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二刀流への応援歌  作者: 沢村俊介
14/26

CS放送でわがチームの視聴率アップ

 5月12日(金)の公式戦、うちのチームは東京ドームで戦った。東京ドームはホームランが出やすい球場とはいえ、うちの選手たちは4人がホームランをぶちかまし、15:1で大勝した。

 そのあくる日、僕は澤村選手と室内練習場にいた。「みんなが活躍していていいね」と互いに話しながらも、なぜかみんなの活躍がうらやましいという気持ちはぬぐいきれない。澤村選手はティー打撃で僕の放る球を打つ。バシッ、バシッと鋭い音がする。そしてネットが大きな食い込みを示す。随分と気が入っている。何だか右足首の関節とか、左太腿裏の筋肉の状態とかが気になるが、かといって澤村選手としては、しっかり打って、心の迷いを無くしたいのだろう。数えてはいないが、約80球ばかりのところで、僕は声を掛けた。

「100球までやりますか?」

「いえ、今日のところはこのあたりで止めておきましょう」

 僕たちは、室内練習場から寮に帰った。すると寮長が、

「吉原君、球団事務所の松尾さんに電話を入れてよ」

 と告げてくれた。澤村選手は、トレーニング室に設置されている酸素治療器を利用するため、立ち去っていた。

 僕はスマホを見る。電話が入っていた。ティー打撃をしている時、電話が入ったのだろう。その時は気がつかなかった。

 さっそく電話を返す。

「おお、吉原か。このあいだ、おまえ、澤村君の食事改善ができないか、聞いてきたよな。あの件さ、ちょっと前向きに考えようということになってさ。で、今日、委託先のフード会社から、何人かそっちの食堂へ行くからさ、よろしく頼むよ」

「急な話ですね」

「でもまあ、ざっくばらんに話せばいいさ。初回の打ち合わせというより、顔合わせみたいなものだから。向こうは、営業マン、管理栄養士。それから今現にそっちの食堂で働いている調理長だ」

「梅本調理長ですか?」

「ああ、そうだろう」

「それで、前向きに進めていいわけですね」

「そういうことだ。何しろ、うちのゲームを放映している“GOJIRA”の視聴率が上がっているそうだ。それでもって、この野球中継のCMを出しているスポンサーさんたちも、自社の商品がよく売れている、って喜んでおられるようだ」

「それはすごいですね」

「やはりね、中高年の方が地上波放送のほかにもCS放送やBS放送をよく見ておられる、ってことでしょうよ。あと、中高年の方は健康志向が強くてね、けっこう健康食品が売れているんだね。だから、予算の捻出は何んとかなりそうだから。相手のフード会社さんの希望とか、見積もりとか、よく聞いておいてよ」

「わかりました」

 僕は、球団の松尾先輩がそれなりに上司に働きかけてくれたのではないかと思い、先輩の配慮に感謝した。(つづく)



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