表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

 「みゃ〜ぉ。」

 鳴き声のする方に目をやると、日菜子の足元に銀色のフサフサした猫が寄ってきた。さっき舞が追いかけて行った猫だった。

「綺麗な猫ちゃん」 

 日菜子は猫を抱きかかえると、膝のうえに載せ背中を撫でた。

「シルバーの毛色――ライトに当たると白色にも見えるのね。ホント綺麗な猫ちゃんね。」

 ブランシュはとても心地よさそうに日菜子の膝の上に丸くなっていた。


「ブランシュ、おいで。どこに隠れていたの?」

 マスターが日菜子のそばでくつろぐブランシュを見つけると、声をかけた。

「みゃ〜。」

 まったく動こうとしないブランシュを見て、日菜子は笑った。抱きかかえて顔を寄せ、

「あなたはブランシュっていう名前なの?私は瀬尾日菜子、よろしくね。」

 猫相手に自己紹介した日菜子は、そのままカウンターにブランシュを連れて行こうとすると、カチャンと音がした。ブランシュから何かが落ちた。日菜子が拾うと鍵のようだった。

「これは何の鍵?ブランシュ、あなたのもの?」

 日菜子はブランシュに話しかけながら、カウンターまで歩いて行った。カウンターにたどり着くとブランシュは日菜子の腕の中から、ふわっと飛び降りてカウンターの定位置に丸くなった。日菜子は拾った鍵をマスターに手渡した。


「ブランシュ、この鍵どこで拾ってきたんだい?」 

 マスターがブランシュに聞いても、寝そべったまま、しっぽを大きく一度揺らめかせただけだった。

「不思議な猫ですね。それともあなたが特別なのかしら。ブランシュとお話できるなんて。」

 日菜子はカウンター席に座ると言った。

「ははは。僕は特別なんかじゃないよ。もちろんブランシュもね。僕はカフェマイスターだよ。」

 マスターは日菜子に名刺を差し出した。


     Larme de la luneオーナー

        夜カフェマイスター

             早瀬 エベン


 手渡された名刺にはそう書いてあった。シルバーの箔押しがブランシュの毛並みのように美しい色の名刺だった。


「ブランシュがそこまで人を警戒しないのは、初めてだよ。君の方こそ、何か特別なものを持っているのかい?」

「私は瀬尾日菜子。ただのフォトグラファーの卵ですよ。早瀬さんとブランシュの間には目に見えない繋がりがあるようには想いますけどね。」

「――そうだね〜。どうだろう?」

日菜子の言葉に早瀬は微笑むと、鍵を持ってピアノの方に歩いて行った。

「ピアノを店に置いたのはいいんだけど、鍵が見あたらなくてね。ずっと探していたんだよ。」


早瀬はピアノの鍵穴にブランシュが持ってきた鍵を差し込んでみた。クルッと回ったが開かなかった。

「おかしいな。この鍵だと思ったのだけどな…。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