初めの村に到着
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魔法を改良していたら、目的の村にやってきた。ここである程度の商売をしつつ、次の村に行くという道順を辿る。14日で14か所を回るんだ。馬車の移動は思ったよりも遅い。
馬車というのは、1日に100kmも進めば、かなり進んだ方である。大体は1日50kmも進めない。荷物が多ければ特にだな。
馬だって生き物なのだ。疲労もするし、空腹にもなる。休憩は絶対に必要だし、水分や塩分も取る必要がある。一応だが、最速で動くと人よりも早い動物は多いが、人ほど持久力に優れた種族も少ないんだ。走り続けるだけなら、人間の方が有利なのである。
馬車に夢を見ている人が居るかもしれないが、そのくらいしか進まないんだ。地球の科学力が如何におかしいか理解できるだろう。普通は1日に1000kmも移動できない。自動車や飛行機なんかが発展してきて、移動に革命が起きている地球がおかしいだけだ。普通の乗り物では、この程度しか進めないんだよ。
村では、ちょっとしたお祭りの様になっている。買い物をする機会が限られる村だからな。町にまで行かなければならない時もあるんだろうが、ちょっとした冒険である。そりゃそうだ。村から町まで40kmも50kmも離れているんだからな。大体は魔境が悪いんだが。各所にあるせいで、密集して住めないのは問題だよなあ。
それで、こういう機会に、村を出る若者も居るらしい。町に出て就職活動をするんだろう。まあ、大半は冒険者になるんだろうが。向いていない人は、職人なんかになるんだろうけど、伝手がないと、職人にもなれない。
中々に厳しい世界だ。大企業と言える商会が存在しないのが大きいか? 大きい商会でも、1万人も抱え込んでいる訳ではないだろう。地球だと、工場から開発部署、人事を担当する部署だったり、色々とあるせいで、従業員の数が全体で1万人規模って所もない訳ではなかったからな。
まあ、そういう企業は、グループであって、1つの会社で全員を抱え込んでいた訳でもないんだが。末端まで含めれば、そのくらいの数になるってだけである。
ド田舎の町工場が、大手自動車会社の末端なんて事もあったからなあ。そういう仕組みを作った人が居るって事でもあるんだが。
こっちは産業革命が起きていないからな。その代わり錬金術なんかがあるんだが。でも、思った以上に発展はしていない。もうちょっと何とかなるんじゃないかとは思うがなあ。
ただ、発展をする方が良いとも限らないのが何とも言えない所ではあるが。どうしても物価が高くなるからな。農村と町での格差が大きくなる。
農村でも、産業革命が起きれば、それなりの恩恵を受けられるのはそうなんだけど、それ以上に物価が上がり過ぎるんだよ。農作物を作って売れば良いだけの生活とは、違ってくるのかもしれない。
ここは酪農にも力を入れているのか、チーズや繊維が結構蓄えてあるらしく、商人が買い漁っているけどな。こういう村ばかりでは無いんだろうし、厳しい村は厳しいのかもしれない。
「お祭りみたいで良いですね。こういう雰囲気は、村にいたころを思いだします」
「まだこの村は活気がある方だけどな。酪農をしている分だけ、まだまだ余裕がありそうだ」
「そうですね。……土地の条件なんかも良さそうですし」
「……だな。さて、夜になるが、俺たちは早番になった。先に見張りをしないといけない。宿屋なんて商人が泊ったら後の部屋は無いんだから、俺たちは野宿だ。大丈夫か?」
「大丈夫です。慣れては居ないですが、何度かはやったことがありますので」
「そうか。……とりあえず、テントを用意しないとな。あの辺でどうだ?」
「良いと思いますよ。真ん中は少し面倒ごとが多そうなので」
「僕の意見としては、あの辺が良いかなって思うんだけど?」
「ふむ? その心は?」
