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[完結]【猟奇的サイコスリラー】イミテーション  作者: てっぺーさま
最終章 悪魔の遊戯

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95/98

アサミ

【悪魔も聖書を引用できる——】


衝撃のラスト!

あなたはきっと騙される!!

 黒髪の女が、赤一色のコーディネートで登場した。赤と黒のコントラストが異様に目を惹きつける。女はモデル顔負けの美貌とスタイルを持ち、実に堂々とした佇まいで自信に充ちた笑みを浮かべている。

 麗子は、隣に立った女に親しげに話しかけた。

「アサミさん、この人たちが、遺産目当てでわたしを殺そうとした人たちよ」

「なるほど。でしたら、徹底的に懲らしめないといけませんね」

 アサミと呼ばれた女は悪魔じみた微笑を浮かべてそう言った。

 拓海は女の登場に動揺した。彼女からは慈悲のかけらも感じられず、心のどこかで抱いていた助かるかもしれないという淡い希望が完全に打ち砕かれたように感じられた。

 黒髪の女が登場したことで、麗子のテンションは明らかに上がっていた。彼女が目を輝かせながら口を開いた。

「あのね、拓海さん。ここは簡単に言えば、悪さをした人をお仕置きする場所なの。で、こちらのアサミさんは、その道のプロの人なの。ね、アサミさん?」

 同意を求められ、アサミと呼ばれた女は薄い笑みを浮かべて小さくうなずいた。

 拓海は再び許しを請うべく口を開こうとしたが思うように声が出なかった。恐怖で声帯が締めつけられているような感じだ。

「あ、そうだ。拓海さん、覚えてる? 青山のレストランで窓際の席に案内しなかったウェイトレスのこと。あの子、今すごいことになってるわよ。生まれてきたことを後悔するくらいひどい目に遭ってるから。そりゃ当然よね。わたしにあんな態度をとったんだから。わたし、基本Mだけど、敵意を向けてくる相手には徹底的にSになれる性格だから」

 拓海は震えが止まらなくなった。連動して涙が頬を伝う。ウェイトレスの末路は予想通りだったが、予想が当たったことは当然何の慰めにもならなかった。むしろ悪夢でしかない。これが夢であってくれと、ただひたすら強く願った。

「あらあら拓海さん、泣くのはまだ早いでちゅよ〜」

 麗子にそう茶化され、悔しさでさらに涙があふれ出た。


「では、麗子お嬢様、そろそろ準備いたしますね」

 アサミと呼ばれた女はそう言うと、暗がりに向けて小さく手を振った。すると、暗がりの奥から、一人の男がコの字型の奇妙な器具を抱えて現れた。

 男が持つ器具は、スケートボード大のアルミ製らしき長方形の板に、三つの丸い穴が空いたものだった。中央の穴が最も大きく、左右の穴はテニスボールほどの大きさだ。板の両端にはそれぞれ一メートルほどの長さのポールが付いていて、ポールの先にはT字型の金具が光っていた。

 器具の形状から、一目で用途がわかった。首と手首を板に挟み、身動きを封じるためのものだ。

 予想通り、器具は美穂のそばに置かれた。そして、穴の空いた板が二つに分割され、彼女の首と手首を挟むようにして再び一つに組み合わされた。美穂はその間、微塵も抵抗する素振りを見せなかったが、小刻みに震えているのが遠目にもわかった。

 ポールが地面に垂直に立てられ、先端に付いていたT字型の金具が電動ドライバーで地面に固定されていく。電動工具が鳴らす甲高い切削音が倉庫内に響き渡り、拓海は耳をふさぎたくなった。

 ネジ止めが完了すると、美穂は地面に尻をつけた状態で完全に動きを封じられた。実に弱々しい姿だった。彼女が極度に怯えた目を向けてきたが、拓海はその視線を長くは受け止められなかった。形容しがたい無力感が再び全身を襲う。

 続いて、キャスターの軋む音とともに、真新しいステンレス製のカートが運ばれてきた。カートの上には、アダルトグッズが置かれていた。大小さまざまな電動バイブや、目を背けたくなるような異形の器具がずらりと並んでいる。拓海はそれ見て目がくらみそうになった。このあと美穂がどんな目に遭うのか想像するだけで頭が破裂しそうになる。

 麗子が下卑(げひ)た笑みを浮かべて言った。

「拓海さん、あなたの大切な彼女さんをどうするかアサミさんと相談したんだけど、とりあえず、あなたの目の前でレイプさせようと思うの。それも徹底的に、容赦ない感じでね。彼女さんが壊れちゃうまで、あなたには絶望をたっぷりと味わってもらうわ」

「そんな……」

 わかってはいても、言葉にされると現実味が一気に増した。拓海は気を失うのではないかと思うほどの強い吐き気に襲われた。

 アサミと呼ばれる女が、再び奥の暗がりに向けて合図を送った。

 すると、暗がりから、のろのろとした足取りで下着姿の男が十人ほど現れた。

「ああ……!」

 拓海は思わず悲痛な声を漏らした。現れた男たちを見て、絶望的な気持ちになったからだ。

 三十代から四十代くらいの男たちは、黒いボクサーパンツしか身につけていなかった。腹回りは脂肪でたるみ、頭髪が乏しい者が目立つ。完全に禿げ上がっている者も数人いた。風貌からして、風俗でしか女を抱いたことがなさそうな者ばかりだ。爬虫類を思わせる無機質な目つきは、何のためらいもなく人を傷つけることができる冷酷さを物語っていた。そんな男たちが、今は獲物を値踏みするような様子で、ねっとりとした視線を美穂に注いでいる。

