貴族の派閥
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召喚士ギルドで話を詰めた結果、貴族としてやってはいけない事をしている可能性があるとして、エタニアス伯爵家を潰す方向で動く様にしてもらう事になった。統治体制が変わるかもしれない。エタニアス伯爵家が処分されたら、2つの伯爵家で回していくのか、それともそこに割って入る貴族家が出てくるのかだ。あまり詳しい事は解らないんだよな。貴族に詳しい訳ではないから。
「聞きたいんだが、エタニアス伯爵家を追い立てることに成功したとして、そこに新たな貴族家が入り込んでくる可能性はあるのか?」
「入り込んでくるというか、ねじ込んでくるよね。何処の貴族が来るのかで、また大きく変わるんじゃないかな?」
「そうですね。ですが、反亜人の貴族家をねじ込んでくることは難しいでしょう。今の王国の人間至上主義派がここにねじ込むことは無いと思います」
「……何とも言えない派閥の名前ですね」
「そもそもが王国が1枚岩では無いのは解り切っているが、何派があるんだ?」
「そうですね。一番大きいのは元帥派ですね。ここが送り込んでくる可能性が高いのですが、簡単に言えば、兵士を強化しておけば、不測の事態にも備えられるって派閥になります。国を支えるのは兵力。戦争になる可能性も考慮すれば、それが当然という事になってきますから」
「僕ら冒険者ギルドはザガット伯爵家の管轄で、宰相派になるんだよね。冒険者や民間の戦力があれば、魔物の脅威から助かる場所も多くなる。兵士よりも圧倒的に冒険者が多いんだ。だから、冒険者を増やせば、国はもっと良くなるって考えているのがこの派閥かな」
「クレドンナ伯爵家は財務卿派になりますね。商業ギルドや召喚士ギルドを抑えているのは、商業をどんどんと大きくするためです。商業が大きくなれば、それだけ兵力や冒険者を抱え込んでも大丈夫って事になりますからね」
「それと、人間至上主義派って感じかな。この勢力は、何処が中心なのかは解らないけど、色々とあるみたいなんだよね。まあ、とにかく亜人は認めないって感じの派閥だよ」
「今はこの4つに集約されていますね。……もっとも、派閥内で別の派閥があるので、4つとも言いにくいのですが。例を上げるのであれば、財務卿派も、商業ギルド派と召喚士ギルド派があったりしますし。どっちも重要なのですが、どちらの方が優先なのかという事を、争っている感じですね」
「……面倒だな。それに組み込まれたら、非常に面倒だ」
「ですね……。貴族のごたごたは、私たちには関係ないと思いたい所なのですが……」
「冒険者である以上は、関係ないって事はあり得ないんだよ。特に優秀な冒険者であれば、猶更ね。優秀であればある程、宰相派の誰かが近づいてくるし。まあ、アウスラリアさんもグラーデン君も、ザガット伯爵家が抑えたって事で良いとは思うけど」
「本音で言えば、アウスラリアさんは召喚士ギルドで抱え込みたかったのですけどね。冒険者をやられるのであれば、冒険者ギルドに所属してもらう事になるとは思うので、召喚士ギルドに抱え込むのは難しいでしょう。……特に、今回の事もありますからね」
「それは、御免なさい。召喚士ギルドというか、エレナールさんには良くしてもらったのに」
「良いのですよ。私が勝手にしたことではありますので。冒険者を辞める事があったら、召喚士ギルドに引き抜きたいって思っているくらいです」
「当然狙って来るよねえ。出来るだけ、冒険者ギルドの所属であって欲しいかなって、僕は思うけど、そればかりは強制も出来ないしね」
「まあ、俺は死ぬまで冒険者ギルドに所属する事にはなるとは思うがな。……それが宰相派であるとは限らない訳だが」
