第78話 下積み冒険者は奇襲を仕掛ける
夜警担当者たちのいる焚火から休むように住民たちの方向へ離れ、気配を探知した方角へと迂回して向かう。
普段ならば見晴らしのいい草原のためこちらからも相手からも丸見えなのだが今の時間は夜中、月明かりがあるため多少は見えるが、相手からは焚き火に当たる担当者たちに目線がいき距離をとった私の姿は見えなにくくなるだろう。
少しでも察知されないように体制を低く保ち、物音をたてないように対象へと近づく。
月明かりの下で目を凝らすと人影のようなものがみえる。
(おそらくゴブリンだな)
(そうだね、大きさからみてもそうじゃないかな)
人影は回り込む私に気づくそぶりはない。
真っ暗な中で夜警担当者たちたく焚き火の列を警戒しているのか近づいてきたはいいものの、じっとそちらを眺めている。
これはチャンスだ。気づかれないようにこちらから仕掛けられるかもしれない。
(よし、このまま奇襲を仕掛ける)
(どうするの?)
(まぁ、見ていてくれ。偉そうに作戦話して失敗したら恥ずかしいからな)
まぁ、思考の読めるディクトにはまるわかりなのだが気分の問題である。
ゆっくり人影の後方へ回る。
気配を殺し、そーっと立ち上がり投げナイフへと手を伸ばす。
ナイフの握りを確認し、目をつむる。
師匠との『操気術』の修行で目を瞑り、攻撃を察知することはやった。あれを思い出せ。見えないなら見なければいい、感じるんだ。
(考えるな、感じろ)
何でディクトはいろいろ知ってるのだろうか。
目を瞑ったまま腕を振りかぶり気配の真ん中に向かいナイフを投げる。
投げた瞬間目を見開き『鑑定眼』をかけるとともに声を出す。
・ゴブリン
レベル3
「こっちだ!」
ゴブリンは鑑定を受け、急に後ろから声をかけられたことに驚き、バッと振り返る。
「ギャーッ!」
振り返ったゴブリンの腹に見事にナイフは突き刺さった。
ゴブリンは急に受けた攻撃に呻く。
そこで距離を詰め刀を振るう。
【一閃】
袈裟切りでゴブリンの体を裂き、ゴブリンはそこで崩れ落ちた。
こうして初の夜間戦闘は格下のゴブリンとはいえ奇襲が上手くいき、思った以上に良くできたと思う。




