保存食の話
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第2陣が到着した。これで4パーティーがクレマグリッドの町に居る事になる。基礎訓練から始めるといいかもしれないが、最初は乱戦に放り込む。
それで連携が如何に重要なのかを学ぶんだ。4パーティーで挑むから、それなりの余裕がある。だから余裕がなくなるくらいに魔物を引き寄せないといけない。
クレイスも何とか魔物を引き寄せる魔法を使えるようになって来たので、今後は任せられるとは思う。けど、1回目は俺が調整しながらの方が良いとは思うからな。限りなく厳しい戦場を約束する事になるけど。その方が色々と鍛えられる。
まあ、初期の2パーティーが居る分、安定はしているけどな。乱戦にもつれ込むのに時間がかかったし。多すぎるんだよとの苦情は貰ったけど、安定していたら訓練にならないじゃないか。
連戦に次ぐ連戦を潜り抜けて、それから基礎を学ぶ。ある程度の基礎を学んだら、後は普通にレベル上げをしてもらう事になる。俺たちよりは遅くなるだろうな。それでも良いんだ。パワーレベリングをしようにも、第1陣が弱ければ、パワーレベリングなんて出来ないんだし。
その辺は要研究というか、魔法使いを何とかしないといけないとは思う。魔法もある程度は理論を教えてきたつもりだ。何処まで理解してくれているのかは解らないけど、教えては来たんだよ。
それを基礎にして、自分の魔法を構築していってもらいたい。答え合わせは皆で後でやればいい。合っているのかどうかは、そもそも俺だって自信は無い訳だけどな。
そんな訳で、マジックバッグを持たせた第2陣が暗闇の森やエルト草原、ジュレム山脈でレベル上げと基礎の訓練をしている。第1陣も基礎の訓練を続けている。まあ、もうそろそろ移動なんだけど。
俺はというと、錬金術で皆の装備を作っていた。基本的には腕輪と足輪になる。ミスリルで作ったからな。……品質は言いたいことがあるんだけど、それでも十分な出来にはなったと思うから。
錬金術で銀をミスリルに加工して、鍛冶師が鍛えて、細工師が能力付与を行って、最後に錬金術でサイズ調整の付与を行う。こんな感じで得意分野はその専門家に任せた方が良いんだよ。
剣や盾なんかもミスリルで作ってあるし、準備は万端だ。まあ、第2陣の奴らは鉄装備なんだけど。ミスリルが足りないから仕方がないんだよな。
だから銀を掘りに行くんだし。クラマリナ坑道に行くのは、ミスリルのため。銀からミスリルが作れるんだから、掘りに行くしかないよな。……これでレベルが上がったら、次は闇晦ましの森でレベルを上げる。そうしたら金を掘りに行こう。
やることが沢山ある。やらなければならない事が沢山あるんだ。……けど、時間は少ない。第3陣も募集しないといけない。という事で、俺は第3陣の確保のために、タールスエニスの町で粘っていた。
やる気がある奴が居るかどうかだ。基本的に冒険者で食っていくには、大成する必要がある。冒険者で稼いで、楽に暮らしたいなら、レベルを上げて、簡単な魔境に籠ればいい。でも、それじゃあ強くはなれないからな。
先を見据えて動くのであれば、どんどんとレベルを上げて、金を使って強くなることを望むやつらが必要だ。それでもって、何処までも強くなりたいと強く願うものじゃないと厳しい。
そういう人材を発掘しないといけないのだ。中々集まらない。既にやる気のある奴らは第2陣で迎え入れたからな。
それでも何とか探した。5日間かかったけど、14人の候補を見つけた。前衛が6人。斥候が4人。魔法使いが2人。ヒーラーが2人だ。7人パーティーが2つ出来るようにしてみた。
レベル30になるまで、必死に頑張って貰うとしてだ。その間は放置するしかない。ある程度魔法の訓練はしないといけないだろうが、それ以外は基本的に放置になる。第2陣よりも時間をかける事が出来ない。
けど、追いついてきてもらわないと意味がない。どんどんと成長してくれないと駄目だ。やる気で何とかレベル上げの気力を持たせないといけない。
「第3陣は集まったのですね。良かった。これで第2陣がもう少し訓練すれば、自分たちでレベルを上げられるはずです」
