胡散臭すぎた
OFUSE始めました。
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「キャラバンの護衛依頼ですね。まだまだ空きはありますよ。というか、上限が無いんですよね。出来るだけ安全にって動きをしている訳ですし」
「上限が無いのですか? それは資金的に大丈夫なんでしょうか?」
「さあ? そこまでは解らないですね。こっちが調査をしている訳ではないので……」
「依頼は何日後だ?」
「そうですね、5日後になります。何か問題はありましたか?」
「いや、ちょっと胡散臭さを感じただけだ」
「胡散臭さ、ですか?」
「グラーデン、何かあるのですか?」
「何かあるな。ちょっとギルマスに話を聞いていいか?」
「え? まあ、今は部屋に居るとは思いますけど……」
「ちょっと聞くだけだ。……裏があったら、長話になるだろうが」
そんな訳で、ギルマスの部屋に行く。勝手知ったるという感じだが、本当は駄目だぞ。ギルマスだって忙しいんだし。誰でも彼でも突撃して良いという訳ではない。……ただ、あり得るとすれば、この依頼を受けるように誘導されている可能性がある。
「ギルマス、居るか?」
「居るよー。グラーデン君もよくここに来るよね。何か問題でもあった?」
「ああ、あったな。キャラバンの護衛は仕込みだな?」
「……流石にバレるか。あれを受けてくれるんだよね?」
「ああ、ご丁寧に終着点がタールスエニスの町だったからな」
「……グラーデン、流石によく解らないのですが、何か問題があったのですか?」
「勘の様な感じだったけどな。明らかにおかしいだろう? タールスエニスの町に行く商人の護衛が確実にあると思ったか?」
「いえそれは。運が良いなとは思いましたけど……。ですが、それで仕込みを疑いますか?」
「疑うには十分だったからな。あの依頼は、俺たちがギルマスを尋ねてから出てきた依頼だ。そうでなければ、明日出発や明後日出発でもおかしくなかったからな。それが5日後。俺たちが受けることを前提に依頼を出した奴が居るって事だ」
「冒険者ギルドと召喚士ギルド、商業ギルドが絡んでいるんだよね。まあ、あれから結構な時間も経っているし、こっちも遊んでいた訳ではないんだよ」
「召喚士ギルドもか……。となると、ザガット伯爵家とクレドンナ伯爵家の謀か」
「そういう事だね。貴族が指名依頼を出す訳にもいかなくてさ。しかも、別の地域の問題に、こっちが依頼で解決するのは難しかったんだよね」
「別の地域ですか?」
「ああ、そういう事か。繋がって来たぞ。となると、エタニアス伯爵家の絡みか」
「そういう事。バレても良いよって言われていたけど、簡単にバレるんだもの。まあ、胡散臭いよねとは思うよ? けど、いい機会だからね。使わない手はないって事なんだよ」
「何かが起きたという事ですか……」
「何かが起きたというか、何かが起きていたのを、漸く突き止めたというか。まあ、一言で言ってしまえば、そのキャラバンは盗賊に襲われるようになっていたんだよ」
「……その盗賊は馬鹿ですか? 普通は護衛が大量に居るキャラバンを襲わないと思うのですが」
「普通ならね。けど、キャラバンを絶対に襲えって指示を出されていたとしたら?」
「キャラバンを絶対に襲え?」
「……それがエタニアス伯爵家の指示だったって事か。となると、盗賊団を使って、色々と細工をしていたという事になってくるな」
「そういう事だねえ。何でも、キャラバンを襲わせて、荷物を根こそぎ奪って、色々と混ぜ物をしたり、価値を低くして高値で売ったり。それはまあ、色々とやっていたみたいでねえ。黒判定が出た冒険者も何組も居たりしてね。本気でエタニアス伯爵家を怨んだね。冒険者ギルドの方にも介入していたみたいでさ」
なるほどな。大体は見えてきた。なるほどなるほど。キャラバンというのがキーな訳だ。要するに、盗賊団として、普通の商人も襲っていたのはそうなんだろう。だけど、エタニアス伯爵家から、キャラバンは絶対に潰せって言われていたんだろうな。
そして、黒判定が出ている冒険者たちで埋めさせて、逃げると。そうすると、護衛が簡単に片付くから、盗賊団としても美味しい訳だ。そこからエタニアス伯爵家にある程度ちょろまかしてから納品すると、換金してくれるんだろう。それを悪い方法を使って、更に転売すると。
