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第105話 練習




 「ふーん、いい風だな」

 「そうですね」


 俺が魔王となってはや一月が経った。

 今は迷い森の奥にある崖からレインとリーガル村を眺めていた。

 良い風が吹き俺たちの髪を揺らしていた。

 そこからは迷い森全体とその中に存在するリーガル村を眺めることが出来た。

 水平線には木々が生い茂り広く拡がっていた。

 自分の領土をぼんやりと眺めながら風を浴びていた。

 ハチャメチャになる予定だった魔王生活は普段と別段変わるわけでもなく過ごせている。

 魔王であることを発表した当初は……




 「今日は集まってくれてありがとう。今日はね、俺から発表がある! 」

 

 「ディルガ様から?」

 「いったいなんだ?……」


 俺がリーガル村住民の役8割を中央広場に集め発表をする予定の本日、俺が【白】階級となった日から役1週間がたった晴れた日だった。

 俺の経つ高台から住民達を見下ろしていた。

 いや俺の経つ高台と言うのは地面から50センチくらいの全然高くない台上の事なのだが。


 「1週間前にこの村に保護結界が張られたと思うんだが、あれを貼ったのは俺だ! 

 ではなぜ故か?……それは俺が魔王に覚醒し、この迷い森とリーガル村の保護を命じられたからだ!」


 「……」


 「「「ウオぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」」」


 一瞬静寂が走った後、それすら思い出させないほどの歓声が湧き上がり場は一気に荒れたように見えた。

 その歓声は俺の『轟音耐性』をも貫通し耳に響いた。

 アノリオさんともよく話し合って決めた事だったが反動は大きかった。

 レインやギルドマスターなど関わりの深い何人かには予め話しておき、分散させようとしたのだが、住民達だけでもおかしいくらいの騒ぎが起きた。

 結果は良い方向に転んでくれ、後日には宿舎にファンレターのようなものが山ほど届いた。

 村を歩けば人に囲まれ、宿舎のオーナーには

 

 「こんな安い宿舎でいいのですか?」


 とまで言われる始末。

 無論俺は別に他の魔王みたくThe王様みたいな生活を送りたいわけじゃない。

 のんびりと庶民的な暮らしを遅れればそれでいい。

 俺は住処と信頼を得る、それに対してリーガル村や迷い森は俺による保護を受けられる。

 ギブアンドテイクの関係を築ければそれでいいのだ。

 



 

 というわけでだいぶ落ち着いてきたのが現在で俺はレインと崖にやってきて眺めていたと言うわけだ。

 ちなみにレインにはスキルを磨いたりと修行をさせてくれとお願いされた。

 てことで急だがここから修行だ。


 「じゃディルガ殿、いきます!」

 「あぁこい」


 レインのスキルは主に地属性魔法と『月光熊(ムーンライトベアー)』などの物理魔法。

 耐性は恐らく地属性と、もしかしたら物理攻撃耐性もあるかもしれない。

 普通自分のスキルをポンポンと他人には話さないので見た事のあるスキルしか知らない。

 そして最も注意すべきレインのスキルは『幻影』だ。

 俺の『分身』とは違い実体を持たない幻影をみせる珍しい魔法だ。

 『分身』と違い実体を持たないせいで使い勝手の悪い魔法かとも思ったが、それは違くて、瞬時に召喚、消失を操ることが出来るから、魔力を大きく消費する『分身』より使い勝手の良い場面がでてくる。

 それは一瞬のすきを作る時だ。

 一瞬のすきを作るだけであれば魔力を消費しないし、素早い『幻影』の方が都合がいい。

 

 それに『人化』しているレインはイケメンだ。

 いや、違う。

 『人化』しているレインのスピードは異常だ。

 もちろん俺の『思考加速』上での動体視力ではまるでスローモーションだが、一般の魔族にとってそれは異常なまでに速い速度だ。

 レインの戦闘能力は【白】階級に達していると言っても過言ではない。

 

