13 車が欲しいんです、人も一緒に 2
「皆に?」
この言葉に父親は驚く。
てっきりノボルが使うものと思っていたからだ。
しかしノボルの考えはそうではない。
「この国のことが知りたいんです。
だから、国のあちこちに行きたい。
その為に車が欲しいんです」
「うむ、それは分かる。
しかし、みんなとは?」
「はい、そこです」
ここでノボルは一度頭の中で言いたいことと言うべきことを整理する。
「でも、僕だけではとても手が足りません。
なので、他の者にも手伝ってもらいたいのです」
「ほう……」
独裁者は息子の考えの驚いた。
何でも自分でやる。
そんな当たり前の欲望の限界に気づいてる息子に。
そりゃそうだろう、なにせ中身は何十年も生きた人間なのだから。
少しくらいわきまえる事も身につけてる。
「その為に車が多く欲しいのです」
「分かった、なら20台手配しよう」
理由を聞いた父は納得して肯いた。
だが、すぐに別の疑問が出て来る。
「だが、誰に出向いてもらうのだ?
お前には護衛はつけたが」
護衛が活動しやすいように事務員も。
しかし、そこまで多いわけではない。
「なので、父上にもう一つお願いがあります」
ノボルはここで更におねだりを加えた。
「国のことが分かってる者が欲しいのです。
あちこちに行って色々と見てもらうための」
これには様々な役目がある。
現地の下見に、事前の調整。
ノボルが出向けない場合の代理。
これらをこなせる人間が欲しかった。
「父上が作ったこの国を見るために。
僕の代わりになってくれる人が欲しいのです」
「そうか、そうか………… !」
ここでまた父は感動した。
息子が『父上が作った国』といってくれた事に。
そんな国を見て回りたいという思いに。
「分かった、良い人間をまわそう」
「ありがとうございます」
「それで、どんな人間が欲しい」
「それは、これから会って決めたいと思ってます」
ノボルは人事権を確保した。
かくてノボルは各省庁の官僚を。
そして実務を担う役人を手に入れた。
車の整備をする者達も。
加えて、これらが外回りをしても襲われないように護衛もつけてもらった。
小さな政府。
そういって良い状態が作られていく。




