錬金術師を育てる依頼
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魔法陣の問題は放置する事になった。俺だって全部の魔法陣を覚えている訳ではない。それなら星見の塔の魔法陣を書き写すことをした方が確実だ。
そんなに召喚獣が欲しければ、だけどな。星見の塔から以外に欲しいのであればだ。普通はそんな事をしなくても、召喚獣の数は足りるとは思うんだけど、召喚士を増やしていくのであれば、色々とやらないといけないというのは、ギルマスには伝えておかないといけないだろう。
研究する事は山のようにある。まだまだ知識が足りていない。絶望的に足りていない。なんでそうなるのかも解っていない魔法陣を使っているという事がまず問題だ。
発動するのが謎すぎるんだよな。あれでなんで発動するんだろうか。現代語に訳しても発動しないのに。奇跡的な何かが噛み合って作られたんだろうとは思う。
もしくはその道の天才が編み出したのかもしれない。それなら何とか理解が出来る。天才のやることは理解できないのが普通だからな。そんな状態だから、天才がやったのであれば、解る。
という訳で、訓練をしていた。1日は基礎訓練、次の1日は乱戦の訓練、そして休みというローテーションを行っていた。
俺は基礎訓練の時には、タールスエニスの町に行って、初心者たちに何とか動きを合わせられるようにという事と、幻属性魔法を教えていた。幻属性魔法だけは、全員が使えるようになって貰わないと困るんだ。
前衛だから魔法を使わなくても良いという考えは捨てた方が良い。戦うのであれば、全ての選択肢を使えないといけないのだ。ヒーラーだけは聖属性魔法を使ってもらうんだけど。
ヒーラーに攻撃を通してはいけない。これは鉄則だ。ヒーラーはヒーラーのみに専念してもらわないといけないんだ。その方が死ぬ可能性も低くなる。
だからまあ、色々とやっているんだけどな。まずは基本的な動きを覚えて貰わないといけない。ポーションなんかも使いどころを覚えないといけないが、それは乱戦の訓練の時に覚えればいい。
まだ、向こうのパーティーに魔物を引き寄せる魔法を使える奴が居ないからなあ。居れば色々と出来るようになるから、クレイスに覚えてもらおうと思っている所ではあるんだが。
魔物を引き寄せる魔法は無属性魔法だ。そこまで難しい訳ではないんだが、習得には難航している。イメージが出来ないからなんだよな。難しいとは思うんだけど。
どんなイメージなのかって言われてもな。こっちもこういうイメージっていう、確定したものをイメージしている訳ではない。怒りを刺激するイメージなんだよ。ちょっと解りにくいとは思う。
それを広範囲に広げるんだから、中々大変なんだよ。魔法としては難しい部類に入るとは思う。まあ、自らを危険にする魔法だからな。基本的には使わないとは思うんだけど。
でも、便利なのは便利なんだぞ? 特にタンクなんかが覚えられると有難い。注目を自分に集めることが出来るんだから。ヘイト管理はタンクの仕事だ。出来た方が良いとは思う。
そんな事を考えながらも、時間は過ぎていく。ある程度の事は出来るようになったというか、乱戦にも慣れてきたから、今度は基礎の訓練を重点的に行おうとは思っている。クレイスに面倒を見て貰って、全員の基礎の向上を狙っていく。
その間に、俺の方はというと、冒険者ギルドの錬金術師の所に行って、基礎から教えないといけない訳だ。錬金術師としての仕事だ。
冒険者ギルドだって、錬金術師は欲しいのはそうだろう。召喚石の確保もそうだろうが、ポーションなんかの消耗品も欲しいだろうし。
他のクラスの方が専門的に作れるとは言っても、錬金術師は基本的に何でも出来る。面倒な専門職に比べて、比較的に楽に作ることが出来る。
その分素材の消費もする訳なんだけどな。専門職の方が素材は少なくてもいい。召喚石は錬金術師じゃないと作れないので、錬金術師の方が潰しは利くんだけど。
