21 ボールペンと紙、文房具を集めていく 1
砂浜に並ぶ海水の蒸留所。
これらが国内の一部と砂漠に水をまき散らし始めていく。
これと同時に、ノボルは自分の手下の作業場にも手を加えていく。
主に文房具について。
小さな事だが、こんな事でも作業効率が変わる。
まず、扱ってるボールペンや紙。
この質が酷い。
ボールペンは液漏れが酷い。
紙はインクをはじくか滲む。
これではまともな作業ができない。
他の文房具も似たようなものだ。
とても使えたものではない。
高級品ならともかく、一般品の品質は低い。
これらの大半は輸入に頼ってる。
その輸入品の質が低いのだからお話にならない。
なので、購入先をかえていく。
どうせ輸入料金で値段は跳ね上がる。
ならば、質の良い一般品を買った方が良い。
ということでこの世界の日本にあたる国、ヒノモトから輸入していく。
ボールペンと紙だけではない。
ファイルにルーズリーフ、ポストイットに電卓。
鉛筆に鉛筆削りに消しゴムも。
ホチキス、はさみ、輪ゴムにクリップ、クリアファイルも。
その他、思いつく限りの品を買い集めていった。
これについては使える予算の中で最大限に金を使った。
普段の仕事がまともにできるかどうかがかかってる。
金をケチってる場合ではない。
やらないとノボルのやりたい事が滞る。
事務作業は仕事を進めるために必要不可欠。
ここが止まると全ての仕事が止まる。
それを、インクが出ないかあふれる、紙にまともに書けないという事で潰したくない。
筆とそろばんが止まらないようにしておく必要があった。
効果は絶大だった。
作業時間が減っていく。
廃棄される紙が減る。
まともに書けるようになったので、書き直しなどが無くなった。
インクがかすれず、にじみもしなくなったので、無駄になる書類が減った。
作業をする者達のストレスも減った。
一つ一つのしくじりは小さい。
しかし、これが毎日、それなりの件数が発生していた。
これらが根絶やしになった。
作業時間が1日あたり1時間は減っていった。
作業をする者達のいらだちも消える。
手元の作業での失敗が減るからだ。
このストレスが怖い。
作業効率を下げてしまう。
一概にはいえないが10から30パーセントほど下がるといわれている。
場合によってはもっと大きく下がる事もある。
このストレスを、文房具を代えるだけで無くす事が出来る。
ならばやらない理由はない。
文房具によるしくじりが無くなり。
ゴミが出なくなる。
失敗が減るから作業が早く終わる。
失敗がもたらすストレスも無くなる。
このストレスがもたらす能力低下も無くなる。
両者が合わさった作業効率の上昇は大きい。
というより、本来出せる人の能力が発揮される。
ここが重要だ。
能力が上がったのではない。
今まで人の能力が大幅に低下していたのだ。
道具一つでどれだけ無駄を発生させていた事か。
この無駄を消した。
道具を代える事で。
それだけで作業効率が上がる。
それも、人に負担を与える事なく。
ノボルにつけられた官僚や役人達。
彼らの負担は以前よりも減った。
同じだけの仕事をしても疲れが残らない。
以前より多くの作業をしても、負担は今までと違いは無い。
むしろ軽くなっている。
「これはすごいな」
たかが文房具。
日用品である。
だが、日用品だからこそ効果の大きさもはっきりする。
毎日使うものだ。
嫌でも結果が出る。
その結果が日に日に積み重なると大きな差となってあらわれる。
この違いは周りの者達にもわかる。
提出される書類の差に出て来る。
ノボルのところだけ作業が早く終わる。
今まで以上の作業量をこなしている。
使ってる者達も周りに伝えていく。
「あれはすごい」と。
こうして高品質の文房具の情報が出回る。
ならば自分たちも使いたいという声も出てくる。
問題なのは値段だ。
いわゆる100円ショップで売ってるような廉価品だ。
しかし、貧乏国にとっては大きな出費になる。
100円の価値は貧乏国にとっては大きい。
これが導入をためらわせる。
だが、それでも導入は進んだ。
ノボルが父親に頼み込んだ為に。
何よりも、多少高くても問題がないくらい大きな効果があるからだ。