「基礎は叩き込んでいるからな。流石に物覚えが良い。やる気があることは良い事ではある。それに、第1陣の教えもあるからな。教えられる奴らが増えると、効率は良くなる」
「第1陣は装備も充実してきたし、そろそろ移動だからな。近々カールチェイスの町に移動する。ここからは普通に歩いていくと15日くらいはかかる。村に泊ってってするとな。無視して突っ切るのもいいが、それだと街道で野宿になる。……保存食が不味すぎるから、村で泊りたい」
「保存食か……。あれは俺も苦手だな。不味いなんてレベルじゃない。苦みとえぐみが凄すぎる。あれを食べるくらいなら、1日くらい食べない方がマシだとは思うが」
「……保存食はもういいです。試しに食べてみたことがありますけど、あれは人の食べるものではありません。もう少し何とかならないかとは思うのですが」
「錬金術で作れないのか?」
「保存食をか? ……作れない訳ではないとは思うが、それなりの費用はかかるとは思う。そもそもではあるが、あそこまで不味いものを作るのはある意味才能だぞ? 錬金術で作れば、もう少しはマシになるとは思うが」
「クランで保存食を作るのはどうですか? 錬金術師にしか作れない訳ではないとは思いますけど、とりあえず、あの保存食は食べたくありません」
「だな。俺もある程度食べられる保存食の方がいい。常食には向かなくとも、1日2日はそれで耐えられるというものが良いな。そうすれば、泊りがけの移動も、ある程度は許容できそうだ」
「確かにそうだな。……考えてみるか。出発までにはまだ時間はある。ある程度食べれる保存食を考えてみよう。それに、クラマリナ坑道が終わったら、闇晦ましの森でレベル上げだ。当然泊りになる。保存食を食べる羽目になるからな。それは俺も回避したい」
保存食は不味い。なんであそこまで不味くなるのかが解らない。何というか、青草の煮汁に3日間漬け込みましたという感じの粘土なんだ。固形の食べ物ではある。が、味覚が死ぬ。
臭いは特に無いんだけどな。なんであんなに不味いんだろうってくらいには不味い。後学のためにというか、闇晦ましの森でレベルを上げる関係上、保存食を見繕っていたことがあるんだ。……一番食べられると思ったのでそれだ。他は食べ物という感じがしなかった。
いや、その保存食でも食べ物とは認識したくないんだが、それでもまだ一番食べれるものではあったんだよ。……2度と食べたくないと思わせてくれるものではあったがな。
食事は気力の回復も兼ねている。だから食事は結構大切なんだよ。村で泊ると、その辺の家庭から購入する事が出来るから良いんだが、強行軍で行くと野営になる。
その辺で動物を狩ることが出来たのであれば、まともな食事が出来るとは思うが、保存食を食べるのはなあ。
マジックバッグがあるから良いじゃないかと思うかもしれない。けど、万が一マジックバッグがいっぱいになる可能性も考えると、食料は嵩張らない方が良いんだよ。
携行性を考えると、青草粘土が1番良くて、1番マシという評価だ。それでもクソ不味いんだがな。俺の中では、あの保存食は青草粘土という名前で通る。大体の人がそれで納得してくれるとは思う。
そのくらいには不味い。料理系のクラスは無いからなあ。料理は普通にしなければならない。魔法で料理が出来るとも思えないので、技術だけで何とかするしかないんだろうけど、錬金術ならそれを可能にするかもしれない。
錬金術の可能性は無限大だ。何だって出来るんだよ。なら、保存食も作れて良いんじゃないか。そう思う訳だ。
クソ不味い保存食で気力が下がり、士気が落ちると、どうしようもないからな。何とかして研究してみるか。失敗作も出来るだろうが、まともなものも出来上がるだろう。
出来れば、インスタント料理くらいには美味しくなってくれると嬉しいんだけど、それは高望みが過ぎるだろうか。でも、そのくらいの美味しさがないと、やっていられないとは思うんだよな。
考えてみよう。乾麺くらいなら何とかなるんじゃないか? 色々と実験をしてみる必要があるとは思うけど、時間ならたっぷりとあるんだし、しっかりとした保存食を作ろうじゃないか。




