第72話 下積み冒険者は護衛班最後尾に配属される
メガネから編成がなされ、私は最後尾のドワ子のすぐ近くの配置となりサブリーダーの補佐をするように仰せつかった。
いざ配置が決まれば早いもので冒険者達は我先に外に出ていった。なんであんなに急いでいるのだろうかと思いドワ子に尋ねると理由が判明した。緊急避難ともなると商店など全ての商品は持ち出せないため投げ売りをするらしい。
私もドワ子に聞いてから店に向かったが完全に出遅れてしまった。ろくなのは残っておらず購入できたのは食料と冒険者に転売されて逆に値上がりした旅道具ぐらいだった。夜営道具などは購入しておけばよかったと後悔した。
私の荷物など部屋においてあるバッグに入っている程度であり準備はすぐに終わる。ギルドの前にいくと既に大勢の村人たちが集まってきていた。住民の顔には不安が見える。自分たちの身は大丈夫なのか、このあと生活はどうなるのだろうか、確かに不安はあるだろう、しかしまず逃げなければはじまらない。死んでしまってはなにもならないのだ。
避難する住民のなかにはネコ商人や、宿泊所のおばちゃんの姿も見える、見知った顔に無事アインスまでたどり着ければいいのだがと私も少し不安になってしまう。
程なくして住民の点呼が完了し、出発の手筈となった。
メガネが住民の前に立ち演説を行う。
「第3開拓村住民の皆さん、私はこのギルドのギルドマスターのクロームです。皆さん既にお聞きのことては思いますが今回、開拓村周辺でスタンピードの予兆が確認されました。今回の事態に関しましてはある冒険者の関与が疑われております。私どもギルドの監督不足でこのようなことになり、面目次第もありません。アインスに到着した後ギルドから今回の住民の皆様にかけた迷惑の保証を行いますので生活についてはご安心下さい。そこで今からアインスに向けて避難を開始いたします。道中の安全については冒険者を護衛に付けますが、スタンピード時には魔力が不安定になり急に魔物が発生したりすることも考えられます。自分の身は自分で守ることも考えて、細心の注意を払ってください。何か問題が発生したときは先頭にいる私か、最後尾にいるギルド職員のリン君に申し出てください。それでは住民の皆さんは……」
ギルドから保証金が出ることがわかり住民の顔には安堵の色が伺えた。
メガネは住民に指示を出し、列を作り、冒険者やギルド職員をその間に配置していく。
住民約500人を冒険者約30名で護衛する行列だ。
殿を務めるのは経験豊富な冒険者達約20名、彼らは村に残り、蟻達の軍勢を引き付け、時間を稼ぐ手筈となっている。
できるだけ時間を稼いで欲しい。でも願わくば全員とアインスで再会したいものだ。




