召喚陣の話
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とにかく、召喚陣の説明をした方が良いとは思うんだよな。今使っている召喚陣では、碌な召喚獣が出てこない可能性が高い。シンプルで、誰でも使えるようにしてあるのは良いんだが、その代わり召喚獣のレベル上限が低く設定されているような気がしている。
多分だけど、レベル50くらいまでしか呼べないはずだ。それじゃない召喚陣であれば、レベル150までは呼べる筈なんだよ。確率は低いけど。そこまで強い召喚獣を引けるかは運が絡むけど。
「という訳で、魔族の召喚陣を使っている訳だ。俺の予想では、シンプルだからレベル50くらいまでしか召喚出来ないという制限になっているとは思う」
「召喚士ギルドの召喚陣がそんなだって知られたら、問題が起きるかもね?」
「起きるのは確定だろうから黙っているんだ。正しい召喚陣というか、古代文明の召喚陣では、レベル150までの召喚獣からランダムだからな。そっちの方が複雑な召喚陣をしているが、召喚出来る召喚獣の強さが段違いなんだよ」
「簡単ゆえに、レベルが低い召喚獣しか出てこない召喚陣と、複雑な召喚陣を比べてもねえ。魔力操作が得意な人しか召喚士になれなくなるんじゃない? 割と簡単だって事に意味がある気がするんだけど、それはどう考えているの?」
「簡単だと言う事に、一定の価値はあるだろうな。古代文明の魔法陣は複雑だ。見ているから知っているとは思うが、星見の塔で作られる召喚陣がそうだ。あれを魔力操作で何とかして作らないといかなくなる。魔力に多少慣れていないと、厳しいまであるだろうな」
「あー。あれを魔力でかかないといけないのかあ。確かに難しいかもね。全く同じものを描くのも大変だよ? 紙に描くのも難しいんだから、相当じゃない?」
「だとは思う。だが、古代文明の魔法陣の方が高性能なのは確かだ。星見の塔を抱えていても、1日に1人しか召喚獣を召喚出来ない。それなら、ある程度強い召喚獣を、普通の召喚で出せるようにした方が良いとは思う。その方が召喚石も捌けるだろうしな」
「うーん。そうだねえ。クレマグリッドの町にはエルト草原があるんだから、初心者召喚士でも何とかなる可能性はあるんだよね。ある程度の召喚獣が出てくれれば、それだけ戦力になるんだし」
「だとは思うぞ。あそこが一番レベルが低いからな。召喚士を育てるのには最適な環境だろう。召喚士が増えれば、召喚士ギルドに所属する人も増えるかもしれないが、それはそれで良いだろうし。特に仲が悪い訳でもないんだろう?」
「まあ、それはねえ。ある種の協力関係でもあるからさ。けど、各地の塔は冒険者ギルドが抑えちゃったからね。その辺はザガット伯爵家にも話は通したし。そこから宰相派が確保に走ったのは知ってるよ。だから、最悪な時は、険悪になる場合もあるかなとは思うけど」
「価値を知ってから後悔するだけだからな。それはどうでもいい。各地で強い召喚士が出てきたとなれば、召喚士ギルドや財務卿派閥が探るのも普通の事だ。そこから共同管理にするとか、そういう方向で持っていけば、同盟関係にはなれるんじゃないのか?」
「その辺は宰相派の動き次第かな? こっちがとやかく言う事ではないし。ただ、召喚陣に関しては解ったよ。こっちでも記録するように言っておかないと」
「言っておくが、召喚陣は32種類以上あるからな? 俺が知っているだけでも32種類あるという事だ。それ以上にある可能性も十分にある」
「……なんでそんなにあるのさ?」
「まずは属性の数だけ召喚陣がある。だからそれで20種類。次に各月に対応した召喚陣が12種類ある。1月にはこの召喚陣、2月にはこの召喚陣と分かれている。……ただし、暦の召喚陣に関しては、古代文明の暦に合わしての事だとは思うから、現代とは違うかもしれない」
「それは多いなあ。全部記録するのに、最低でも1年は必要って事だし。まあ、頑張るけどね。1日に1回は召喚出来る訳なんだし」
