新たなる召喚獣
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そんな感じで、ギルマスから情報を貰って、次の町の準備をしないといけない。まあ、特にやることは無いとは思うんだけど、それでもだな。ある程度は準備しておかないといけない。
装備品を確保するために、鉄や銀や金を買い漁っておいたり、宝石も仕入れたりな。必要な事はやっておかないといけない。出来るだけ強いパーティーを目指すんだ。最強クラスのパーティーを作るのであれば、そのくらいはやっておかないといけないんだよ。
それで、召喚士の中でも、最強クラスになって貰わないといけないアウスラリアには、今回、呼び出してもらいたい召喚獣が居る訳だ。出てくる可能性は50%くらいである。運よく引けるかどうかという所だな。準備は万端にしたと思っているが。
「それで? 供物は何にするのですか?」
「風属性の装備品類だな。風属性の召喚獣でも、精霊を狙う。そのために時間をかけて準備をしてきたんだからな」
「……剣や盾も見えますが?」
「精霊にも2種類いるからな。前衛タイプと後衛タイプだ。欲しいのは前衛タイプの精霊だ。だから剣も盾も用意した。……割と出費が凄いから、1回で成功して欲しい所ではある」
「そんなに出費したんですか?」
「大白金貨が飛んだ。これで解るか?」
「……1兆ジェルも飛んだんですか? 一体何を準備したんです?」
「一番高価なのはこれだな」
風属性の精霊石の指輪である。結局、オパールを買い直し、魔宝石から精霊石にランクアップさせるだけのオパールも用意した関係上、もの凄い金額が飛んでいった。本当であれば、もっと等級の高い宝石を使った方が良いんだろうが、ここでは6等級のテンペストライトですら、王族への献上品に使われるらしいからな。7等級でも高い高い。
お馬鹿の貴族連中から資金を根こそぎ奪っていなかったら、こんな事は出来なかった。
「風属性の精霊石の指輪は、装備すると魔力が上がるのは当然として、風属性の魔法に補正が乗る。大体1.7倍から2倍の補正が乗るようになる。……まあ、その程度が限界ではあるんだけどな。オパールしか手に入らなかったし」
「宝石を使ったのですか? ですが、それを供物に?」
「する。今回の目玉だからな。これが無いと、精霊を呼び出せない。精霊はかなりの上位存在だ。精霊というだけでも150レベルを越えてくる。その中でも良い精霊に当たるには、現状で用意できる、最高のものを用意しなければいけなかったんだ。……まあ、資金が手に入ったからな。奮発したのもあるが」
「はっきり言って、国宝級の代物ですよ? 風属性の魔法の威力が2倍になるなんて、絶対におかしいと思いますし」
「貴族に見せたら駄目だろうな。まあ、こうやって供物にする以上、捨てるのと同義なんだが」
「……供物にしたら、戻ってこないんですよね。失敗したらと思うと、体が震えてきますね」
「何、失敗したらそれまでだ。また作れば良いだけの話。時間はかかるが、そう難しい事ではないんだ。素材を幾つか使うだけだ。……まあ、気負う程じゃない。それなりに稼げたからな。まだまだ大白金貨は残っている。召喚獣ガチャ程度では揺らがないさ」
なお、金額よりも、精霊石を作る方が苦労する模様。精霊石は、魔法石を昇華させて作るんだけど、素材がもの凄い勢いで溶ける。それはもう、風属性の素材を大量に消費した。品質を良くするために、更に素材を溶かし、まあ、酷いくらいには素材が溶けた。
宝石を魔宝石にするだけでも、結構な素材を消費したんだが、精霊石にするには、もっと素材が必要になる。本来であれば、もっと小さな精霊石を使うつもりで居たんだけどな。金があるって素晴らしい。市場にある素材を限りなく使えるんだから。
