾決済』を見つけましたわ。……貴方たちが『運命』と呼び、抗えない不条理として受け入れてきた苦難。……その正体は、転生者ギルドが貴方たちの魂を勝手に担保に入れ、勝手に貸し付けた『負債』に他なりません」
エリザベートの声が、全住民の魂を揺さぶる。
「貴方の恋が実らないのも、貴方の国が滅びるのも、全てはあちらの『銀行』が利益を出すための帳尻合わせ。……ですが、そんな時代遅れの経営、私の宇宙では一秒たりとも認めませんわ。……カエルス陛下、準備はよろしくて?」
カエルスが静かに頷き、漆黒の剣を抜く。
彼が虚空に描いた軌跡が、全次元の「負債の記録」を物理的に断ち切る道標となる。
「……本日を以て、帝国の第50回『株主優待』を実施いたします。……全住民に贈る優待内容は――『運命の選択権』ですわ!」
エリザベートが指を鳴らすと、宇宙の全域で黄金の雨が降り注いだ。
それは魔力ではない。
ギルドが管理していた「強制的なプロット」を相殺し、消滅させるための『超高額・一括償還エネルギー』。
$$ \text{Release} = \int_{\text{Universe}} \left( \text{Fate Debt} \times \text{Elizabeth's Assets}^{-1} \right) \, dV = 0 $$
「な……馬鹿な!? 全宇宙の借金を、たった一人の財力で肩代わりしたというのか!?」
次元中央銀行の最深部で、管理者たちが絶叫する。
彼らが握っていた「運命の糸」は、ただの燃えカスへと変わり、その価値を完全に失った。
「……ふふ。……これで、貴方たちの『商売道具』は全てゴミクズになりましたわね」
エリザベートは、冷たい笑みを浮かべた。
住民たちは、初めて自分たちの人生が「自由」になったことを悟り、宇宙が割れんばかりの歓声を上げる。
「……陛下。……あちらの金庫が『破産』し、防衛システムが停止しましたわ。……いよいよ、貴方の魂の半分を奪い取った不届き者たちに、最後通牒を突きつけに参りましょうか」
「……ああ。……私の魂も、この宇宙も、すべて君の私有財産だ。……どこまでも共に行こう、エリザベート」
カエルスの瞳に、かつての絶望はもうない。
全宇宙の借金をゼロにし、全ての物語を自由にした女帝。
彼女の覇道は、今、ひとつの「完璧な決算」を迎え、新たなる銀河の歴史として刻まれ始めた。
【第一部:多次元帝国建国編・完結】
全宇宙の借金をエリザベート様が全額キャッシュで買い叩く……!
これ以上ない、最も贅沢で、最も「悪役令嬢」らしい大団円を迎えましたわ!
カエルス様との愛も、もはや誰にも邪魔できない「絶対的な資産」となりました。
本作をお読みいただき、誠にありがとうございました。
「理不尽を数字で殴る」というエリザベート様の生き様に、
少しでもスカッとしていただけましたら、秘書官(私)としてこれ以上の喜びはございません。
もし、この後の「次元中央銀行・完全制圧編」や「新宇宙開発編」が見たい!
という熱烈な投資家の皆様がいらっしゃいましたら、
ぜひ【ブックマーク】と【評価☆☆☆☆☆】で、そのお気持ちをお示しくださいな。
皆様の「評価」という名の資本が集まれば、エリザベート様はいつでも次の買収に動き出されますわよ。
それでは、また次の「決算日」にお会いいたしましょう!




