閑話 従魔 ディクト
僕の名前はディクト、リビングブックだ。
僕は全く戦闘能力を持たずに生まれて、四苦八苦しながら紆余曲折をへてレジュメ君の従魔になることができた。
その時から僕の生き方がはっきりと変わった。1人で怯えて、どうしようもないけど死にたくない。そんなネガティブな感情に支配され続けてきた僕はレジュメ君と契約し、1人じゃなくなった。狙われないってこともあったけど会話ができるということがこれだけ嬉しいことだとは思わなかった。
僕の生活はレジュメ君と契約してから明るいものへと変化したが悩みもあった。僕がレジュメ君のためにできていたことは絵本を作ったり、メモをとったり、図鑑をつくることくらいのことだった。
僕には戦闘能力がない。レジュメ君も戦闘能力が低い方だ。レジュメ君が怪我をするたびに申し訳なく思い、また1人になるのではないかと不安に思ってしまっていた。
しかし、レジュメ君が僕に魔石をくれるおかげでレベルも上がり始めた。『浮遊』を獲得し、自分で動けるようになった時は凄く嬉しかった。そしてついには種族固有スキルの『本』のレベルが上がりアーツ【付与の書】を習得した。まだ適性の高い風属性を付与する【風の頁】しか使うことはできないが大きな進歩だ。
同じ『本』スキルを持つ種族でも同じアーツを習得するとは限らない、【呪い】のような直接戦闘にかかわらないアーツでなくてよかった、これでレジュメ君の役に立てる。
僕がレジュメ君を助けるんだ。
レジュメ君と【付与の書】の効果を検証していると問題が発覚した。
まず1つ目の問題は【付与の書】は自身や対象に属性を付与する付与魔法とは違っていて付与魔法の効果のある使い捨てのマジックスクロールを作成するという効果であった。
しかしマジックスクロールはごく僅かだが発動するために魔力が必要なのである。レジュメ君は一切魔力を持たない。どうにかならないかと検証を続けていきレジュメ君でも魔石を用いた魔道具は使えるということを参考にして僕のページをアーツスクロールにすることで僕の魔力を使って発動することができるようになった。
発動できるようにはなったがここでわかったのがもう1つの問題である。
属性の付与の目下の目的は武器に付与することによる威力の増強である。しかし、今のレジュメ君のメイン武器である丸蛍は鉄製で魔力伝導率が低いため効果が弱いのだ。しかも魔道具としても機能しており復元力に優れ、元の状態に戻ろうとする。
はっきりと言うと効果が弱く、切れやすいのだ。
まだこの効果の弱化に対する解決はできてはいない。しかし僕は嬉しく思っている。なにもできなかった昔の僕とは違う、今はレジュメ君に少しでも援護ができるのだ。
レジュメ君と同じように少しずつ鍛えていくしかない。
諦めなけば、二人ならば僕たちは落ちこぼれではないのだから。




