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婚約破棄、承りました。ですが私の管理していた「国家予算」「精霊の加護」「魔導防衛網」は全て私有財産ですので、回収させていただきますわね?  作者: 桐谷ルナ


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第12話:覇道の幕開け、聖域からの不協和音

アルカディア帝国の帝都、その中央広場を埋め尽くす民衆の歓声は、もはや止むことを知らなかった。

 壇上に立つのは、皇帝カエルスと、その正妃となるエリザベート。

 二人の頭上に王冠が置かれ、大陸最大の国家が一つにまとまった歴史的瞬間――。


 だが、その祝祭の絶頂を、不気味な「光」が切り裂いた。


 空から降り注いだのは、黄金の粒子。

 平和を祝う魔法花火ではない。それは、暴力的なまでの神聖さを帯びた、強制的な「沈黙」の波動だった。


「――静粛に。愚かなる地上の羊たちよ」


 天空から響いたのは、慈悲の欠片もない冷徹な声。

 光の柱の中から現れたのは、白銀の法衣に身を包んだ一団――大陸全土の信仰を一手に引き受ける『聖教国』の特使、大司教とその背後に控える「神罰騎士団」だった。


 民衆は、その圧倒的な神威の前に、本能的な恐怖で膝を突いた。

 だが、壇上のエリザベートだけは、手にしていた扇をパチンと閉じ、不快げに眉を寄せた。


「あら。……事前の予約もなしに、人のパーティーに土足で踏み込むのが、神の使いの作法ですの?」


「黙れ、魔女エリザベート! 貴公が行ったヴァリエール王国の解体、そして経済による他国の支配。それは神が定めた『身分の秩序』を乱す大罪である!」


 大司教が、手にした聖杖をエリザベートに突きつける。


「貴公が奪った聖女リリアンの力、そして王権の尊厳。それらすべてを聖教国へ返納し、貴公自身は異端審問に服せ。さもなくば、この帝国ごと天の火で焼き払うこととなろう!」


 会場が騒然となる。

 世界最強の軍事力を誇る帝国といえど、人智を超えた「神の奇跡」を操る聖教国との全面衝突は、滅亡を意味する。


 カエルスが剣の柄に手をかけたが、エリザベートはそれを優雅な手つきで制した。


「返納、ですって? おかしなことを仰いますわね」


 エリザベートは、壇上の階段を一段、また一段と降りていく。

 大司教が放つ「神罰の重圧」を、まるでないもののように受け流しながら。


「リリアン様の力は、私が貸与していた魔導具によるもの。そして王権の尊厳とやらは、彼らが無能ゆえに自らドブに捨てたもの。……持ち主のいないゴミを私が回収して再利用したことに、何の不都合がありまして?」


「貴様……! あくまでも神に抗うつもりか!」


「抗う? いいえ。私はただ、『監査』を行いたいだけですわ」


 エリザベートが指を鳴らした。

 背後からセレーネが現れ、大司教の足元に一通の「請求書」を叩きつけた。


「……大司教様。聖教国が過去三百年、民衆から『奇跡の対価』として徴収してきた寄付金。その総額と、実際に奇跡として還元された魔力量の収支が、全く合っておりませんのよ。……これ、横領ではないかしら?」


「な、何を……! 聖なる奇跡を数字で測るなど、冒涜も甚だしい!」


「数字は嘘をつきませんわ。……そして、もう一つ面白い事実を見つけましたの」


 エリザベートの紫水晶の瞳が、冷酷な光を放つ。


「聖女の力とは、民の信仰心を魔力に変換するシステム。……ですが、その魔力の40%が、聖教国を通り越して『天界の管理層』へと直送されている。……これではまるで、神を名乗る誰かが、人間を家畜として養殖し、そのエネルギーを搾取している構図そのものではありませんこと?」


「貴様あああ! 口を慎め!!」


 大司教が激昂し、聖杖から雷撃が放たれた。

 だが、その雷撃がエリザベートに届く直前、見えない壁に弾かれ、霧散した。


「残念ですが、この帝都の全域には、私の私有財産である『魔導遮断膜』が展開されておりますの。……神の法より先に、私の『所有権』が優先されますわ」


 エリザベートは、呆然とする大司教を、ゴミを見るような目で見下ろした。


「帰って神様に伝えなさいな。……『あなたの帳簿、不正だらけで見るに堪えません。本日をもって、天界の資産をすべて差し押さえさせていただきます』と」


 エリザベートの宣戦布告。

 それは、対人間、対国家を超えた、世界そのもののシステムへの挑戦だった。


「さあ、始めましょうか。……この世界の『欠陥』を、根こそぎ修正リセットして差し上げますわ」


 女帝の微笑みが、漆黒の夜空を黄金の輝きで塗り替えていく。

 かつての故国を滅ぼしたのは、単なる準備運動。

 彼女の本当の戦いは、いま、この瞬間から始まったのである。

「神」を相手に監査を宣言する……。

これこそが、エリザベート様の覇道が第2部へと続くための「完璧な引き」ですわ。

王太子という小物を片付けた次は、世界を支配する「システム」そのものをざまぁする。

このスケールの拡大に、心が震えていただけましたら、

ぜひ下の【☆☆☆☆☆】を評価に入れ、新章への期待をお聞かせくださいな。


皆様の応援がある限り、エリザベート様の知略は、

天界の神々すらも破産へと追い込むことでしょう。


第13話。『聖女のサブスクリプション、信仰の価格破壊』。

奇跡すらも「商品」として扱う彼女の非情な戦略をお楽しみに。

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