第49話 駆け出し冒険者は操気術の修行を開始する
ウルフから受けた生命力や傷は回復したのだが出血が多かったため一時の間は鍛錬に費やすことになった。
訓練場で目を閉じて座禅を組んでいる。
気を探る聴剄の訓練だ。
聴剄で気を知り、循環や活性化をする内剄で気の扱えるようになり、外部に気を発する外剄に到る。
これが『操気術』の基礎であるらしい。
ツバキ師匠に彼女の祖父である初代ギルドマスターについて聞いてみたところ、名前はヤマト=ヒガ、ツバキ師匠も実際はツバキ=ヒガとなるらしい。沖縄出身で実家が琉球空手の道場をしており大学生の時に勇者召喚に巻き込まれクレイドルに来たらしい。私と同様魔力を一切持たない体質だったそうだが自前の『格闘術』と独学で獲得した『操気術』を磨いていて力をつけ、後にギルドを設立するまでいたったらしい。晩年は後継者育成に力を入れており、孫である師匠は私のように魔力を持たないか弱いものに『操気術』を伝えていくという使命を受けたそうだ。
ギルドでの待遇といい、ツバキ師匠の件といいヤマトさんには感謝してもしたりないくらいである。
訓練を開始し、師匠に特殊な呼吸法である剄息を教えてもらったおりに私は既に多少気の気配を感じられるようになってきていることを伝えた。
「そうか、その第一段階で成果を感じられず挫折するものが一番多いんだよ。流石は魔力なしだね」
これは褒められているのだろうか、貶されているのじゃないだよな、微妙なところだな。
剄息は普段の呼吸の仕方と違うため意識しないと難しい。これを自然にできるようにならないといけない。先は長そうだ。
聴剄の訓練の中には座禅して目をつむり意識を集中させ、師匠の警策を察知して、回避するという訓練もあった。
ヤマトさんあなたのお孫さんは座禅の意味を勘違いしています。警策は武器じゃないよ。
剄息の訓練で剄息を乱すなと指示を受けた状態で師匠の攻撃からひたすら逃げる訓練など手加減されていたのだろうが数えきれないほどぼこぼこにされた。
これで真っ先に怪我の治りが早くなる内剄が鍛えられたのは言うまでもない。
こうして師匠に師事しあっという間に半年の月日が過ぎ去っていった。




