12 車が欲しいんです、人も一緒に 1
身の回りを守る護衛を手に入れた。
国内のテロリストや犯罪組織も壊滅状態に陥った。
ここまで上手くいって、ノボルは安心した。
しかし、まだ足りない。
まだ国が安定したわけではない。
ノボルにとって貴重な収入源である国家がだ。
ここに住む人間がだ。
これらがしっかり稼いで税金という名前の上納金をむしりとらないといけない。
その為に何ができるのか?
何をしなければならないのか?
「まずは知らないとどうしようもないか」
情報が必要だった。
それも、インターネットで手に入るような公開情報ではない。
もっと生の、現実を示した情報だ。
それを手に入れるために、ノボルは行動を開始した。
「父上!」
情報入手のための第一歩。
それは父親へのおねだりとなった。
「お願いがあります」
「なんだ、我が息子よ!」
相変わらず親馬鹿の独裁者は、笑顔でノボルを迎えた。
彼が機嫌がいいのには理由がある。
国内の治安が、独裁者の敵が消えたからだ。
今まで散々手こずらされたテロリストが。
自分の上前をかすめとる犯罪組織が。
ほとんど全て消え去った。
その理由が警察力の上昇にあり。
この上昇が息子のノボルによってもたらされた。
この事実に独裁者は驚愕し。
父親として多いに喜んだ。
「さすが我が息子!」
親馬鹿に拍車がかかるのも当然である。
そんな息子が会いに来てくれる。
嬉しくないはずがない。
「お願いがあります」
そう言っておねだりをしてきてもだ。
今ならなんでもかなえてあげたい親心に溢れている。
「なんだ?
何が欲しい?
なんでも言ってみろ!」
「はい!」
ありがたい言葉にノボルも嬉しくなる。
主に願望実現のために。
父親への愛情は…………皆無では無いのは確かである。
「実は、車が欲しいのです」
「車?
リムジンか?
どんなのがいい?」
「いえ、そうではありません」
高級車というわかりやすい宣伝材料を否定する。
ノボルが欲しいのはもっと地味なものだ。
「ランドクルーザーが欲しいのです」
「ランドクルーザー?」
「はい、これです」
そう言って渡すのはインターネットのサイトを印刷したもの。
車の紹介ページだ。
そこには見事なまでのアウトドア車が描かれていた。
「これでいいのか?
もっと格好いいのでもいいのだぞ」
「これがいいんです」
「そうか。
まあ、お前がいいというなら……」
父としては息子にもっと豪華な車にのってもらいたかった。
高くて品位があって、歴史のある。
そういう高級車を与えたかった。
だが、息子が求めるなら無理強いはしない。
「なら、これを取り寄せよう」
「ありがとうございます、父上」
ノボルは笑顔で礼を言った。
それだけで父は満足できた。
「では、この車を20台ほどお願いします」
「……はい?」
この世界にも存在していたランドクルーザー。
ヒノモトなる国の世界的自動車製造会社がほこるヒット商品の一つだ。
それをノボルは20台求めた。
さすがにこれは独裁者も慌てる。
「なんでそんなに?」
当然だろう。
ノボルが使うだけなら1台で良い。
予備を含めても3台もあればよい。
「……いや、護衛が乗る分も含めて5台……いや、6台か?」
命を狙われる独裁者の家族。
常に前後を護衛の車が守りを固める必要がある。
となると、これくらいの数が必要になるだろう。
また、車は常に動けるものではない。
壊れて無くても整備は必要。
何かあったら修理が必要。
なので予備は絶対に必要となる。
見栄を無視しても最低でも日常に使う数の3倍は欲しい。
ここまでは独裁者の父親にも分かる。
しかし、いきなり20台というのは明らかに多い。
「なんでそんなに?」
「皆に使ってもらうためです」




