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17 車が欲しいんです、人も一緒に 6

 ノボルの提案で軽トラックが導入された。

 こちらは瞬く間に数を増やしていった。

 なにせ、ランドクルーザー1台の値段で、軽トラックなら2~4台は買える。

 この安さは貧乏国の強い味方になってくれる。



 また、車体の小ささがこの国では大きく有利に働いた。

 舗装もろくにされてない上に、道がそもそも狭い。

 そもそもとして道路を適切に作るという考えがない。

 そんな国なので、軽トラックのように小さな車体でないとまともに動けなくなる。



 4輪駆動なのも国の状態にあっていた。

 舗装もされてない、砂にまみれた国だ。

 4輪駆動でないとすぐに足がとられる。

 こういった問題が少ない軽トラックはどこでも走る事が出来た。



 積載量の大きさも助けになった。

 車体は小さいが、荷台の広さはピックアップトラックとさほど変わらない。

 また、300キロ以上の荷物をのせられる。

 これだけの容量があれば、日常的な作業に困る事はない。



 唯一の変更点として、エンジンだけは交換してもらう。

 ガソリンエンジンではなくディーゼルに。

 ランドクルーザーと同じ軽油で動かすためだ。

 燃費も良くなるし、そもそもガソリンより安い。

 貧乏国でもこれなら多少は無理が出来る。



 こうして軽トラックは国内のあちこちを走るようになる。

 これまた政府関連の様々な機関、それに警察や軍でも導入される。

 これまでなかった機動力を手に入れる。

 おかげで、民主主義テロリストや、犯罪組織の撲滅が更に進むようになった。



 これだけではない。

 ランドクルーザーに比べれば格段に維持しやすいのが軽トラックだ。

 国家経済への負担はかなり小さい。

 それでいて大きな成果をもたらしてくれる。



 当然、民間での所有も楽だ。

 独裁国家のこと、金に余裕のある者は少ないけど。

 それでも少しずつ民間で使う者も増えていく。

 これらが民間の事業の利益を大きくしていく。



 民間の整備場も少しずつ増えていき、整備や維持もこなせるようになる。

 比較的なおしやすい軽トラックだからこそ、技術者の育成も割と簡単。

 重度の故障はともかく、比較的よく起こる問題は解決しやすい。

 もっとも、故障がそもそもおこりにくいのだけど。



 それでも、技術者の育成には時間も手間もかかる。

 貧困層がほとんどの民間で、整備員を育成できるわけもない。

 なので、初期は政府で整備員をしていた者達が整備場をひらく事となった。

 独裁国家の数少ない功績だろう。

 そもそも独裁国家だから、民間が疲弊して何も育たないのだが、



 ともかく、こうして軽トラックは乗用車の地位を手に入れていく。

 政府所有から始まり、僅かながら民間での利用も増えていきながら。

 また、政府から放出されるものも、民間で使われる軽トラックの増加に一役買った。



 ノボルはこうした流出を歓迎した。

 というより後押しした。

 出来るだけ政府でまとめて輸入し、使わない分を少しでも多く民間に流していった。

 整備員と共に。



 もちろん、善行でやってるわけではない。

 渡す相手には色々言い含めておく。

「これからもよろしくね」と。

 こうして自分の息のかかった子飼いを増やしていった。

 手駒は多ければ多いほど良い。

 それでも、民間への流出が増えれば、国家の財政にも好影響をもたらす。

 一石二鳥だった。



 こうして、車がただ増えるだけではなくなる。

 整備員によって軽トラックが壊れずに動くようになる。

 輸送の滞りがなくなる。

 国内で物資の行き来が少しずつ活発になる。

 僅かだが国内が豊かになる。

 そうして民間が豊かになれば、税収が増える。

 魚や塩があちこちから港に流れ込むようになる。


 これらは海に面した砂漠の国のほぼ唯一の産業である。

 各地で留まっていたこれらの余りが、外国に向けて売られていく。



 犯罪組織の撲滅がこれを後押しする。

 漁師にしろ運送業者にしろ、これらから利益を強奪してるのが犯罪組織だ。

 活動資金を奪いにくる民主主義者も同様。

 こういった邪魔を事前に消していたので、商売は円滑に進められていく。



 冷凍技術はないので、魚は塩漬けにして、底の深い桶やたらいに入れて運ばれる。

 なお、これら塩漬けが、後に発展して熟れ寿司のような加工食品にもなっていく。

 魚から作られる醤油も産物として取引材料になっていく。



 これらについてもインターネットから得た情報で作っていく。

 結果が出るまでしばらくかかるが、ノボルは少しずつこれらを作らせていった。

 自分の懐に入る利益を計算しながら。



 やがてこれらが出来上がると、確かな利益となってくれた。

 独裁者以外の中間搾取のない状態で輸出されていく。



「よしよし」

 ノボルはこの結果に満足していった。

 輸出が楽に出来るようになったので、税収が増えた。

 それだけ贅沢が出来る。



 国民の反応も上々。

 民主主義テロリストや犯罪組織が潰されて、一般人の負担が消えるからだ。

 誰もがこれらに脅されて金を巻き上げられる心配がない。

 収奪するのは独裁者の政府だけになった。



 おかげで、というのもおかしいのだが。

 一般人は安心して商売が出来る。

 今までよりは手元に残る金が増えたのだから。



 とはいえ、新たな問題も出てくる。

 車が多くなった事で必然的に出てくる問題。

 道路だ。


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