金策
【悪魔も聖書を引用できる——】
衝撃のラスト!
あなたはきっと騙される!!
佐藤と電話で話し合った結果、毎月の支払いは三か月分をまとめて先払いすることで合意した。これで彼と顔を合わせる頻度が減り、リスクも軽減できるはずだ。
三か月分なので九十万。他に、麗子に飲ませる薬代に別途三十万が必要だった。薬の量を増やしていたため、残りわずかになっていたのだ。
合計で百二十万円が今すぐ必要だった。だが、これまで調査会社の利用などで散財してきたため、蓄えはほぼ底をついている。とはいえ、佐藤への支払いを渋れば、彼は何をしでかすかわからない。金がないと言ったところで、毎月百万を受け取っている事実だけを見て、彼はいっさい譲歩しないはずだ。したがって、どうにかして金を工面する必要があった。
それで今、拓海は麗子の寝室に忍び込んでいた。忍び込むといっても、妻の寝室に夫が入るだけだから何の問題もないはずだが、目的が目的なだけに人目を避けてこっそり足を踏み入れた。
「意外と、緊張するな……」
心臓が早鐘を打つ。入院中の麗子が寝室に入ってくることはない。また、夜のこの時間に使用人が入ってくることもまずあり得ない。心配する必要はないとわかっていても、どうしても落ち着かない。空き巣には向いてないなと苦笑しつつ、拓海は白い鏡台の前に立った。
椅子に腰を下ろして鏡台の天板を持ち上げると、色とりどりの装飾品が目に飛び込んできた。
「すごいな……」
指輪、イヤリング、ネックレス、他に宝石が散りばめられた高級時計など、宝飾品がぎっしりと詰まっていた。こうやってじっくり見るのは初めてだったが、改めて見ると想像以上の量だ。おそらく、麗子自身も購入したことを忘れているものも多いだろう。
拓海は記憶を呼び起こしながら、なるべく麗子が身につけていなかったものを慎重に選んでいく。とりあえず、今回は五分の一程度を持ち出すつもりだ。換金すれば、それだけでも数百万円にはなるだろうと踏んでいた。
仮に、麗子が紛失に気づいて騒ぎ立てたとしても、拓海は完全にしらを切り通してメイドの仕業にするつもりでいた。だが、麗子はこのまま入院先で息を引き取る可能性が高い。したがって、彼女が紛失に気づくことはないだろう。死を間近に控えた病人が、宝飾品で着飾る理由などないのだから——。
* * *
「おやおや、これはだいぶ面白くなってきましたね」
沢尻はノートパソコンに映る映像を眺めながら、口元に笑みを浮かべてつぶやいた。
パソコン画面には、桜井拓海が宝石類を物色している様子がはっきりと映し出されていた。
「ばれたらどんな言い訳をするつもりですかね? それにしても、あなたは想像を超えたことをしてくれますね。でも嫌いじゃないですよ、そういうところ」
果たして、配偶者の持ち物を盗んだ場合でも罪に問われるのだろうか——。そんな疑問が一瞬頭をよぎったが、沢尻はすぐに興味を画面の中の男に移し、妻を裏切る男の姿を観察し続けた。
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