「もしもこの村で何かをしようとするなら、あの辺で何かを起こすだろうからね。そこも見張れるあの辺が良いと思ったんだけど?」
「……なるほど。一理ある」
「そうなのですか? 襲撃はまだ先の話なんじゃないですか?」
「襲撃をするにしても、打ち合わせが必要だろう? 護衛の位置は今日の朝に決まったばかりだ。それなら、ある程度の作戦会議は必要だろう。今後も同じ位置で護衛をするだろうし、今のうちに決めておくことは決めておくだろうからな。……となると、建物の陰や死角となる場所はこの辺になる。この辺なら、村人から見られる心配も殆どないだろうしな」
「それに、襲撃は昼間だよね? 夜に襲撃をしても良いだろうけど、情報を総合的に判断するに、昼間の方が都合が良いだろうしね」
「だな。目印に黒い布を使っているんだ。夜だと同士討ちの可能性も上がる。折角離反者というか、潜入させている工作員が居るんだ。出来るだけ連携を取りたいだろう?」
「なるほど……。確かにそうですね」
「逃げるんなら、直前の村で消えている護衛が居るはずだ。まあ、そうなった場合、警戒してくれと言わんばかりの状況になるし、生き残った冒険者が怪しまれるのは当たり前の事だからな。その辺は冒険者ギルドも把握しているだろうし、黒確定の冒険者はそうやって洗い出したはずだ。まあ、襲撃をしたら、暫くは別の場所で冒険者活動をするんだろうがな」
「だったら、あの場所にしようよ。出鼻を挫いておいた方が良いとは思うよ?」
「だな。……それと、シルエンディールには、遅番の方を頼めるか?」
「元々そのつもりだよ。それと、念のためにシャドーサーペントは潜ませておいた方が良いとは思うけどね」
「護衛にも必要か。信用できる冒険者が少なすぎるからな」
「そうですね。私も用心します」
「じゃあ、決まりだね。動くかなあ?」
「動くだろうな。……風の精霊なんだから、声を届ける魔法は使えるんだろう?」
「当たり前でしょ? 僕を誰だと思っているのかな? そういう事も含めて、遅番に居た方が良いと思うんだよね」
「愚問だったか。じゃあ、頼んだ。早番の時には、俺が情報収集を行うからな」
「……気を付けてくださいね?」
「ああ、上手くやるさ」
色々と情報収集をしないといけないだろうからな。出来れば、襲撃者ではない所と話がしたい所である。出来る限り死者は少ない方が良い。その後の護衛計画に関わってくるからな。
出来るだけ数を減らさない様にしないといけない。盗賊団がその1つとは限らないんだしな。まあ、大体半分が抜けるのと、冒険者ギルドが送り込んできた6人が抜けるとして、護衛は30人くらいになる。キャラバンを護衛するなら少ないからな。
それをチャンスだと思って襲撃をかけてくる盗賊団が他に居ないとも限らない。その時に、戦力が居れば、回避できることもあるだろう。ある程度の戦力は残しておかないと不味い。
それでも仕掛けてくるなら、返り討ちにしてやらないといけないが。盗賊なんかに遅れを執る訳がない。今まで襲い掛かってきたPKに比べれば、容易いものだからな。マジでやばい奴らは、本当にどうにもならなかったけど。
こっちの世界で、盗賊なのにレベル100を超えている奴なんて居ないだろうし。……居たらなんで盗賊なんてやっているんだって話になってくるからな。普通に冒険者で食っていけるだろうに。難儀な性格をしているなと思わざるを得ない。
バトルジャンキーは知らん。俺なら冒険者で対人戦専門で食っていくとは思うけどな。盗賊の方が強い奴と戦えるとか、そういう思考になっているのであれば、真正だなとは思うけど。
そんな奴はそうそう居ない筈である。命が惜しいこの世界で、バトルジャンキーをやっている奴は、マジで死にたがりだからな。普通はあり得ない。居ないと確定できることではないが、まあ、それならこんな場所には居ないだろう。もっと強い冒険者と戦える場所を選んでいる筈だからな。




