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[完結]【猟奇的サイコスリラー】イミテーション  作者: てっぺーさま
第五章 破滅へのカウントダウン

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接触

【悪魔も聖書を引用できる——】


衝撃のラスト!

あなたはきっと騙される!!

「佐藤良彦さん、ですよね?」

 突然声をかけられ、佐藤はぎくりとした。背広姿の二人組の男たちだった。ともに三十代後半くらいか、どことなく顔立ちの似た二人は作り物の笑みを浮かべている。

「少しお時間いただけませんか? いくつかお伺いしたいことがありまして」

 男の一人が警察手帳をさりげなく見せながら言った。

「急に何だよ。今忙しいんだけど」

 警察手帳を見たせいで動揺し、佐藤はつい語気が荒くなってしまった。

「新庄麗子さんを、ご存知ですよね?」

「え!?」

 刑事の言葉に、佐藤の心臓がどくんと跳ねた。とっさに否定しかけたが、何とか思いとどまる。下手に否定すれば、かえって怪しまれるだろう。

「……あいつが、どうかしたのか?」

「まあ、立ち話も何ですから、近くでコーヒーでも飲みながら話しませんか?」

 断れるような雰囲気ではなく、佐藤はしぶしぶながら了承した。


       *  *  *


「冷めないうちにどうぞ」

 刑事がペーパーカップに入ったコーヒーを目の前に置き、佐藤は黙ってそれを手に取った。

 熱いコーヒーを飲みながら刑事たちが口を開くのを待つ。四人掛けのテーブル席で、佐藤は壁を背にして座っていた。対面に座る刑事二人は通路側だ。

 先ほど渡された名刺には、「警視庁公安部」と記載されていて、佐藤の目の前に座る男が警部補で、斜め前に座る男が巡査部長だった。

 映画やドラマの影響だろうが、「公安」という言葉にはどこか不穏な響きがある。それに、桜井拓海と進めている計画の件もあり、佐藤はなおさら落ち着かない気分にさせられた。

 目の前に座る警部補の男が軽く笑みを浮かべて口を開いた。

「プライベートな話で恐縮ですが、佐藤さんは以前、新庄麗子と交際されていたそうですね?」

「まあ、ずいぶん前の話だよ」

 佐藤が素っ気なく答えると、斜め前に座る巡査部長が手帳に何やら書き込む。どうやら、彼は記録係らしい。

「別れてからは、いっさい連絡をとってない。で、あの女がどうかしたの?」

 刑事は少しためらった様子を見せてから答える。

「ここだけの話にしていただきたいのですが、新庄麗子はある犯罪に関与してる疑いがありまして」

「犯罪!?」

 佐藤は驚くが、同時に安心もした。少なくとも、自分が捜査対象ではないことがわかったからだ。

「で、あの女、何をしたの?」

「すみませんが、それはちょっと……」

 刑事は言葉を濁したが、佐藤はどうしても知らずにはいられなかった。内容いかんによっては、今進行中の計画を見直す必要があるかもしれない。

 その後、しばらく他愛のない質問が続いた。交際中に通っていた店、会っていた頻度、彼女の趣味嗜好や性格などを聞かれた。佐藤は記憶を掘り起こしながら、できる限り正直に答えた。

「もう一つお聞きしますが、佐藤さんが交際されていたころ、彼女のまわりで何か変わったことはありませんでしたか?」

「変わったこと?」

「ええ。例えば、彼女の知人が突然姿を消したとか」

 刑事の言葉に、佐藤は動揺した。

「あの女が、誰かを消したっていうのか!?」

「いえ、そういうわけでは……」

 刑事は困ったような顔をして再び言葉を濁すが、今の発言から判断すると、彼女は身近な人物の失踪に関与している可能性があるようだ。金に物を言わせて、無茶なことでもしたのだろうか。

 仮に彼女が逮捕された場合、遺産はどうなるのか。そこがいちばん気になった。

「刑事さん、今の言い方だと、あの女のまわりで誰かが消えたってことだよな?」

「いえ、ですからそういうわけでは……」

 答えに窮している刑事を見て佐藤は苦笑した。これ以上追求しても本当のことは話さないだろう。

「悪いが刑事さん、変わったことって言われても、おれには何も思い当たることはない。付き合ってたのも、半年かそこらだったしな」

「そうですか……」

「役に立てなくて悪かったな」

「いえ、そんなことは……」

 しばしの沈黙ののち、刑事がやや媚びるような口調で言った。

「佐藤さん、今日の話は、どうかご内密にお願いします。相手に気づかれないよう慎重に動いてますので」

「ああ、わかったよ」

 佐藤は気のない返事をし、冷めたコーヒーを口に運んだ。

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