で、盗賊団に武器や食料の支援をしていた感じかな? 裏で色々としていた訳だ。……冒険者でも黒いのは居たか。居るわな。召喚士ギルドにも介入していたんだもんな。冒険者ギルドの方が介入はしやすいだろう。
それで、色々とやらかしていたのがバレました。でも、盗賊団は外部の、別の町の管轄範囲でやらかしているから手を出せない。じゃあ、その町を経由して、俺たちに護衛依頼を出せば、勝手に解決してくれるだろうと。なるほどなあ。
「依頼上限が無いのも、黒い奴らを洗い出すためか?」
「そうだよ。だから護衛は半分くらいに減るからね。盗賊団は50人から100人くらいの規模なんだけど、冒険者は大体60人くらい集まるかなって。その内の半分が寝返っているから、頑張ってほしいかな。でも、正直な話、余裕でしょ?」
「まあ、襲撃が来ることが解っていて、ある程度の離反者が出ることが解っているなら余裕だな。気が付かなければ、面倒な事になったとは思うが」
「そこは勘弁してほしいよね。僕だって言いたかったけど、口止めはされてたし」
「その代わり、気が付くのであれば教えてやれと言われていた訳ですか?」
「そういう事。グラーデン君なら気が付くとは思っていたよ。アウスラリアさんも、もしかしたら、違和感に気が付くかもねって思っていたけど、グラーデン君が一緒のパーティーになってから、大分人を信じる方向に向かっている様で良かったよ」
「……今回はそれが仇となりましたけどね」
「こういうのは適材適所って言うんだよ。グラーデン君が警戒しない訳がないもん」
「まあ、それはな。都合のいい依頼が、都合のいい時にあったら、誰だって警戒する。利益度外視で動かされている依頼なんて特にだな。何かありますよと言っているようなものだからな」
「だよねー。純粋に育っていれば、こうはならない筈なんだけどね」
「で? 盗賊団が居るのは解った。何処までやっていい?」
「皆殺しでお願い。出来る限り逃がさない感じで。可能であれば、アジトも突き止めてくれると嬉しいな」
「アジトは流石に無理だな。護衛依頼から離れることは出来ない。それはそっちで何とかしてくれ。……正直なところ、大体の場所は掴んでいるんだろう?」
「まあね。今回通る所の近くにあるんだよ。仕方がないかあ。それじゃあアジトの方はこっちで人員を確保しておくよ」
「物品をそのまま持っていっても良いのであれば、アジトを潰しに行くのも吝かでは無かったんだが、物品の横領は駄目なんだろう?」
「超巨大なインベントリ持ちに、横領なんてさせると思う?」
「だろうな。後で疑われるのも御免だからな。アジトを潰すのは辞退させてもらう」
「そうしておくように。っという事で、町を移動するときに、一仕事して欲しいって所なんだよ。……多分だけど、黒の冒険者は逃げるって思わない方がいいかもね。盗賊団と一緒になって襲い掛かってくると思った方が良いと思うよ?」
「……盗賊団と冒険者で、何かしら識別できるものがあるって事ですか?」
「お? アウスラリアさんもやるねえ。そうだね。識別できる何かがあるとは思うんだよ。それが何かは解らないけど、まあ、難しいものではないだろうね。グラーデン君なら直ぐに気が付くと思うよ。アウスラリアさんも気を付けていたら気が付くかもね」
「大方、左腕に黒のハンカチを結んであるとかそういうのだろうな」
「……死者の弔いの証ですか。確かにそれなら不自然ではありませんね」
「その辺は実際に確かめて貰わないといけないかな。こっちでは確証が無いし」
「その辺は移動中に探る。まあ、後5日後なんだ。準備は出来るだけしておくさ」
全く。こんな依頼にしてくるとはなあ。都合のいい時に、都合の良い依頼なんてある訳がないんだから。気が付くとかそういう話じゃない。胡散臭いですって書いてあったのも同然なんだ。
気にする事でもないけどな。ギルマスからお前らなら死なないよねって言われているだけだし。こんな所で死ぬわけにもいかないからな。少しばかり、スリリングな旅になったかもしれないってだけだ。
種が解れば、後は簡単だ。先に裏切者を処分しておくとして、味方の奴らにどうやって言い訳するのかだな。話して解る様な奴らなら良いんだが……。




