第64話 下積み冒険者は予期せぬ遭遇をする
無事メイジタイプホブゴブリンを討伐し、魔石を回収する。今の戦いを振り返り考察するのは後で行うとして、ランサーホブゴブリンとゴブリンが歩いて行った森の奥を警戒する。
物音がしないので近くにはいないのだろうと安心して一息つくと見計らったかのようにそのタイミングで奥のほうから刃物がぶつかり合う戦闘音とゴブリンのものらしき悲鳴が聞こえる。
(何だと思う?)
相棒に尋ねる。
(おそらく他の冒険者じゃないかな? この辺の魔物同士の戦いで武器をぶつけ合って金属音がすることはあまり無さそうだしね)
確かにその通りだ。警戒し直し、【気配探知】をしていると人の気配が近づいてくることに気がついた。
(こっちに来る。ディクトはブックホルダーに戻っておけ)
(わかった)
奥の方から冒険者達が姿を表す。見知った顔に驚く。
岩川君たち勇者子孫パーティだ。
思うところはあるが大人としてこちらから会釈をしておく。
「あぁ、この間のエルフといた奴じゃねぇか。こんなところで戦ってるのかよ。へっ、弱いってのは大変だねぇ」
「私はまだ弱いですから」
悔しいが事実なので素直に認める。岩川君たちは奥にいたゴブリンの群れでも倒してきたのだろうし、私では手も足も出ないだろう。
「けっ、馬鹿にされてるのもわからねぇのかよ」
岩川君は地面に唾をはき、言いたいことだけ言ってパーティメンバーとへらへら笑いながら開拓村の方へ歩いていった。
ディクトがブックホルダーから抜け出して文句を言う。ディクト人形も腕を組み、ぷんぷんだ。
(何だろうねあれ、感じが悪いな)
確かにいい気はしないが現代社会で会社員をしていた私にとっては別段気にするほどではなかった。会社の上司や顧客にはもっと陰険な輩がざらにいた。現代社会の方が人の闇は深いらしい。
(実質的な被害はないんだから気にするな)
(まぁ、レジュメ君がいいならいいけどね、ツバキたんに言いつける?)
(しねぇよ、子供じゃあるまいし。それにもし師匠とマスターの耳に入って、情けないとかいわれて組み手が激化したらと思うとそっちの方が怖いよ)
(確かにそれはありそうだね)
それよりも遠距離攻撃をしてくる魔物も出て来た。何かしら対策を考えないとな。
武器屋と道具になにかいいものはないかと確認に行くため今日の討伐は早いが切り上げることにした。




