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『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、10人の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』  作者: マサキ


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第9話:夏休み最後の日。夕暮れのチャペルと、11人の約束

第9話:夏休み最後の日。夕暮れのチャペルと、11人の約束


カレンダーの最後の一枚……ではなく、八月の最後の一日が、ついにやってきた。

昨日までの「宿題合宿」の喧騒が嘘のように、屋敷の中は静まり返っている。

窓の外では、行く夏を惜しむようにツクツクボウシが鳴き、空は秋の気配を帯びた高い青へと変わろうとしていた。

「……終わっちゃうんだな、夏休み」

僕は、中庭を見下ろすバルコニーで独りごちた。

この一ヶ月、僕の人生は180度変わった。

ボロアパートでの独り暮らしから、10人の美女メイドに溺愛される毎日へ。

そして、そこに乱入してきた幼なじみの美波。

「健太……」

背後から、少し遠慮がちな声がした。

振り返ると、そこにはいつもの強気な表情をどこかに置き忘れてきたような、美波が立っていた。

「美波? どうしたんだよ、そんなしんみりした顔して」

「……別に。ただ、明日から学校でしょ? あんた、また寝坊したり、お昼ご飯忘れたりしないかなって、ちょっと心配になっただけ」

美波は僕の隣に並び、手すりに肘をついた。

西日が彼女の横顔をオレンジ色に染め、その瞳に小さな寂しさが宿っているのが見えた。

「大丈夫だよ。……結衣や陽葵たちが、至れり尽くせりやってくれるからさ」

「……そうよね。あんな完璧なメイドたちがいたら、私の出番なんて、もうないわよね」

美波の声が、微かに震えた。

彼女は、僕がこの屋敷に来てからずっと、自分の居場所を探していたのかもしれない。

「幼なじみ」という、過去の絆だけを武器にして。

「……ねえ、健太。最後に一つだけ、お願い聞いてくれる?」

「お願い?」

「この屋敷の裏にある、古いチャペル……二人だけで、行かない?」

美波の、必死の勇気を振り絞った言葉。

「二人だけで」という響きが、僕の胸を締め付けた。

「……ああ、行こう。最後の日くらい、ゆっくり話そうぜ」

僕は美波の手を取り、メイドたちの目を盗むようにしてバルコニーを後にした。

---

屋敷の敷地の奥、木々に囲まれた小高い丘の上に、その小さなチャペルはあった。

石造りの壁には蔦が絡まり、ステンドグラスが西日に照らされて、宝石のように輝いている。

「……綺麗ね」

「ああ、本当に。こんな場所があったなんて知らなかったよ」

僕たちが並んで座ると、ステンドグラスから差し込む七色の光が、僕たちの体を包み込んだ。

「健太……。私ね、本当はあんたが遠くに行っちゃうのが、怖かったの」

美波が、僕の肩にそっと頭を預けてきた。

「あんたが急にこんなお城みたいなところに住んで、綺麗な女の人たちに囲まれて……。もう、隣の部屋の壁を叩いても、あんたの返事がないんだって思ったら、夜も眠れなかった」

「美波……」

美波が顔を上げ、僕を真っ直ぐに見つめた。

その距離、わずか数センチ。

彼女の潤んだ瞳が、僕の唇へと引き寄せられていく。

「健太……私、あんたのこと――」

あと一歩で、彼女の想いが言葉として溢れ出そうとした、その瞬間だった。

**『――そこまでですわ、美波様』**

静寂を破る、凛とした、けれど慈愛に満ちた声。

チャペルの入口を振り返ると、そこには夕日を背負った、10人のメイドたちが並んでいた。

「結衣!? ……みんな、いつからそこに!」

「ご主人様がバルコニーを離れられた瞬間から、すべて把握しておりますわ」

メイド長の結衣が優雅に歩み寄り、祭壇の横に立った。

志保、陽葵、莉奈、そして他のメイドたちも、僕たちを囲むように円陣を作る。

「ちょっと! せっかくいいところだったのに! あんたたち、無粋よ!!」

「ダメですぅ、健太様! 夏休み最後の日を、美波さんと二人きりで終わらせるなんて、陽葵、寂しくて死んじゃいますぅ!」

「……。美波様。貴女の想いは十分に伝わりました。ですが、私たち10人も、ご主人様への愛においては、一歩も引くつもりはございません」

志保が眼鏡を外し、瞳に熱い独占欲を宿して僕を見つめた。

「健太様。……本日は夏休みの最後。ならば、ここを**『新しい誓い』**の場所にいたしましょう」

「誓い……?」

「はい。明日から学校が始まっても、季節が変わっても。……私たちは永遠に、健太様だけの専属メイドであり、貴方を溺愛し、支え続ける伴侶であるという誓いです」

莉奈が僕の首に腕を回し、陽葵が僕の膝に顔を埋める。

「美波様。……貴女も、含めてです」

結衣が美波に向かって、優しく手を差し伸べた。

「貴女の『幼なじみ』としての愛も、私たちの『メイド』としての愛も、目指す場所は同じはず。……ならば、争うのではなく、共にこの方を甘やかし、骨抜きにしようではありませんか」

「……。……ふん、勝手なこと言わないでよ」

美波はぷいっと横を向いたが、その耳は真っ赤に染まっていた。

そして、彼女はおずおずと結衣の手を取り、僕の隣に座り直した。

「……わかったわよ。負けないからね。あんたたちにも、健太にも!」

「ふふ、望むところでございますわ」

結衣が微笑み、僕に向かって宣言した。

「さあ、ご主人様。……誓いの言葉を。**『これからも、僕をずっと溺愛してほしい』**と、そうおっしゃってくださいませ」

11人の美女たちに囲まれ、夕暮れのチャペルで、僕は彼女たちの熱い視線に射抜かれていた。

逃げ場なんて、最初からなかったんだ。

そして、僕自身も、それを望んでいる。

「……わかったよ。……みんな。……これからも、僕をずっと……離さないでくれ。僕を、世界一幸せな男にしてくれ」

僕の言葉が終わるか終わらないかのうちに、11人の想いが一気に爆発した。

「もちろんです、健太様!!」

「大好きです、ご主人様っ!」

「……。一生、逃がしませんからね?」

「健太ぁ、あんた一生私のそばにいなさいよ!」

夕闇が迫るチャペルの中、僕たちは重なり合い、抱き合い、幾度も愛の言葉を交わし合った。

夏休みは終わる。

けれど、11人の美女たちに愛され、甘やかされ、溺れさせられる僕の「至福の日常」は、今、本当の始まりを迎えたのだ。

「……さあ、ご主人様。……夜の屋敷へ帰りましょう。……明日の朝、学校へ行くための『最後の仕上げ』を、11人全員で、じっくりとさせていただきますわ」

月明かりに照らされた僕たちの影は、一つに溶け合いながら、幸福に満ちた屋敷へと続いていった。


第9話 完


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