クレマグリッドの町に帰る
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クレマグリッドの町に帰るのに、丁度いい依頼があったから受けることにした。商人の護衛である。道中は10日間。前回よりも直線的なルートを取るようだ。まあ、襲われることはあるまい。襲われた方が面白いとは思うんだけどな。盗賊は美味しい相手だ。良い鍛練になる。
出かける前に、しっかりと使用人の人たちにも話を伝えて、直ぐに帰ってくるから仕事は普通にしていてくれと声をかけた。それと、ホームストーンは何処にも移動させないでくれと頼んでおいた。
まあ、動かそうにも、ある程度の知識が無ければ動かせないんだが。そういうものである。魔力的な繋がりを切らないと、持ち運べもしない。設置するのは簡単なんだけど、後で再設置をするとなると、非常に面倒なのだ。
ゲーム時代は、色んな人が色んな場所においてくれてあったので、便利だったんだけどな。こっちだと盗まれる可能性もあるし、壊される可能性もある。下手な場所には置けないんだ。
何処にでも置けて、便利なものではあるんだけどな。普及させればとんでもない事になるとは思うし。移動の革命が起きてもおかしくない。
まあ、まだ皆よく解っていないけど、登録だけはしてもらった。……俺とアウスラリアだけは、それでクレマグリッドの町に帰る事が出来るんだけど、それでは他の人が可哀そうというか。
試練を与えても良かったんだけど、無事に来てくれないと問題が起きても駄目だからな。問題は少ない方が良いんだ。色々と出来る事もあるしな。
そんな感じで護衛依頼を熟した。……道中は何も無かったよ。盗賊の襲撃は無いし、魔物の襲撃も無い。何にもしないでクレマグリッドの町に到着してしまった。
経験を積むのであれば、1回2回は襲われた方が良いんだがな。それもまた依頼だ。移動だけで済んでしまっては面白くも何ともない。まあ、安全に辿り着けるのが1番ではあるんだけどな。商人も危険手当を出さないで済むんだし。
「そんな訳で、こっちのこれがギルドハウスになる。……タールスエニスの町に比べたら小さいけどな」
「確かに小さいな。これだけの人数が入るのか?」
「生産職の皆は、タールスエニスの町に帰るから、何とかなるとは思うけどな」
「……本当に帰れるんだろうな?」
「当たり前だろ。俺を信じろって。錬金術に不可能はあんまりない」
「俄かには信じられないんだがな。町と町を一瞬で移動するなんてな……」
「やってみれば解る。大体1日に100人くらいは行き来が出来るから。後は、こっちでも使用人を雇わないといけないかなとは思うんだけど」
「雇っていないのか。不用心だぞ。ある程度は人を雇っておかなければ、廃屋だと思われても仕方がない」
「その時は必要になるとは考えてなかったんだよ。……俺もアウスラリアも、このクランハウスには住んでいなかったからな。それなりに危険があったんだよ」
「……まあいい。まずはホームストーンの確認からだ。本当に移動が出来るのか。それを確認しなければならない」
「当然か。それじゃあ中に入るぞ」
少し埃っぽくなったクランハウスに入る。そして、ホームストーンに登録する。登録人数には制限がない。あるのかもしれないが、普通にプレイヤーの数くらいは登録できていたからな。相当な人数を登録できるはずである。
そして、それを使った生産職が一瞬で消えた。クレイスも使ったのか一瞬で消えていった。……暫くしたら戻ってきたが。まあ、向こうに用事はあんまりないだろうしな。
「非常識だ……。何故こんなものが存在しているんだ?」
「とは言ってもな。あるんだから仕方がないだろう? 俺だって作った時は半信半疑だった。でも、便利で使えるんだから良いだろう?」
「マジックバッグの時も思ったが、何故これで国に所属していないんだ? 宮廷錬金術師くらいにはなれるぞ?」