 現に非常にゆっくりとレインが向かってきているように見える。

 数秒すると俺の周囲に幻影体が現れた。

 現れるまでは一瞬で、拡張した動体視力のなかで一瞬なので、何万分の一秒という刹那の時間のなかで発動されたものだった。

 常人では知覚不可能な速度でも、俺なら知覚できた。

 俺を囲む計8人のレインが高速で混ざったが、俺は当然知っているため、全員から放たれる『月光熊(ムーンライトベアー)』に反応できた。

 と思っていた。

 いざ相殺しようと弱めの『切断者』を放とうとしたのだが、足元で形成された謎の地の人形により腕が阻害された。


 これはノヴォルさんがレインに教えていた『操り人形(マリオネットユニゾン)』だった。

 土や岩に干渉し、関節一つ一つまでもを操り行使する非常に複雑な魔法だ。

 地王砂漠(ノヴォルデザート)でノヴォルに教えて貰っていた時は1つの関節を操作するだけで限界そうだったが、今に至ってはちゃんと人型の操り人形を行使できている。

 ちゃんとスキルとして会得できたのだろう。

 ノヴォルさんのように何百何千という数では無かったが、5つの操り人形は俺の腕を押さえつけていた。

 

 (こわすか……)


 俺は無理やりレインの操り人形を破壊した。

 一瞬にも満たない時間だった。

 時間稼ぎにはまるで満たない時間のせいですきなんて作れるはずもなかった。

 

 (さて、どうしてやろうか……)


 とりあえず俺の周りに防御結界を張っておいた。

 実世界の時間軸でおよそ1秒経った時、レインから『月光熊(ムーンライトベアー)』が飛んできた。

 その波動は音速の数倍の速度で飛んできたが、呆気なく俺の防御結界に弾かれた。

 ここで勝ったなと、思い込んだ。

 俺は地属性魔法で地面に叩きつけて終わりにしようと思った。

 するとレインは手に魔力を一瞬で収束させ、詠唱を省き魔法を放った。

 その魔法は空気を圧縮させ、それを弾として飛ばす魔法だった。

 間一髪で避けれたが、地面に着弾した瞬間から大きな音を立てながら地面を深くえぐっていった。

 

 (まずいな……)


 俺は少し上の空にいるレインの上に転移し、地面に蹴り落とした。

 そして地属性魔法で半円状の岩をレインの上から落とし、レインの行動を封じた。

 

 「参りました……」


 レインがそう言った。

 地面に這いつくばりながら降参するその姿は滑稽だったが、さすがに可哀想なので地属性魔法を解いてレインを解放した。

 立ち上がり服に着いた砂をパンパンとおとしている。


 「なんだ今の魔法?」

 「あぁ、あれですか? あれはティアさんに教えてもらった風属性魔法です」

 

 風属性魔法?

 ここに来て俺の知らない属性がでてきた。


 まぁ実際、

 ()(みず)(つち)、雷

 の4属性くらいしか知らなかった。

 非常に興味深い。

 新しい属性となれば当然風属性魔王も存在するだろう。

 風属性と聞くと汎用性の高い便利な魔法に聞こえる。

 恐らくだが浮遊魔法なんかもあるのではないか?

 

 俺はその後何回かレインと戦闘の練習をしたあと、リーガル村に戻って、村の図書館で魔法についての本を探ったのだった。

 

すいません不定期になってしまってます

こんなんでも楽しんで頂ければ光栄です。



ディルガスキル



○常用スキル

ㅇ『管轄者』の下

・『物理耐性』・『環境効果無効』

・『身体能力強化』・『炎属性耐性』

・『思考加速』・『意識拡張』

・『生存能力強化』・『座標認識』

・『暗視』・『光属性耐性』

・『再生』・『状態異常耐性』

・『轟音耐性』・『精神攻撃体制』


〇固有スキル

ㅇ『鬼』

・『蒼炎』・『貫通』


○スキル

・『魂保存』・『時間の管理者』

・『切断者』・『万斛虐殺』

・『消化』・『分身』

・『回復』・『結界創作』

・『念話』・『空間転移』

・『白轟雷』・『精神看破』

・『炎爆燦爛球』・『地平落雷』

・『斬撃之雨』


〇神話級スキル

・『無限知覚』・『虚無空間』



〇属性適性

・『地属性適性』・『炎属性適性』

・『雷属性適性』

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