商業ギルドへ
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冒険者ギルドに帰ったら、またこんなに大量に持ってきてと言われてしまった。まあ、仕方がないだろう? それだけの戦利品を持ち帰ってくるだけの余裕があるんだから。結構な数の戦利品を納めているからな。それなりにお金にはなっている。良い事だな。目標の金額までは貯め込むことにしないと。……その金額が解らないので、明日にでも市場調査に行こうとは思っているんだけどな。
そんな訳で、今日。市場の低品質の金属を買い漁りつつ、商業ギルドへ。ここでの目的は1つだ。クランハウスになり得るだけの建物を購入する事だ。こういうのは冒険者ギルドでは扱っていない。建物は商業ギルドの管轄だ。まあ、10人くらいは住めるようにしておかないといけないかなとは思うが、まだそんなに拡大するほどでも無いんだよなあ。
欲しいのは一軒家。ある程度のセキュリティを保障してくれれば問題ない。それ以上はこっちでやるからな。……それと、空間属性の素材がある程度は欲しい。無いと移動に困るので、出来ればあった方が良いんだよ。それを設置する広さのある場所が一軒家にあれば、文句なしで購入するところではある。もしも、直ぐにでも買えるのであれば、買ってしまった方が良いとは思うんだよな。
「今日も碌な金属が手に入らなかったな。……何とか足輪は2つ作れるが、これが基本だとすると、装備の品質が終わっているとは思うんだよなあ。ゲーム時代も混ぜ物をしている人は多くいたけど、基本的には混ぜた方が強くなるから混ぜるんだし。価値を偽るために混ぜ物をするのは少数派だったんだがな……。まあ、とにかく、商業ギルドで色々と見てみない事にはどうしようもないんだけど」
商業ギルドは、デカかった。冒険者ギルドの10倍はありそうなくらいにはデカかった。……ゲーム時代には同じくらいの大きさだったような気がするんだけどな。何がここまで格差を産んだんだ?
「いらっしゃいませ。どのようなご用件でしょうか?」
「素材が欲しい。空間属性の素材を見せてくれ」
「空間属性ですね。こちらがリストになります。そして、横に書いてあるのが値段になります。流石に全てを見せることは出来ません。ですが、要望の素材があれば、この場にお持ちしましょう」
ふむ……。中々のリストだな。この素材の値段が少々気になる所ではあるが。ゲーム時代の10倍の値段だ。産地から遠いから仕方がないのかもしれないが、10倍は痛い。……が、買わないという選択肢はない。ここを拠点にするのであれば、マーキングは必要だ。それを作るとなると、この素材が欲しいという事になるんだが……。
「これは、冒険者ギルドから?」
「そうですね。各地の冒険者ギルドから集められた素材になります。この町の近くの魔境には、空間属性の素材はありませんので、かなり高くなっているとは思います。安く仕入れたいのであれば、素材を扱っている場所の冒険者ギルドに行くことをおススメしますよ。そちらの方が断然お安く入手できるとは思いますので」
だろうな。それは解っている。が、それ以上の情報が欲しかったんだ。冒険者が採取しているという情報が。この感じであれば、レベル130から150程度が上限と見える。それ以上の魔境の素材が無いからだな。他国からの素材も扱っているのを見ると、冒険者のレベルの限界値も見えてくる。そうなってくると、スカウトに動くというよりは、新人発掘をした方が良さげだな。既にある程度の強さを手に入れている人をスカウトするよりも、右も左も解らない新人を掘り起こした方が良いな。その方が、妙なプライドを持っていない可能性がある。……逆に言えば、ゲーム時代でもレベル250が上限値だったんだ。現実の上限値は無いと仮定すると、150程度で踏ん反り返っている事になる。そんな使えない冒険者はパーティーに必要ない。