「そんな訳で、召喚獣を召喚する魔法陣は32種類ある。星見の塔で使う魔法陣がそれだ。召喚士ギルドの使っている魔法陣では碌な召喚獣が出てこない。もしも召喚獣を欲しくて、星見の塔を使えないのであれば、魔法陣は覚えておく方がいい。32種類全部を覚える必要は無いかもしれないが、記録には残しておいた方が良いとは思う」
「そういう知識は何処から出てくるんだろうね? まあ、解ったけど。星見の塔の魔法陣を転写すれば良いんだよね?」
「基本的にはそうなる。属性で分かれるか、1か月区切りの魔法陣が出てくるのかはランダムだからな。それをしっかりと記録して、残しておけばいい。5年も研究すれば、全部の魔法陣が揃うとは思うし」
「それも結構な長丁場の研究になるね。まあ、やれるだけはやってみるけどさ。その方が良さそうではあるし」
「……やっぱり、召喚数が足りないか?」
「足りないね。今の所、召喚士になりたいって人は結構いるんだけど、やっぱり召喚獣が弱くてさ。使い物にならない召喚獣を連れていてもって感じになってる」
「それはそうだろうな。それと、召喚士もある程度は戦えた方がいいぞ。アウスラリアも魔法を使いつつ、盾を持って冒険者をしているくらいだ」
「召喚士らしからぬ装備だね。でも、安全に冒険者をするのであれば、強い召喚獣を引くしかない訳だし、その他の事も出来ないといけないのかもね」
出来ないと駄目だろうな。魔法を教えることは出来ないが、戦い方を教えることは出来るだろうし。冒険者ギルドでもって事を考えると、前衛の動きは覚えた方が良いとは思う。
魔法に関しても、ギルマスには教えてある。幻属性の魔法を使ってみた方がいいぞとは言ってある。なんで幻属性なのかも説明してある。今日説明した。魔法陣の話のついでにな。
メインは魔法陣の話である。今のままでは召喚士は碌な強さにならないんだよな。召喚獣をどんどんと召喚してもらわないといけないんだし、強い召喚獣が絶対に必要になってくる。
そのためにはある程度の魔法陣をというか、ちゃんとした魔法陣を不完全でもいいから発動させないといけない。それでもレベルは下がるんだろうが、それは仕方がない。
運が良ければ、結構な強さの召喚獣を手に入れることが出来る訳だし、チャレンジするだけの価値はあると思うんだよな。別にクラスはなんであれ、召喚自体は出来るんだから。
召喚士じゃないと召喚出来ない訳ではない。召喚士でなくても召喚は出来るし、契約も出来る。ただ、召喚が出来ないだけだ。それが召喚士のクラスとの差なんだ。
……現実になったんだから、その辺も変わっていると良いなと思ってやってみたが、出来なかったからな。召喚だけは召喚士のクラスになる必要がある。
「じゃあ、あの依頼をお願いしようかな。中々に成長してくれないというか、ノウハウが無いからね。錬金術師に弟子入りさせるのも良いんだけど、初めから冒険者ギルドの紐付きになっていると知っていると、指導が疎かになる可能性もあるし」
「まあ、それはそうだろうな。正式な弟子という訳でもないんだろうし。……というか、師匠に出来るだけの技量持ちを冒険者ギルドに引き込めなかったのか?」
「あはは。まあ、そういう事だよね。今よりも利益が減る可能性が高いんだし。召喚士ギルドに雇用されている人は、ちょっと錬金術師って括りでは考えない方が良いって言われたけどね」
「まあ、召喚石を作っているだけなんだろうしな。それでは錬金術師とは言えない。錬金術師は色々と出来るクラスだ。召喚石だけを作らせるために、錬金術師を集めるのは面倒にも程があるとは思うんだがな」
「仕方がないんじゃないかな。召喚石は錬金術師にしか作れないんだし。そんな訳で、お願いするよ。どのくらいの時間がかかるかな?」
「連続で受けるんだから、2週間くらいは欲しい所だ。基礎だけでもそのくらいの時間はかかるとは思う。……もっとも、基礎だけで済めばいいが」
基礎で始まれば良い方だとは思う。錬金術の大前提は、自分の道具は自分で作ること。これを疎かにしたら駄目だ。そこから教えないといけない可能性が高いと思っている。
だから、余裕で時間は超過すると思うんだよな。錬金釜から自分で作らせる。下手でも良いんだ。他人のを使っても、出来ない事は無いが、効率が悪すぎるんだよ。




