報告で愚痴
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移動で1泊、乱戦訓練で5泊、帰るのに1日がかりという感じで、6泊7日の狩りが終わった。これが限界というよりは、ある程度の慣らしでこれという事である。
やってみて解った事は、大型の魔物は群れを作らないから、対処はそれ程難しくないという事だろう。これはゲームとは違う。
ゲームでは、味方のフレンドリーファイアはあっても、魔物同士のフレンドリーファイアは無かった。プレイヤー側が誘導して起きることはあっても、何もしていないのにフレンドリーファイアを起こすことは無かったんだ。
だけど、現実になったせいで、魔物同士が攻撃し合うという事が頻発した。これは俺も想定外。よくあったのが、グノスファントムの魔法攻撃がスクリューホーンライノやタイラントエレキディアに直撃する事があった。
その分だけ楽なのかと言えば、微妙なんだけど。ダメージレースは楽だろう。自分たちで削り合ってくれるんだから。けど、攻撃が思いもよらない所に来たりするから、判断は微妙。どちらかといえば、連携してくれる方が楽まであるかもしれない。
動きが不規則になる方が面倒だとは思うんだよな。規則的に変化してくるのであれば、それに対処すれば良いだけの話だし。
不規則に変化されると、タンクが一番辛い。攻撃を受けて良いのか、受け流さないといけないのかの判断が遅れる。一瞬で戦闘の流れを読み切らないといけなくなるし、大変度で言えば、現実の方が辛いんじゃないかと思う。
まあ、時間をかけただけあって、それなりの成果も出たし、素材も集まった。調査という名目もあるから、後でギルマスに報告しないといけない訳なんだけど。それは俺が引き受ければいい話だしな。適正レベルも大体解っていることだし。
「そんな訳で、出てくる魔物は5種類。面倒なのもいるけど、そこは何とかなるとは思う。ただ、魔法が使えないと厳しいのは変わらないかな。霊体系はどうしても魔法攻撃じゃないと厳しいだろうし。こっちは全員が魔法を使えるし、属性武器も持っているから良いけど、他のパーティーは苦戦するとは思う。それなりに良い成果は出ているだけに、勿体ないとは思うけどな」
「なるほどねえ。強力な魔物が増えたっていうか、大型の魔物が出てくるようになるか。まあ、僕が偵察に行った時と変わってないかなとは思うけどね。霊体系が2種類も出てくるのは厄介だけど。テラーゴーストは近接系になるんだよね。遂に魔物が魔法を使ってくるようになったかって感じ」
「その辺は仕方がないとは思うぞ。高難易度の魔境になればなるほど、そういう事は起きるだろうし。そもそも大型化した魔物が強い事には変わりない。霊体系も厄介。全般的に魔法が使えないと厳しくはなってくるだろう。そもそも魔法が使えないのであれば、何とかして魔法を使えるように努力をするべきだとは思うが」
「それはそうなんだけどさ。お金を持っている冒険者だらけって訳でもないしね。魔法を教えてもらうのにだって費用はかかる訳だし。親切に教えて貰っても、身に付かない事もあるしねえ。クラスでも変わってくるし、色々と考えないといけない事はあるかなあって思うけどさ。冒険者ギルドとしても何とかしたい所ではあるんだけど、基本的に魔法を使えるのは貴族だからね。特に魔導爵の所は十分な教育を受けているとは思うんだけど」
「兵士に教えるのが精一杯で、冒険者に教えている暇なんてない、そんな感じか?」
「そんな感じだね。でも、兵士は魔境に行かないし。……はっきり言うけど、兵士って弱いからさ。何かあった時には兵士が対処するんだけど、それよりも先に冒険者が対処しちゃうからね。兵士は碌に育っていないし。テルドール伯爵家が来てから、本格的に魔境でレベルを上げようって方針になったのは良いんだけど、冒険者よりも弱いから、魔境での狩りも上手くいっていないみたいなんだよね。それでテルドール伯爵家から、冒険者ギルドにも色々と言ってきている訳でさ。そんな事で冒険者の活動を止める訳にもいかないし。冒険者だって生活がかかっているんだしさ。多いのは認めるよ? けど、それで冒険者ギルドのせいにされても困る訳だ」
