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[完結]【猟奇的サイコスリラー】イミテーション  作者: てっぺーさま
第五章 破滅へのカウントダウン

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盗聴器

【悪魔も聖書を引用できる——】


衝撃のラスト!

あなたはきっと騙される!!

 拓海は、麗子の病室に盗聴器を仕掛けることにした。彼女と沢尻との会話が気になったからだ。

 盗聴器はネットで同じ商品を二つ注文した。総額で四万円弱。手に入れたのは、「盗聴用ボイスレコーダー」と呼ばれる手のひらサイズのもので、無音のときは録音せず、会話が始まると自動で録音を開始するという優れものだ。

 盗聴器が手元に届くと、拓海はさっそく病室のベッドの下に忍び込ませた。病室を訪れるたびにもう一つと入れ替えることで、二十四時間の盗聴が可能だ。

 それまで苦痛でしかなかった麗子への見舞いが、盗聴器を仕掛けてからは様変わりした。自分が不在のときに麗子と沢尻がどんな会話を交わすのか。見舞い後に盗聴器の再生ボタンを押すのが毎日の楽しみになった。

 ところが、期待していた会話はまったく聞けず、日々落胆した。録音された音声は、医師や看護師との事務的なやりとりばかりで、沢尻との会話も平凡なものだった。


沢尻の声「お嬢様、何か必要なものはございますか?」

麗子の声「……とくに、ないわ」

沢尻の声「そうですか。では、私はこれで」


 実りのない盗聴がしばらく続いた。秘密めいた話はおろか、世間話すら聞こえてこない。

 しかし、盗聴を始めて一週間ほどが経ったある日、ついに待ち望んでいた会話が録音されていた。


麗子の声「沢尻さん、頼んであった調査は継続中よね?」

沢尻の声「ええ、お嬢様」

麗子の声「……どう? 彼、浮気してる様子はない?」

沢尻の声「今のところ、そういった兆候は見当たりません」

麗子の声「そう……」

沢尻の声「通話記録も調べさせましたが、きれいなものでしたよ」

麗子の声「そう……。彼、浮気してると思う?」

沢尻の声「私が見る限りでは、女性の影があるようには見えませんが」

麗子の声「そう……」


 沢尻は、美穂と会っていた事実を隠してくれた。前に言っていた通り、味方でいてくれるようだ。

 録音音声はさらに続いた。


沢尻の声「引き続き、調査しますか?」

麗子の声「……いえ、もういいわ。彼を信じることにするから」


 拓海は喜びで身体を震わせた。調査が終了するということは、美穂に会えるということだ。油断すべきでないのはわかっていたが、もう半年以上も彼女に触れていない。そろそろ限界だった。

 録音音声はまだ終わっていない。拓海は美穂と会う算段を思い浮かべながら音声に耳を傾けていると、激しく咳き込む音が聞こえてきた。それはかなり長く続き、聞いているほうまで息苦しくさせられた。


沢尻の声「お嬢様、だいじょうぶですか?」

麗子の声「……ええ、だいじょうぶ。お水、もらえる?」


 盗聴器は、水を注ぐ音も鮮明に拾っていた。


沢尻の声「お嬢様、どうしました?」

麗子の声「……ねえ、沢尻さん。このお水、変な匂いしない?」


 まただ——。拓海は身をこわばらせた。


麗子の声「……どう?」

沢尻の声「いえ、とくには」

麗子の声「そう……。じゃあやっぱり、気のせいなのかな……」

沢尻の声「取り替えましょうか?」

麗子の声「いえ、いいわ。たぶん気のせいだから……」


 匂いの問題は、ひとまず解決したようだ。


麗子の声「沢尻さん、お願いがあるの……」

沢尻の声「何でしょう?」

麗子の声「次来たとき、封筒と便箋を用意してきて……。拓海さん宛てに、手紙を書いておこうと思うの」

沢尻の声「かしこまりました」


 やがて、沢尻が(いとま)を告げて録音音声は終わった。

 拓海はボイスレコーダーを握りしめて身震いする。死が間近に迫った病人からの手紙など受け取りたくなかった。

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