魔法陣は出鱈目
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ただまあ、それでも召喚士の召喚獣が弱すぎるのはなんでなんだろうか。アウスラリアでさえ天才と言われたんだ。それだけの召喚獣しか呼べないというのは、些かおかしい気がする。
150まで出るんだ。確率は低いかもしれないが、国中で召喚獣が召喚されているはずだ。何なら送還したって良い。新しく呼べば解決する。
星見の塔の様に、何も1日1回までしか出来ないとはなっていないんだから。確率が低くても、確定までガチャを回せば出るんだ。
それなのに、召喚獣の普通は20レベル程度だったはず。高くても40くらい。ヒポポライノがレベル50で、それで天才。何かがおかしい気がする。
「なあ、実際にレベル100程度の召喚獣が居たことはあるのか?」
「無い事はない。王族や貴族が幾つか持っていたはずだ。召喚士の切り札的な存在だったと思う」
「……おかしいですよね?」
「ああ、おかしいな。普通は送還して、何度でも召喚をするはずだ。それでも王族や貴族が少数持っているだけというのはおかし過ぎる」
「……それは、確かに。言われてみるとそうだな。時間さえあれば、無限に召喚出来る。別に契約をしなければならない訳ではない。それなのに、何故かレベル100以上の召喚獣の話は聞いたことがない。秘密裏に持っているのは悪手だ。喧伝して、攻められないようにするべきだ」
だろうな。チャンスが無限にあるのであれば、無限回試せばいい。しかし、現実は殆ど持っていないのだ。これはおかしい。何かしらあるんじゃないか?
普通に考えたら、強い召喚獣が出るまで回す。普通ならそうする。俺でもそうする。……150までは出るんだからな。まあ、何月に強いのが出るのかが解らないが。
それも魔法陣をみれば解決する事ではあるんだけどな。古代文字でそう書いてあるんだから。召喚獣を召喚する時に使われている魔法陣の文字は古代文字だ。現代の文字とは違う。
それを古文書とか色んな資料から導き出され、ゲームではある程度は読まれていたんだよ。俺だってある程度は知っている。
古代文字の魔法陣なんだから、まあ、面倒ではあるよな。覚えるのが。語学は得意な方だから覚えられたけど、苦手な人は覚えていないんじゃないだろうか。攻略に必ず必要な情報でもないし、覚えなくても良いとは思うんだけど、錬金術の手記とか、偶に古代文字で書かれているから厄介なんだ。
つまり、俺はクラス的な理由で覚えている。召喚士もそんな感じで古代文字を習うんだろう。……いや、何処でだ? 魔法だって教えないのに?
召喚士ギルドで教えるのかって話はあるんだけど、教えるとしてもアウスラリアは教えられていないんじゃないのか? 冒険者なんだし。
「アウスラリア、古代文字を何処で教わったんだ?」
「え? 古代文字ですか?」
「そうだ。じゃないとおかしいだろう? 召喚士ギルドで教わるなら、召喚士ギルドに所属していないといけないだろうし、冒険者ギルドで教わったのか?」
「あの、私、古代文字が何なのか知らないんですけど……」
「え? なんで?」
「なんでといいましても、古代の文字なんですよね? 知っている人の方が少ないんじゃないですか?」
「古代文明は約10万年前に存在し、今ある町の基礎を作った文明の話だな。貴族では教育として教えられる。平民はそんな事は知らないんじゃないか?」
「いや、なんでって、古代文字を知らないのはおかしいんだよ。召喚獣を召喚する魔法陣は、古代文字で書かれている。だから、文字を知らないのに、魔法陣を知っているというのはあり得ないんだよ。そうじゃないと、召喚自体が出来ないはずだからな」
「魔法陣に文字らしきものはありますけど、それが古代文字なんですか?」
「絵として覚えているんじゃないか? それならば納得できる。というかだ。古代文明の文字を読める方がおかしいぞ。失われた文明の文字だ。もう誰も知らないはずだ。幾ら長寿の種族と言えども、10万年も生きる種族は存在しないのだから」
「絵として覚えているなら、まあ、納得は出来る。けど、古代文字が読めないってどういうことだよ? 解読は? していないのか? 貴族の屋敷や王族が管理している図書には古代文字で書かれているものがあるだろ?」
