赤い瞳
消毒のにおいがツンと鼻をさす。
診察室だ。
「いよいよ、包帯とれるよ。」
優しい男性の声。ここの病院の先生の声だ。
「ドキドキするわ。お願いします。」
ひらひらと包帯が外されるのがわかる。
アリスはギュッと目を閉じる。
今日から自分の目になる瞳。
「ゆっくり目をあけて」
薄っすらと目を開くと電気の眩しさが目に入る。
眼の前には手鏡を持った先生の姿がぼんやり映る。
「まだ慣れないと思うけど、どう?」
「ぼやっとしてる。けど暗闇よりマシ…です。」
徐々に視界がはっきりとしてきた。
手鏡を受け取り自分の目を見ると、そこにはルビーのように真っ赤な瞳がうつっていた。
「あ、赤い…」
「赤いけれど視力には問題ないからね。直ぐに慣れるよ。」
事前に説明は受けていた。
受けていたけれど思ったよりも赤い。
もともと茶色い普通の目だったので、赤い目が浮いて見える。
ジーと鏡を見つめていると目の奥がじんわり熱くなるのを感じた。
それが徐々に酷くなる。
「あ、熱い!!熱いよ先生!」
アリスは両目を両手で押さえた。
「落ち着いて!!大丈夫!!」
看護師と先生が何やら慌てている。
熱さの中アリスは朦朧と意識が失ってしまった。
_____,,。
気がつくとそこはベットの上。
天井を見上げながら、
あー、本当に視力あるのか、なんてのんきに思っていた。
ふっと横を見るとそこには見慣れない真っ黒なフードを被った男の姿。
朦朧とする意識の中
フードに獣のような耳が付いているのがわかる。
首には赤く細い紐の先にプラリとぶら下がる小さな鈴。
「変質者…夢かな」
「違うよ、アリス」
バッと起き上がるアリスに、男は大きな口をニヤリとさせ夢ではないと告げる。
「誰?!」
「猫だよ、迎えに来たよ。」
「猫…?あ!今朝の!!」
この男は間違いない、アリスの頭を撫でた見知らぬ男だ。