金ではどうする事も出来ない事もあるんだけどな。高級素材を使いたければ、自分で採取するしかない。自分で用意しなければならない。この近辺で取れる素材はそこまでの品質でしかない。もっと奥地の魔境で採取できる素材の様な、ぶっ飛んだ品質のものは用意できないからな。
冒険者が辿り着けないんだから、誰もその素材を知らない。仕入れが不可能なんだ。そういうものを大量に求めていきたい所ではあるんだよな。今後の召喚獣の召喚にも、色々と使うだろうし。
特に精霊なんて、未実装の奴らも含めたら、もの凄いレベルになるはずなんだよ。最低でも150レベルは伊達ではない。ゲームでは250までしか出なかったが、こっちは現実だ。俺も知らない召喚獣が出てきてもおかしくない。
何が起きても大丈夫なように、心構えはしておかないといけないだろうな。……マジで何が起きるのかが解らないんだよなあ。召喚獣の召喚って、本気でランダムだし、運が良ければ、それこそ250レベル越えだってあり得るんだから。
「時間はもう少しあるからな。供物は準備しておいて、後はアウスラリアが召喚するだけだ。出来るだけ良い召喚獣を引いてくれ」
「プレッシャーをかけないでください。良い召喚獣なんて、引けるかどうかなんて解らないんですから。それに、この8点の装備を消費して、碌な結果にならなかったと思うと、震えてきます」
「まあ、普通に装備したら、風属性の魔法使いが強すぎることになるからな。全部風属性で揃えたし、魔法の倍率が伸びる様な装備だからな。剣に盾、腕輪2つに足輪が2つ、ネックレスに指輪だからな。指輪が一番コストがかかっているとは言っても、ネックレスも腕輪に足輪も、相当な金額が費やされている事には違いがない。これらを全部装備して、風属性の魔法を使ったら、レベル30程度でも、レベル100のところで戦えるくらいの装備だからなあ」
全部ミスリルで作り、要所要所に金で細工を施してある。精霊石も指輪とネックレスに使ってあるし、ネックレスの方は割と頑張った感はある。指輪の方がコストがかかっているが、単純な価値だけ見たら、ネックレスの方が高いと思われても仕方がないくらいにはお金をかけた。……見た目以上に、指輪がやばいだけで。
さて、そろそろ時間だな。満月でも無ければ、新月でもない。普通の月齢ではあるが、こういう時の方が狙い目だろうとは思う。新月の時と満月の時は、別の召喚獣を狙いたくなるし。まあ、偶然の時もあるんだろうけどな。
「さあ、アウスラリア。準備はいいか?」
「何時でも大丈夫です。しっかりと祈りを届けます。供物と一緒に」
「じゃあ、やってくれ」
「はい」
光が立ち上る。空へと登って行った光が、星で魔法陣を描く。巨大な魔法陣から、何が出てくるのかだ。まあ、精霊が出てきて欲しい所ではあるんだけど。精霊が出てきてくれないと、折角の供物が台無しだ。
光り輝く魔法陣が降りてくる。その瞬間、魔法陣が5重に重なった。……来たか。確定演出が。魔法陣が重なると、それだけ強い召喚獣が出てくる事になる。俺が知っている演出ではあるが、5重に重なったのは初めてだ。俺が体験したことがあるのは2重までだ。
話では、3重に重なることもあるとは聞いていた。が、5重となると、期待が膨らむ。確定演出なので、ある意味ほっとしたのはそうなんだけど、何が出てくるのか、解らなくなってきたな。未知なる召喚獣が出てくる気すらする。
光が集束し、魔法陣がどんどんと小さくなっていく。大きさ的には小さい召喚獣らしい。それは確かに望んでいた大きさでもある。精霊は基本的に人型だからな。大きくないのが普通だ。それなら精霊の可能性も十分にあり得る。
だが、出てくるまでは何も考えるな。まだ早い。期待を膨らませるのは良い。だけど、確信してはいけない。何の召喚獣が引けたのか。それが解るまでは我慢だ。まあ、良い召喚獣が出てきたのは確定ではあるんだけどな。