「その辺は頑張ってくれとしか言いようがないな。今日は使わせてもらうから、明日から頑張ってくれ。出来るのであれば、模写が得意な人を選んでおくといいぞ。古代文明の文字が描かれているから、それを間違えると面倒な事になりかねないから」
「古代文明の文字ねえ。……なんで古代文明の文字って解ってるの?」
「俺は古代文明の文字は読めるからな。錬金術で資料を漁ったりすると出てくるだろ?」
「聞いたことが無いんだけど……。そもそも古代文明の書物なんて何処にあるのさ?」
「さあ? 貴族なら持っているんじゃないのか? まともに資料を管理しているのかが解らないが。ある所にはあると思うぞ」
解読班は頑張ってくれた。俺もある程度は読んだけど、それでも解読班が頑張ってくれていなかったら無理だったとは思うし。……まあ、覚えなくても対照表を見ながら読めば良いのかもしれないが。
それでは遅いから覚えたまでだ。覚えた方が便利ではある。ふとした時に目に入る事もあるからな。そういう時に表を見ながらだと遅いし。
なお、語学学者が真剣に考えただけあって、難解なものだったらしいけど。例外規定とか沢山作られていてなあ。解読班は頑張った。それはもう頑張った。
俺も覚えるのに苦労したぞ。例外規定に当たる場合はこういう読み替えをするんだって事を覚えないといけないんだから。誤読しても最後まで読めるようにしてある書物なんかもあったなあ。頑張り過ぎである。
「そんな訳だ。召喚陣は記録した方がいいぞ。召喚石も余ってきているだろうしな。レベル150以下で良いなら、星見の塔を使う必要も無い訳なんだし」
「要研究だよね。それよりも、話が出来る召喚獣を呼び出せないかの実験もしないといけないし。……本当は各地の塔で検証が出来れば早いんだろうけどな。ここでしか知らない事も多くあるし」
「こういうのは情報を握っていた方が強いからな。最後まで情報は出さない方が良いとは思うぞ。まあ、頭の良い奴がやるのであれば、独自に研究を始めるんだろうが」
「それはそうだよね。……でも、答えを聞いている分、ここは最先端なんだから負けられないけどね。まあ、結果は3年後くらいには出すよ。それくらいは時間がかかるだろうし」
「3年なら十分早いとは思うけどな」
ゲームも3年続いたんだから、そんなものだろう。しかもネットがあるというアドバンテージがあってそれだからな。答えを知っているとはいっても、中々に厳しいだろう。
まあ、その辺は好きにしてくれれば良いとは思うんだけどな。召喚士が増えて、天才と呼ばれる召喚士が増えれば、アウスラリアがこの町で生きやすくなるだろうし。
別に天才でもなんでも無かったと解れば、人は見る目を変えるはずだ。そうでもなかったとなれば、嫉妬も収まっていくはずである。
クランメンバーの為には、労力は惜しまないつもりである。召喚士が増えれば良いんだけどな。クランメンバーに召喚士が多い方が良いんだよ。召喚士は強いんだしさ。
色々と枠の制限を外してやらないといけないとか、強化する方向性を決めてやらないといけないけど、それをする価値があるんだ。召喚士というクラスには。
その辺の判断はギルマスがするだろう。召喚士が増えるかもしれないのは良い事だ。
そのまま俺たちのクランに引き抜ければ最高なんだけどな。強い召喚士は歓迎するぞ。……供物の準備が大変になるだろうけど。その辺は皆で作れば良いんだし、問題ないとは思うんだよな。
まあ、リソースは1つに注ぎ込んだ方が良いとは言うが。アウスラリアに全力で乗っかった方が強くなるのはそうなんだけど、召喚士は数が勝負な所もあるからな。数は力という事も言われるし。
召喚獣ががっつり出せた方が強いとは思うんだよな。それに強化が入れば、もっと強い召喚獣がどんどんと溢れ出てくることになるんだよ。
召喚枠を緩和しないと駄目なんだけど。それに関しては、もう少し黙っていよう。もう少し黙っていて、後でギルマスに報告すればいいか。
まーた驚かす事になるんだろうけど、仕方がない。召喚士周りのインフラが整っていないのが問題なんだよ。もうちょっと召喚士について知っておくべきだとは思うんだよな。武器と防具だけしか使わないって枠が勿体ないんだよ。装備枠は本来であれば、限界まで使うべきなんだから。




