第11話:学園祭は大騒ぎ!? メイド隊の模擬店は100年早い!
第11話:学園祭は大騒ぎ!? メイド隊の模擬店は100年早い!
新学期のパニックから数週間。
僕、佐藤健太の大学生活は、もはや「平穏」という言葉を辞書から抹消したかのような騒がしさに包まれていた。
そして今、キャンパス内は年に一度の祭典、学園祭の準備で活気付いている。
「……はぁ。僕のクラス、結局『お化け屋敷』に決まったのか」
僕が教室の隅で溜息をつくと、すぐ隣に控えていた志保が、手帳に何かを書き込みながら冷徹な笑みを浮かべた。
「ご主人様。お化け屋敷など、非効率な娯楽ですわ。暗闇の中で他人に触れられる可能性も否定できません。……私が、即座に計画を中止させましょうか?」
「やめてよ、志保! クラスの出し物なんだから!」
「……。ならば、妥協案を提示します。クラスの出し物とは別に、私たちが独自に模擬店を出店いたします」
「え……? メイドたちが店を出すの?」
僕が驚いていると、廊下から聞き慣れた元気な声が響き渡った。
「健太様ぁ~!! 許可、取ってきましたよぉ!!」
陽葵が、学園祭実行委員会からの承認印が押された書類を振り回しながら飛び込んできた。
彼女の背後には、メイド長の結衣、そして莉奈たち10人のメイド隊が勢揃いしている。
「許可って……。何の店を出すつもりなんだよ」
「ふふ、決まっておりますわ、ご主人様」
結衣が僕の前に跪き、その手を優しく取った。
「店名は――『至高の主君~健太様専用休憩所~』。一般のお客様へのサービスは一切行わず、三日間、健太様だけに最高級の奉仕を捧げるための『動く屋敷』でございます」
「それ、模擬店じゃないよね!? ただの僕の個室だよね!?」
「あ、ずるい!! 私もその店、手伝うわよ!!」
美波がどこからともなく現れ、結衣を突き飛ばさんばかりの勢いで割って入った。
彼女は「健太のクラス委員」という特権を最大限に利用し、学園祭期間中も僕から離れるつもりはないらしい。
「美波様。貴女に『至高の奉仕』ができるとでも?」
「できるわよ! 焼きそばでも、たこ焼きでも、健太が好きなものなら何だって作ってあげるわ! 豪華なだけのメイド服なんて脱ぎ捨てて、エプロン一枚で勝負よ!」
「……エプロン一枚。……美波様、それは少々、ご主人様の教育に悪すぎますわね。……志保、衣装の準備を」
「了解しました。……ご主人様の理性を崩壊させる、究極の給仕服を用意いたします」
こうして、学園祭という公共の場を舞台にした、11人の美女たちによる「健太様争奪・奉仕合戦」が幕を開けた。
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学園祭当日。
キャンパスは人で溢れかえっていたが、正門を入ってすぐの一等地に、異様な輝きを放つテント……というか、もはや**「小型の宮殿」**が建っていた。
「……何だよ、これ」
僕が呆然と立ち尽くしていると、テントの入り口に立つ結衣たちが、一斉に深く頭を下げた。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
その声に、通行人たちの視線が釘付けになる。
彼女たちは、今日のために新調された、さらに露出度が高く、かつ豪華な**「学園祭限定メイド服」**に身を包んでいた。
「健太様、見てください! 陽葵、今日は『看板娘』担当なんですっ!」
陽葵の衣装は、丈が驚くほど短く、動くたびに彼女の豊かな肉体が溢れ出しそうな、刺激的なミニスカメイドスタイル。
彼女が僕の腕を抱き寄せると、周囲の男子学生たちから**「うぉぉ……!」**という羨望と嫉妬が混じった咆哮が上がった。
「陽葵、近すぎだって……! 外なんだから!」
「ダメですぅ! 今日は学園祭なんです。お祭りなんですから、これくらい開放的にならなきゃ損ですよぉ?」
陽葵は僕をテントの中へと誘った。
中は、大学の備品とは思えないフカフカのソファ、シャンデリア、そして最高級の食材が並ぶカウンター。
「……。健太様、まずはこちらの特製ドリンクを。貴方の喉を潤すと同時に、夜まで続く『奉仕』に備えてスタミナをつけるためのものです」
