クラマリナ坑道
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商業ギルドでクランハウスを購入したので、次は冒険者ギルドに行くことにした。念のために魔物に変化がないかとかを確認しないといけないし。
特殊個体が出てきているって話になっていたら不味いからな。流石に特殊個体の情報は俺も持っていない。何があるのかが解らないんだ。警戒しておかないといけない事でもある。
「すまない。冒険者ギルドの方でクラマリナ坑道の異変なんかの情報があれば知りたいんだが」
「異変って言われてもですね……。ここ最近は異常だらけなので、何も言えないというか、言いたいことは山のようにあるんですが、何を言っていいものなのかって感じです」
「ああ、まあ、そうか。特殊個体が出てきているという情報はないか?」
「そういった報告はありませんね。ただ、クランの人たちも採掘に出かけられないくらいには魔物が活性化しています。注意は必要になってきますよ?」
「それは当然の話ではあるけどな。異常は起きていると。それで? 貴族家としての対応はどうなっているんだ?」
「それは現在レイデオロ伯爵家が動いています。ただ、中心地はこの辺りらしいので、何かがあるならこの町周辺になるのかなと言ったところではあるそうです」
「……中心地はこの辺なのか?」
「そうです。ですが、この町に何かがある訳でもなくてですね……。調査はしているんですけど、中々進展が無い感じです」
「冒険者としての依頼も出されているか?」
「出されていますよ。影響が大きいですので、何かしら知っていることがあれば、情報提供をお願いしている所です。解決出来るのであれば、それもお願いしたい所ではあるんですけど」
ふむ。そうなるとこの町が怪しくなってくるな。シルエンディールの魔力探査にかかってくる訳だ。明日の予定は一応クラマリナ坑道に行くことだけど、その後で原因の調査の依頼を受けた方が良いだろうな。問題解決はしておくべきだろう。
クラマリナ坑道のレベルで苦戦している様ではいけないから、活性化している段階で踏み入れておきたい所ではある。経験値稼ぎにはもってこいだろうし。
危険であるのには変わりないが、危険だからと見送る訳にもいかない。明日は予定通りにクラマリナ坑道に行く。そして、銀を掘る。その効率がどうなるのかの話でしかないとは思うな。
レイデオロ伯爵家が何かしら知っているのか、本当に何も知らないで調査をしているのかは解らないけど、何かしら掴んでいるなら動いていてもおかしくはないか。
となると、何も知らないままで動いていることになるんだけど、どうしたものか。まあ、とりあえずは明日次第だな。……特殊個体も出てくるかもしれないから、要注意ではあるけど。
とりあえず依頼を確認していたんだけど、調査系の依頼が多い。何処の調査という感じで、色々と場所が指定されている。
けど、誰も受けないんだろうな。調査といっても得意不得意があるんだろうし。魔力的な異常を見つけられるのかって事も関係してくるからな。
シルエンディールに任せるしかないんだろうが、俺の方でも何かしら出来ないかを考えておかないといけないだろう。
そんな訳で次の日。色々と情報を集めてきていたメンバーと軽く打ち合わせをしてからクラマリナ坑道に。道中は特に変わったことは無かったんだけど、クラマリナ坑道に着いた時点で解った。
ここが原因だ。魔力がもの凄い勢いで出てきているのが解る。シルエンディールに聞くまでもない。これだけの異常なら俺でも肌で解る。
「……ここが原因だったか。でもなぜ?」
「解らん。凄まじい魔力だ。俺でも感じる。魔法使いであれば、この異常は解ると思うが」
「であれば、レイデオロ伯爵家が知らない訳がないと思うんですけど……」
「普通は探知できないからね。君たちは魔法に慣れ親しみ過ぎている。特に僕が近くに居るからね。魔力に敏感になってきているのさ」
「シルエンディールが近くに居る影響か……。ありえなくはないか。で? ここが原因で確定で良いよな?」
「確定だね。これだけ魔力が溢れていたら、それはもう影響は大きいだろうさ。何をしたいのかが解らないけどね」