初めから育てることに注力した方が時間の節約になるだろう。既に強くなっている奴らの鼻を折るよりも、その方が色々と面倒が無くて済みそうだ。……となると、次の目標の町は、あそこになるか。最低でも、そこでクランを作れるくらいの規模にしてしまった方が良いとは思う。初心者が集まるのであれば、あそこが良いだろう。この町では、アウスラリアの名前が邪魔になる。出来るだけ、亜人で揃えるか、亜人差別をしない人間でパーティーを組まないといけない。……しかし、亜人差別をする程、人間が多い訳でもないのは妙だな? 何かしら作為的なものを感じてしまう。念のために、ギルマスには確認を取った方が良いだろうな。
「では、この素材を20個と、こっちの素材を50個、こっちを40個ください」
「お値段はこれだけになりますが、大丈夫でしょうか? 先に料金を受け取る形になりますけれど」
「問題ないです。これで足りますよね?」
「……そうですね。丁度です。では、素材を準備するので、少々お待ちください」
「あ、別件もあるので、話が出来る人を寄こしてもらっても良いですか?」
「別件の内容に因りますが、どうされましたか?」
「クランハウスが欲しいのですよ。それの相場の確認をしたいです」
「なるほど。では、私が残りましょう。素材は準備してもらいますから」
ほう? ……ただの受付では無いのか? どうなんだろう。ある程度の人物が出てくるかもしれないと思っていたんだがな。特に、亜人でクランハウスが欲しいとなれば、ある程度の立場の人間が出てくるんじゃないかと踏んだんだが。この人が案外偉い人なのか? ……あり得るんだよなあ。こういう偉い人っているんだよ。自分で現場に立たないと、改善点も解らないだろうって事で、偶に現場に出てくることが。そういう人ほど有能で、狡猾で、抜け目がないんだよ。やりにくいなあ。
「素材の準備が整えば、こちらに知らせに来るはずです。それで、クランハウスが欲しいと」
「そうですね。10人くらいが寝泊まりできればと考えています。亜人なので、出来るだけセキュリティに力を入れておきたい所ではあるんですが、治安の良い場所というのは無理だとは思いますので、兵士が余り見回りに来ない場所で、そこそこ治安の良い場所という事でどうでしょうか?」
「ふむぅ。兵士が来ないというのは、当然でしょうね。エタニアス伯爵家の息のかかったものが多いのが兵士ですし。そうなってくると、治安の方が問題になってくるのでしょうが、ない訳ではありませんね。……まあ、普通の人は住まない場所になるとは思いますけど。こちらをご覧ください」
そう言ってこの町の地図を見せて貰った。円形であるこの町は、中央に統治している領主が入る館が3つ。ザガット伯爵家、クレドンナ伯爵家、エタニアス伯爵家の建物だ。それからある程度の地位を持っている人たちが住んでいる区画がある。そこが第1区画とでも言えば良いのか。基本は立ち入り禁止の区画だな。男爵とか騎士爵とか魔導爵の連中が、そこに常駐している。……はずだ。ゲーム基準なら、魔導爵もあったはず。ここが魔法を研究しているというか、独占している貴族になってくるはずだ。現実でもあれば、だが。
そこから各種ギルドの建物がありつつ、大きな商人の拠点があって、様々な建物が並んでいく。中心に近ければ近いほど、お金持ちという事にもなる。……冒険者ギルドは例外中の例外だな。真ん中に無ければ不便だからという理由で真ん中にある。本当であれば、もっと端に追いやられていてもおかしくはないんだが。
そこから職人街があって、俺が散策していた市場もある。市場は、大体方角で何を取り扱っているのかが決まっており、食品ならここ、金属ならここと、大体決まっているんだ。……偶に無視して場違いな所に店を出している人も居るが。そういう人のところで買うのは、少しばかり勇気がいるが、案外そういう人の方が良いものを出していたりするんだよな。
そして、外周部分になってくると、住宅地がある。市場よりも内側にあるのが高級街、外側にあるのが庶民街だ。俺的には庶民街でクランハウスが欲しい所である。そして、商業ギルドの受付さんがおススメと指示した場所も、庶民街の一角だった。




