第79話 下積み冒険者は夜警を終える
無事ゴブリンへの奇襲に成功、ナイフと魔石を回収して焚き火の所へと戻ってきた私を待っていたのは夜警担当者たちの歓迎であった。
「兄ちゃんすげえじゃねえか、声が聞こえたと思ったらゴブリンの奇声がしてすぐ終わったみたいじゃねえか」
「いえ、相手がただのゴブリン1体でしたからね自慢はできませんよ」
「冒険者ってのは何人かでパーティってのを組むんだろ。それを一人でやってゴブリンとはいえこんな視界も悪い中あっさり倒してくるんだからすげえよ」
「んだんだ」
初めての一般人の客観的な評価を受け、まだまだ弱いと思っていた自分は少しながらも自信を持つにいたった。
その後、一度だけ私の持ち時間で魔物が現れたがそれもただのスライムであり問題なく倒すことができた。
私の持ち時間が終わり次の新しく最後尾の護衛に加わった冒険者に後を任せ床に就く。
戦闘をした緊張で眠れるか不安であったが思ったより疲れがたまっていたのか毛布に包まるとすぐに眠気が襲ってきた。
護衛対象への気遣いや夜間での戦闘、慣れない環境に気疲れするのは仕方がない。あと何日この状態が続くかわからないため慣れていかなくてはそう思うながら私の意識は薄れていった。
就寝後、寝ているところを大声で起こされた。
「魔物だ! 目を覚ませ!」
私は刀を抱くように毛布に包まっていたため即座に跳ね起き声のほうを向き【気配探知】を使う。
夜が明ける少し前だろうか、状況から察するとウルフの群れに襲われたらしい。
住民のほうへと回ろうとするウルフの間に入り、足止めをしつつ、倒せるウルフは倒していく。
伏兵もいたようだがそっちにはドワ子が向かっていたので何の問題もないだろう。
護衛人数が増えたことが幸いし、多少軽症者が出ただけでウルフの群れを撃退することができた。
群れとしてはそれなりの大きさの十数頭の群れだったので応援がなかったらと思うとぞっとする。
あとこの規模の魔物の群れが襲ってきたのはあきらかに今回のキラーアントの件が原因であろう、まだ1日目なのに勘弁してほしい。
しかし、繰り返しにはなるがこんな状況の中ではあるが今まで接する機会のなかった住民の人たちと触れ合うことが新鮮だし、頼られることに充実感を感じずにはいられなかった。
そうして長かった移動一日目の夜が開け、2日目の朝がやってきた。