「原因は解りましたけど、目的までは解らない訳ですか……」
「仕方がないだろう。誰が何の目的でこんな事をしたのかは、解らない方が普通だからな」
「まあ、それはそう。とりあえず、採掘は無しだ。今日は原因の調査をメインにする。魔物の襲撃は頻繁に来ると思ってくれ。魔物の情報は伝えた通りだが、特殊個体が居るかもしれない。未知の魔物が居ることを想定して動いてくれ。こうなると、俺にも何が起きているのかは解らない」
「僕も全力で対処した方が良さそうだね。出来るだけ守るから安心はしないでほしいけど、ある程度の安全は保障するよ」
シルエンディールが動いてくれるならまだマシか。さあ、坑道の中に入ろうか。ここからは色々と出てくる可能性がある。
灯りはつけないといけない。勿論ではあるが、こういう時は幻属性の灯りの方が良いんだよ。光属性の方が簡単ではあるんだけど、それだとサイレントゴーストや他の魔物を引き寄せる効果もある。
気を付けないといけないからな。……特殊個体が反応してくる場合もあるんだけど。けど、特殊個体に限るのであれば、それはその方がやりやすいからな。
入ってすぐに戦闘になる訳でもなく。けど、全員が探知の魔法を使いながら進んでいく。浅い部分には魔物が出にくいというのは本当みたいだな。奥に行くまでには、何回も戦闘をしないといけないんだろうけど。
「!! 敵来ます! 前方3!」
「迎撃準備。速攻で潰す」
「後続は?」
「確認できず。多分居ない」
「なら索敵は密に。特に壁から来るサイレントゴーストに警戒」
前から何か魔物が来たらしい。こちらに向かってゆっくりと進んでいるそうだ。
目の前に現れたのは、ロックセンチピード3体。まあ、雑魚である。警戒はするけど、普通に戦えば、普通に勝てる敵でしかない。
なので、普通に戦って、普通に勝った。それは良いんだけど、動きは良かったな。魔力が満ちている所為だろう。普通の動きでは無い感じがした。
「とりあえず、解体は後にして、どんどんと進むぞ。シルエンディールが誘導してくれる。そっちの方面に進んでいこう」
「道案内は任せてね。まあ、一本道だから迷う事は無いけどさ」
「分かれ道が出てきてからが問題だろうな。魔法陣の位置は解るのか?」
「大体ね。魔力がもの凄く流れている場所があるから。そこにあるはずだよ」
「急いでそこまで行くぞ。戦闘も慣れただろう? 普通に勝てる魔物でしかない。普通にやって、普通に勝つ。それで良いんだ」
魔物には勝てる。特殊個体が出てきたら、俺が前面に立っても良いとは思う。そんな個体が出てくるのかは解らないけどな。原因は魔法陣になる訳だし。
でも、これだけ魔力で満ちているのであれば、特殊個体が出てきてもおかしくはない。そんな空気をしている。これだけの変化があれば、俺にだって解るからな。
原因の場所までは解らないけど。その辺は魔力の流れが解るシルエンディールが頼りだ。
どんどんと奥へと向かっていく。戦闘も何度も何度も繰り返された。厄介なのはやはりサイレントゴーストだな。それ以外の魔物はそこまで警戒する事もない。
分かれ道をどんどんと進み、奥へ深くへ進む。シルエンディールが指し示す道を進む。ここまでくると、銀も豊富にあるんだろうが、採掘している暇が無いからな。今は魔物の活性化の原因を突き止める方が先だ。
本当はここである程度の慣らしをしてから、本格的な調査に赴こうと思っていたんだがな。ここが原因の場所になっているとは思わないだろう?
何かしらあるのは確定なんだ。空気が違うと解れば、ここが原因だと解ったんだろうが。
レイデオロ伯爵家が解らないって感じなんだから、シルエンディールとの関りで、俺たちの感覚は大きく変わっているんだろうな。魔力に敏感になっているんだろう。
個人的にはよく解らないところではあるんだけどな。魔力を感じられるかって言われると、微妙だから。ここまでデカい魔力なら感じられるようになったという事でもあるんだろう。
とにかく進む。原因は何かしらあるはずだ。そこを突き止めて、原因の排除をしなければならない。魔法陣で何をしようと企んでいるのかは知らないが、全く迷惑な話である。