「面倒だから嫌だね。俺は冒険者で自由に生きたい。楽しみたい。宮廷錬金術師なんて楽しそうじゃない。研究なら野良でも出来るからな。まあ、そもそもではあるが、宮廷錬金術師には負ける気がしないが」
「負ける気がしないというか、技術的には10歩も20歩も先を歩いているだろうな。……なんでこんな錬金術師が在野にいるんだ?」
まあ、当然の疑問ではあるだろうな。まさか異世界にはこの世界を模したゲームがあるんだなんて、言っても信じられないだろうしな。俺も普通なら信じないとは思うぞ。
だけど、こうやって色々と出来るようになったのも、ゲームのシステムを理解して、色んな事をやってのけたからなんだよな。……今ではゲームの知識よりもこっちの知識の方が良い感じになってきているんだけど。シルエンディールのお陰だな。
とりあえずは、使用人が居ないと始まらないという事で、使用人を商業ギルドで雇用した。ついでに、隣の建物も購入した。使用人も入れると、手狭になる可能性があったからな。出来るだけ広げておきたい。15人用のクランハウスでは小さいんだ。なので、隣の15人用のクランハウスも購入して、30人は活動できるようにしておいた。
これで人数的にも大丈夫だろうとは思う。まあ、まだまだ増やしていくけどな。今は2パーティーしか居ないんだ。これから10パーティーくらいまでは拡大していく。まあ、2パーティーは先行して育てていかないといけないとは思うけどな。
何処まで育てるのか。何処までも育てるんだよ。俺だって、レベル250以上になるんだから。経験値さえ稼げば、レベルは上がるはずだ。ゲームとは違う。レベルに上限なんて無いはずだ。
戦闘を熟し、生産を熟していけば、レベル300だって夢じゃない。今は何レベルなんだろうな。まあ、レベルを頻繁に計ってもあんまり意味がないんだけどな。
成長したかどうかは、戦闘経験、生産経験がものを言って来る。単純にレベルだけ上げても、魔法も知らなければ、アーツも知らないでは話にならない。強くなりたいのであれば、そのくらいは出来るようにならないといけない。
だから、圧倒的に経験が大事なんだ。パワーレベリングをするのもそのためだ。引率されて、経験値だけを貰っていたら、パワーレベリングとは言えない。普通のゲームではそれをパワーレベリングと呼ぶのかもしれないが、このゲームは違う。
レベルよりも経験だ。経験値も欲しいが、それ以上に戦闘をしたという経験がものを言って来るんだ。五月蠅いくらいに言って来るからな。真剣にレベル上げをしないといけないんだよ。
というか、帰ってきたんだから、ギルドに顔を見せないと不味いよな。色々と後でどうなったのかも聞きたいことがあるし。盗賊団とかどうなったのか気になる所ではあるからな。
そんな訳で、全員で冒険者ギルドにやってきた。依頼の確認なんかもしたいだろうし、冒険者ギルドの雰囲気も違うだろうからな。確認をしないといけないだろう。
それで、俺たちは馴染みの受付にまで来たんだが。
「あれ? アウスラリアさんじゃないですか。帰ってきたんですか?」
「はい。帰ってきました。ちゃんと目的は果たしましたよ?」
「確か、クランを立ち上げに行ったんでしたよね? となると、そちらの人たちがクランメンバーですか。見事に亜人種ばかりです……人間も居ますね?」
「貴族の方です。亜人には偏見がないようで」
「なるほど。タールスエニスの町の貴族は亜人に偏見がないとは聞いていましたけど、そこから1人迎え入れたんですね。それならこっちの貴族が手を出すことは無さそうですね。その話も喧伝しておきましょう」
「すみません。よろしくお願いします」
面倒ごとは御免だからな。しっかりと喧伝してくれ。クラン、リベレーションズに手を出したら、レガリア魔導爵が黙っていないぞという事を。貴族からの介入は、貴族から封じ込めた方が良いんだろう。詳しい事は知らないけど。単純に意気投合したから迎え入れただけなんだよな。