 彼らの登場に、麗子は手を叩いて喜んでいた。

「わあ、いい感じ! ()()()()って感じの人たちが集まってくれたわね。これなら充分期待できそう。ふふ、拓海さん。あなたの彼女さん、本当に壊れちゃうかもね♪」

 拓海は白豚みたいな連中に美穂がどうにかされるのかと思うと発狂しそうになった。気づくと声を上げていた。

「麗子、彼女は関係ないんだ! ぼくはどうなったっていい。だから頼む! 彼女だけは見逃してくれ!」

 麗子が冷笑を浮かべた。

「関係ないわけないでしょ? あなたや佐藤さんほどじゃないにしろ、彼女さん、がっつり協力してたじゃない」

「違うんだ! あれはぼくが無理やり手伝わせただけなんだ! 麗子、お願いだ。彼女だけは助けてやってくれ」

「拓海さん、もうそういうのいいから、少し静かにして。じゃないと怒るわよ」

「うっ……」

 冷たい視線に怖じ気づき、拓海は言葉を呑み込んだ。どうやら、美穂だけは助けたいという願いすら叶いそうもなかった。ふと美穂に目をやると、彼女の腰回りが濡れてるのがわかった。どうやら失禁してしまったようだ。

「あら? 彼女さん、お漏らししちゃったみたいね。それもそうよね。わたしですらこの人たち、不気味ですもの」

 当の男たちは目の前で侮辱されても、いやな顔一つしていない。むしろ、気味悪がられていることを喜んでいるように歪んだ笑みを浮かべている。きっと、本物の変態たちなのだろう。興奮してきたせいなのか、彼らの白く醜い身体から獣じみた体臭が立ち昇り始めていた。その体臭で拓海はむせそうになる。

 アサミと呼ばれた女が、申しわけなさそうに麗子に言った。

「お嬢様、事前に十人用意するとお伝えてしていましたが、一人だけ急な体調不良で参加できなくなってしまいまして……」

「問題ないわ。九人でも十人でもいっしょよ」

 女は安堵の表情を浮かべて説明を始めた。

「こちらの者たちは、本物のレイプ動画を専門とするプロの男優たちです。ご覧の通り、筋金入りのアブノーマルな者たちですから、お嬢様の期待を裏切らないと思いますよ」

「ええ、間違いないわ。もう見た目からしていい感じですもの。やだ、わたし。このシチュエーションに興奮してきちゃった」

 麗子のテンションが妙な感じになってきていて、拓海はますます絶望的な気持ちになっていく。

 この間、美穂はといえば、放心したように虚空を見つめていた。この異常な状況を受け入れられずにいるのか、もしくは、すでにあきらめの境地にいるのかもしれない。

 麗子が沢尻に顔を向けた。

「沢尻さん、アサミさんから許可をもらってるから、あなたも彼女が陵辱される様子をスマホで撮ったらいいわ。こういうの、嫌いじゃないでしょ?」

「ええ、そうですね」

 沢尻は表情をまったく変えることなく答えた。

 麗子がこちらに向き直ると言った。

「拓海さん、そろそろ始めましょうか」

 その言葉に、拓海の心臓が跳ね上がる。胸が締めつけられ、呼吸すらままならない。

「まず、大事なことを伝えておくわ。当然、あなたは彼女さんがレイプされるとこなんて見たくないわよね。でも、それじゃ罰ゲームにならないでしょ? だからよく聞いて。あなたが目を閉じたり、顔を背けたりするたびに、彼女さんの首に高圧電流が流れるから。見てて」

 麗子はそう言うと、隣に立つ沢尻に小さくうなずいて見せた。すると沢尻が、右手に握っていた何かを親指で押した。

 次の瞬間、耳障りな電子音が鳴り響いたかと思うと、すぐに美穂の甲高い悲鳴が響き渡った。

「やめろ! やめてくれ!」

 拓海は声の限りに叫んだ。

 数秒後、電子音が止まると同時に悲鳴も止んだ。美穂はというと、白目を剥いて頭を小刻みにけいれんさせて口から泡を吹いていた。

「わかった? もう一度言うけど、あなたが目をそらしたりしたら彼女さんは余計苦しむことになるの。それがいやなら、絶対に目をそらさないことね」

「そんな……」

 麗子がさらに下卑た笑みを浮かべる。

「それと、もちろん避妊なんてしないから妊娠する可能性もあるわね。むしろ、それを期待してるの。彼女さんにはここでしっかり妊娠してもらって、元気な赤ちゃんを産んでもらうの。あのちょっとキモい方たちの誰かさんの子をね。どう? 最高の罰ゲームでしょ?」

「異常だ……。異常すぎる……」

 拓海の口から思わず非難の言葉が漏れた。ところが、当の麗子は腹を立てる様子もなかった。

「異常? そうね。少しだけ自覚してるわ」

 彼女はどこか遠くを見るような目つきで答えた。

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