第15話:波乱の正月! 振袖メイドと、佐藤家の未来
第15話:波乱の正月! 振袖メイドと、佐藤家の未来
新しい年が明けた。
昨夜、11人の美女たちと過ごした賑やかすぎる除夜の鐘、そして「新年初抱きつき合戦」の余韻が残る中、僕は屋敷の広大な和室で目を覚ました。
「……明けましておめでとうございます、ご主人様」
枕元に、凛とした、けれどどこか艶やかな声が響く。
目を開けると、そこには結衣がいた。
……が、今日の彼女はいつものメイド服ではない。
「結衣……。その格好……」
「はい。本日は元旦。日本の伝統に則り、私たちは皆、振袖でお仕えいたしますわ」
結衣は、黒地に金箔が舞う、圧倒的に豪華な振袖を纏っていた。
髪は美しく結い上げられ、普段の「メイド長」としての厳格さに、大人の女性の気品と色気が加わっている。
「……綺麗だ。本当に」
「ふふ、光栄ですわ。……ですが、驚くのはまだ早うございます。……皆様、ご挨拶を」
結衣が扇子を鳴らすと、襖が左右にスッと開いた。
そこには、色とりどりの振袖に身を包んだ9人のメイドたち、そして……。
「健太! 明けましておめでとう!!」
美波が、ひときわ鮮やかな朱色の振袖姿で飛び込んできた。
「美波! お前も……。ああ、やっぱりその色、似合ってるよ」
「も、もう……。あんたに褒められると調子狂うわね。……ほら、新年早々デレデレしてないで、お節料理食べに行くわよ!」
「健太様ぁ~! 陽葵の振袖、見てくださいっ! 帯がちょっと苦しいですぅ~!」
陽葵は、彼女の豊満なバストを強調するように(本人は意図していないだろうが)帯が締められた、ピンク色の可愛らしい振袖。
志保は、薄い青の清楚な振袖を、知的な眼鏡スタイルに合わせて着こなしている。
大広間には、母・恵子もすでに座っていた。
彼女はメイドたちが用意した、豪華絢爛な五段重ねのお節料理を前に、上機嫌で酒を注いでいる。
「さあさあ、健太! 嫁たちがこんなに綺麗に着飾ってるんだから、あんたがしっかりエスコートしなさいよ!」
「母さん、朝から飛ばしすぎだよ……」
宴が始まると、そこは再び「健太争奪戦」の場となった。
「ご主人様、まずはお屠蘇を。……私の手から、どうぞ」
結衣が盃を持ち、僕の唇へと運ぶ。
「健太様、お餅あーんしてくださいっ! 陽葵がフーフーしてあげますからっ!」
「……。正月の不摂生は、一年の健康に響きます。この薬膳お節を、一口ごとに私の解説付きで召し上がってください」
右から左から、そして正面から。
振袖の袖が触れ合い、香水の香りと白粉の香りが混ざり合う。
華やかで、熱くて、少しだけ息苦しいほどの幸せ。
「……あ、あの、みんな。今日はこれから初詣に行くんだよね?」
「もちろんです、健太様! 11人の嫁候補を連れて、地元の神社をパレードしましょうっ!」
「パレードはやめて!! 普通に参拝させてよ!」
地元の大きな神社に到着すると、案の定、僕たちは注目の的となった。
11人の振袖美女を引き連れた大学生。
周りの参拝客たちが「あれ、何かの撮影か?」「それとも石油王の息子か?」と囁き合っている。
「……健太。あんた、本当に有名人ね」
美波が少し誇らしげに、僕の腕をぎゅっと掴んだ。
「……。他人の視線など、どうでも良いことです。大切なのは、この神様の前で、誰が一番に健太様の『正妻』としての誓いを立てるか……」
志保が拝殿を前にして、静かな闘志を燃やす。
賽銭箱の前に並び、二礼二拍手。
僕は心の中で祈った。
(……どうか、この11人と、そして母さんと、ずっと笑って過ごせますように)
顔を上げると、隣にいた結衣が、僕の耳元で小さく囁いた。
「ご主人様。……私の願いは、ただ一つ。……来年の正月は、ここに『新しい家族』も連れてくることですわ」
「え……?」
結衣の視線が、僕の腹部……ではなく、将来を見据えた確信に満ちたものに変わる。
「健太様ぁ、陽葵も同じ願いですっ! 早くパパにしてくださいねっ!」
「陽葵! 外で大きな声で言わないで!」
美波も顔を真っ赤にしながら、「私だって……私だって、その……準備はできてるんだから!」と明後い方向を向いて呟いた。
初詣の帰り道。
雪がちらつき始めた参道を、僕たちは肩を寄せ合って歩いた。
「……健太。あんた、これから大変よ。こんなに愛の重い子たちが11人もいるんだもん。……でも、あんたなら大丈夫ね」
母・恵子が、僕の後ろ姿を見て、優しく笑った。
「……ああ。大変だけど、退屈はしないよ。……というか、幸せすぎて怖いくらいだ」
「ふふ、怖がる必要などございませんわ、ご主人様」
結衣が僕の手を握り、自分の振袖の袂の中へ、僕の手を誘い入れた。
そこには、彼女の熱い体温が、確かに息づいていた。
「私たちは、貴方の未来を、幸せだけで埋め尽くすために存在しているのですから。……さあ、屋敷へ帰りましょう。……新年最初の『子作……いえ、家族会議』の続きをいたしましょうか」
結衣の言葉に、メイドたちが一斉に瞳を輝かせた。
新年の冷たい風も、11人の愛の熱気には勝てない。
佐藤健太の2026年は、これまで以上に甘く、激しく、そして「重すぎる愛」に満ちた、輝かしい未来へと続いていくのだった。
第15話 完




