第75話 下積み冒険者は住民と話をする
サブタイトルを改稿しました
急に村を出ることになり自分たちでは太刀打ちできない魔物が現れる街道を歩き続けるという激動の1日を過ごした住民たちは疲れきっていた。
しかし、それでも子どもたちは無邪気に野営ではしゃいでおり、それが大人たちの支えになっていた。
普段の野営なら魔物に見つからないように静かにしないといけないのだがこの状況では仕方がないだろう。
今、ドワ子はこれまでの報告と今後について話し合うためメガネの所までいっている。
子どもが冒険者が気になるのかこちらをチラチラ見てくる。そのなかで1人の少年が後ろに数人従えて近づいてきた。
「なぁ、おっさんが英雄ペシェの本を書いたって本当なのか?」
英雄ペシェというのは私がディクトと書いた果物戦士の絵本のことだ。おそらくネコ商人が子どもに教えたのだろう。
「そうだよ、私があの本を書いた」
子どもたちが歓声にわく。
「すっげぇ、じゃあ、おっさんがペシェなのか?」
「違うよ。あれは私の故郷の英雄の話なんだ」
「なーんだ。でもおっさん冒険者なんだろ、どんな魔物と戦ったことがあるんだ?」
そんなやり取りをしているとさっきのやらかしたDランク冒険者が話しに混ざってくる。
「はっ、そんなにこいつに期待すんなよガキども。こいつはさっきもゴブリンのとどめすらさせず、へばっていたぜ」
そんな風に私を小馬鹿にして笑っていると気がつくと周りを大人たちが取り囲んでいた。
「何言ってるんだよ! あんた達が勝手に列から離れていったせいでこのにいちゃんとリンちゃんがどれだけ走り回って私たちを守ってくれたと思ってるんだい!」
「そうだぞ、俺たちを守ってくれたのはこの兄ちゃんだ!」
「何だよ、魔物のほとんどを倒したのは俺だってのにやってられねぇぜ」
そう吐き捨てるようにいい去っていったが周りの彼を見る目は冷ややかだった。
「気にすんじゃないよ。私らはあんたに感謝してるよ」
「そうだぜ、ありがとよ兄ちゃん」
お礼を言われ少々照れくさそうにしているとドワ子が戻ってきて周りの様子を見て、私に尋ねる。
「レジー、何かあった?」
「いや、住民の皆は俺たちを見ていてくれたってことさ」
ドワ子は私の返答に意味がわからなかったのか首をかしげた。