志保が、妖艶な紫色のカクテルを差し出す。
彼女の水着を彷彿とさせるような大胆なカットのメイド服に、僕は目のやり場に困った。
「あ、健太! やっと来た!!」
カウンターの奥から、美波が顔を出した。
彼女は宣言通り、フリルたっぷりのエプロンを身に着けていた。
が、その下に着ているのは、かなり際どい丈のショートパンツとタンクトップ。
「美波、お前までその格好……」
「な、なによ。志保さんたちに負けないようにしたら、こうなっちゃったのよ! ほら、健太! 私特製の『思い出たっぷり焼きそば』よ。あーんしなさい!」
右から焼きそば、左からパンケーキ、正面からサラダ。
僕は再び、美女たちの波に飲み込まれた。
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午後になり、僕のクラスの「お化け屋敷」の当番の時間がやってきた。
「……あ、あの、みんな。僕、クラスの当番に行かなきゃいけないんだ」
「……。お化け屋敷ですね。……ならば、私たちが随行いたします」
結局、僕は11人の美女を引き連れて、自分のクラスのお化け屋敷へと向かった。
入り口で待機していたクラスメイトたちは、僕の後ろに並ぶ圧倒的な美女軍団を見て、腰を抜かさんばかりに驚いていた。
「さ、佐藤……。それ、全員お前の連れか……?」
「あ、ああ……まあ、そんな感じ」
**「……死ね。今すぐ死んで、本物の幽霊になれ」**
クラスメイトの恨み言を背中に受けながら、僕は暗闇という名の戦場へ足を踏み入れた。
お化け屋敷の内部は、予想以上に暗い。
入った瞬間に叫んだのは、仕掛ける側ではなく、僕にしがみついた陽葵と美波だった。
「健太様ぁ! 怖いですぅ!」
「ちょっと、健太! 私の手を離さないでよ!」
二人の柔らかい肌が、僕の左右の腕に密着する。
「恨めしや~……」
通路の陰から、クラスメイトが扮した幽霊が飛び出してきた。
だが、その瞬間。
**「――無礼者」**
結衣の手が、電光石火の速さで幽霊の首元を押さえた。
「ご主人様を驚かせるなど、万死に値しますわ。……立ち去りなさい」
「ひ、ひえぇぇ……ごめんなさい!!」
結衣の放つ圧倒的な「メイド長」の威圧感に、幽霊は逃げ出していった。
「……ふふ。健太様。……暗闇は、お化けだけのものではありませんわよ」
背後から志保が僕の耳を甘噛みし、ひんやりとした指が僕のシャツの隙間から侵入してきた。
「し、志保……! ここ、クラスのみんながいるんだから……っ!」
「いいではありませんか。誰も見ていない暗闇。……ここで、私たちが貴方をどう料理しても、誰にもわかりませんわ」
志保の言葉を合図に、莉奈や他のメイドたちも、暗闇に乗じて僕の体に愛撫を刻みつけてくる。
幽霊よりも恐ろしく、そして甘美な「溺愛の嵐」に、僕は翻弄された。
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学園祭の一日目が終わる頃、キャンパス内には「メイドを従えた謎の主君」の噂が広まりきっていた。
「……残念ですわ、ご主人様。明日からは、さらに『密着度』を高めたサービスを考えていたのですが」
結衣が少しだけ残念そうに、けれど満足げに微笑んだ。
「もういいよ、結衣……。十分すぎるくらい楽しんだ……というか、疲れたよ」
「ふふ、お疲れ様でした。……では、屋敷に帰りましょう。屋敷なら、制限など一切ございません。……学園祭の『後夜祭』は、今夜、私たちの寝室で開催いたしましょうか」
陽葵が僕の首筋に顔を埋め、甘い吐息を吹きかける。
「……。私も、新しい『教育プログラム』を準備しておきます。ご主人様の理性が保てないような、過激な内容ですわ」
「健太! 私も行くわよ! 後夜祭、私抜きで始めるなんて許さないんだから!!」
夕焼けに染まるキャンパスを後にしながら、僕は悟った。
屋敷の外だろうと中だろうと、彼女たちの愛は留まるところを知らない。
「……さあ、ご主人様。今夜は、誰が貴方を一番満足させられるか……競い合いの始まりですわよ」
結衣の甘美な誘惑の声が、夜の静寂へと溶けていった。
第11話 完