「まあ、言いたいことがあるのは解った。だが、仲違いしていても良い事ではないぞ? 今までの事もあるから、面倒だろうとは思うけど、何とかしないといけないとは思う。兵士が使い物にならないのは問題が大きい。町での治安維持活動も影響が出てくる」
「もう出てるんだけどね。冒険者も全員が素行が良いとは限らないしさ。はっきり言って、今までの兵士の傲慢さに腹が立っている人たちも居る訳。それでも向こうは兵士だからって手を出しては来なかった。けど、魔境での状況を見れば、自分たちよりも格下だって見て解る。それを見た冒険者は、兵士に魔物を狩らせまいと魔境で大立ち回りする様になったし、町でも兵士だからって逃げなくなっちゃったんだよね。まだ本格的な衝突は無いけど、どちらかが一歩踏み出せば、危ない状況になるとは思うんだよね。そんな事にしたくないから、冒険者には注意して回っているけど」
「兵士が弱いのがバレたのか。……俺も初めは兵士が強いと思っていたからな。思った以上に弱くて驚いては居るが。何故にあれで威張り散らしていたのかが解らない。しかも亜人種には強く当たっていたからな。自業自得ではあるが」
「人間からも恨みを買ってるからね? そんな訳で、冒険者ギルドとしては、冒険者がどうにかして兵士と衝突しないようにってしている訳。闇晦ましの森の報告も有難いよ? 魔物の情報も助かるんだよ? けど、今はそれどころじゃないって感じだよね。何時、どのタイミングで暴発するのかが解らないんだから。冒険者の方が強いのは確かなんだけど、だからといって兵士と揉めても良い事は無いからさ。余計な時間がかかるだけなんだよね。それは避けて欲しいんだよ」
「クランとしてはそういう風に動く予定ではいるけどな。基本的には兵士は無視だ。相手からちょっかいをかけてきたら、それは力ずくでってなる可能性もあるとは思うが……」
「まあ、そうなるよね。無視してくれるだけ助かるけど。兵士の実力を知ってしまった今、増長している冒険者が多くてね。この町で活動している程度の冒険者が図に乗るなとは思うんだけど。それを言っても兵士の方が下なのは代わりがないしね」
「ザガット伯爵家的には、どういう動きをして欲しいとかはあるのか?」
「伯爵からは、問題を大きくし過ぎない程度なら、多少の揉め事は構わないって言われているんだけどね。……問題が大きくならないと思う? 僕はそう思わないんだよ。揉め始めたら最後。大きくなって何処までも広がっていくと思うんだよね。まあ、ある程度の実力があるクランなら、無視してくれるんだけど、実力が拮抗している所ほど、揉めそうなんだよ。自分たちの方が上だってね」
頭が痛い問題ではあるな。闇晦ましの森の報告をしに来たら、愚痴を聞かされたでござる。解らない訳ではないんだけど、こればかりは兵士の怠慢でもあるからな。
兵士がある程度強ければ、冒険者に魔法を教える余裕もあったんだろうけど、実力的には兵士の方が下であると。そんなのから魔法を教えてもらわないといけないのかってなるのも当然だし。
兵士は兵士で、今でも勝てないのに、なんで暴れるかもしれない奴らに魔法を教えないといけないのかって事にも繋がってくるからなあ。どっちにしても得がない。冒険者も舐められたら終わり的な価値観を持っている奴らも多いし、どっちが歩み寄っても駄目なんだろうな。
変な確執を作ってくれるなとは思うんだけど、仕方がないという側面もあったりするんだよ。兵士が積極的に魔境で活動しだしたら、冒険者の活動の場所がなくなるんだし。
魔物は無限に湧いて出てくると言っても、1日に湧く数には限りがあるし。ある程度の密度になったら補充されるのかもしれないけど、補充された瞬間を見た人は居ないしな。俺も見た事がない。
ゲームの時ですら、補充されているのを見た事が無いんだ。人が見ていたら補充されないとかもあるかもしれないんだよ。そんな事になったら、面倒になるだけなんだよな。