「それはねえ。また別問題だもんね。何時までも宰相が変わらないって事はないんだし。方針転換をしたら、それで派閥はまた動く。貴族家も当主が変われば、派閥は変わる。動くものだからね。こればかりはどうしようもないかな」
「そうですね。クレドンナ伯爵家は、特に召喚士ギルドに力を入れていますが、それが覆ることもありますので。その時はその時でしか判断は出来ませんからね」
「貴族は皆人間だしね。寿命が短いから、変化は割と直ぐに起きるんだよ」
「……亜人の貴族は居ないのか?」
「昔は居たんだけど、ほら、貴族って特権階級ってイメージがあるかもしれないけど、義務も多いんだよね。それが嫌で、貴族を辞めた人も多くいるんだよ。平民の方が楽だって事でね。特に、寿命の長い亜人種は、貴族に辟易としていることが多くて、早々に辞めてしまっているんだよ」
ああ……。それはなんとなくだけど解る。何十年も何百年も貴族をやっていないといけないのは、確かに面倒だろうな。子供に押し付けると言っても、子供が出来るまでは貴族をしなければならない。それに耐えられない人も出てくるだろう。
結果、人間の貴族だけが残ったと。解らないでもないな。王族であれば、簡単に辞める事なんて出来ないんだろうが、貴族はなあ。ライバルが勝手に減っていくんだから、好きにすれば? って思う貴族家も多くあると思うし。
色々とあるんだなって感じだな。派閥なんて面倒な事をしてくれるんじゃないとは思うが。派閥なんて作っても無駄だしな。結局は、敵国には1枚岩で当たらないといけない訳だし。まあ、人間よりも、魔物の方が脅威ではあるとは思うけどな。
ここ、デカルデント王国は、そこそこの魔境があって、そこそこの戦力しか居ない筈なんだけど。超難易度の魔境もない訳ではないが、未開地にあるしなあ。ゲームでは、ソロで突撃してたけど、現実はソロだときつい。移動時間も考えないといけないし、泊まり込みが必要になってくるだろうしな。
まあ、暫くは先の話だからな。まずはパーティーを組まないといけない。アウスラリアの目標を考慮に入れると、最低でも6人パーティーが必要になってくる。役割もある程度は決めないといけないだろうし、編成は無難なものになるとは思う。
既に錬金術師がパーティーに加わっている時点で、色物感はあるんだけど、それは仕方がない。俺が錬金術師を辞める事は無いだろうし。辞めても良いって思えるだけの錬金術師を引き込めたら、それはそれで良いんだけど。
貴族のごたごたには巻き込んでくれるなとは思うがな。クラスで色んなところから引っ張られるんだろうし。クランを作っても、引き抜きが横行したりするのかもしれない。まあ、引き抜かれる様な待遇にはしないつもりではいるけどな。
とりあえずは、ザガット伯爵家が後ろ盾になってくれるんだろうし、安心してクランを作ることが出来る。……ザガット伯爵家の評判が解らないので、良いのか悪いのかの判断は出来ないんだけどな。平民からは良くても、貴族に敵が多いと面倒だし。
ただ、暫くはこの町に滞在しないといけないんだよなあ。もうちょっと作成物に時間がかかる。まあ、エタニアス伯爵家の最後を見届けつつ、他の町に行くことになるかなとは思うんだけど。それまでは、お金稼ぎと、経験値稼ぎだ。アウスラリアの装備も整えないといけないからな。……まだまだ作らないといけないものは沢山あるんだよ。
これが錬金術師の仕事だからな。装備品を整えるのも錬金術師の仕事だ。というか、万能職なんだから、便利に使わないといけないって感じではあるんだけどな。色々と出来るから、錬金術師を選んでいるんだし。これで何も出来ないのであれば、錬金術師なんてやっていないからな。ソロでも活動できるという事は、パーティーでも役割がある。その役割をしっかりと熟していけば良いとは思うんだよな。出来ることは多くある。それを熟せば良いんだ。