「レガリア魔導爵家の書庫にはそんなものはないな。他の貴族家の書庫は知らんが」
「そもそも読めないといけないものなんですか?」
「いけないものだな。魔法陣を理解できないじゃないか。魔法はイメージで成すのは良いよな? 錬金術もイメージで成す。錬金術でも魔法陣を使う。けど、それは現代語の魔法陣だ。古代文明は古代の文字を使った魔法陣で行っていた。だから、錬金術を学ぶとき、古代文字もついでに覚える様なものなんだ。そうじゃないと過去の遺物の話が出来ないからな」
「魔法陣は理解しなくても使えますよね?」
「言っただろう? 魔法はイメージ。魔法陣は魔法を使うためのものだ。それが召喚魔法だ。だから、魔法陣がしっかりとイメージ出来ているという事は、ちゃんとした召喚が行われている証拠でもある。魔法陣への理解が少ないと、そもそもイメージが曖昧になるはずなんだよ」
「……なるほどな。それは確かに。召喚も魔法の1つであるというのであれば、イメージは大切だ。それが古代文字を使っているのであれば、知っていなければイメージが出来ないというのも解らなくはない」
「なあ、発動はさせなくても良い。この場で召喚に使う魔法陣を描いてくれ。今なら魔法陣を魔力で描くことくらい簡単だろう?」
「まあ、出来ますけど……」
そうして、魔法陣を描いてもらった。見て絶望した。これは、なんだ? 古代文字らしきものがあるのは良いんだけど、出鱈目過ぎてどうにかなりそうである。
これで召喚を行っていたのか? 本気か? こんな魔法陣でよく召喚出来たな。そもそも発動するのかどうかも怪しい……。いや、イメージだけで発動させているのか? じゃあ、魔法陣の意味は何だ? この魔法陣なら機能しない筈なんだが。
「なあ、アウスラリア。この魔法陣は誰から教わったんだ?」
「エレナールさんからです。……何かあったんですか?」
「ああ、大体解った。ありがとう。消してくれても構わない」
「何か解ったのか? 俺にはさっぱり解らなかったが」
「解ったのは、こんな魔法陣で召喚していたら、碌な召喚獣が出ない訳だ。俺が召喚するのに必要な魔法陣は32種類あると言ったな?」
「ああ、そうだったな。それがどうかしたのか?」
「今の魔法陣はどれにも当てはまらないと思う。そもそも古代文字が出鱈目過ぎるんだ。崩し字としても機能しない。だから、これで何故に召喚出来ているのかが解らない」
「……それはどういう意味なんですか?」
「俺が知る魔法陣は32種類。それの全てが古代文明によって作られたものだ。それは古代文字を使って表されている。だが、アウスラリアの展開した魔法陣は、どの魔法陣にも該当しない。……類似品が32種類にあるかもしれないけど、魔法陣そのものは機能していないはずだ」
「……魔法陣が機能していないのに、召喚が成功するのか?」
「恐らくではあるが、誰かが作った魔法陣で間違いはない。が、これで出てくる召喚獣はレベル50が良い所だ。それ以外の召喚獣には見向きもされないとは思う。本当に、なんで召喚出来ているのかが解らないんだ。余りにも出鱈目過ぎる」
「では、召喚士ギルドが強い召喚獣を呼べない理由は、魔法陣にあるという事ですか?」
「そうなるな。召喚士ギルドがこれ以外の魔法陣を使っていて、秘密裏に強い召喚獣を呼び出しているのであれば解らないが、こんな魔法陣では碌な召喚獣が出てこない」
誰だよ。こんな出鱈目な魔法陣を作ったのは。出鱈目も良い所だぞ。よくぞまあこれで魔法陣の役割を果たせているなとは思う。……多分だけど、何らかの要素を満たしてしまったんだろうな。だから発動はする。
魔法陣を使うのもイメージだ。召喚を魔法と見做せば、イメージさえしっかりしていれば出来るという事でもある。……属性に因らない魔法になるんだろうから、無属性なんだろうか? その辺もよく解らないんだよな。
奇跡的に何かしらに噛み合っただけの魔法陣なんじゃないか? これじゃあ150までは出る魔法陣と違うのは当然だ。誰もやり直しなんてしたがらない。だってそうだろう? レアの確率がもの凄く低くなっているんだから。




