第50話 下積み冒険者は半年間を振り返る 成長編・上
ツバキ師匠に師事してから早いもので半年の月日がたっていた。
無事『操気術』を獲得し、レベルもあがって、ランクもEに昇格を果たし、あと一歩で下級冒険者卒業といったところである。
基礎だけを教えると言っていた師匠だがスキルを得たあとも鍛錬をつけてくれたりとまだ開拓村に居てくれている。私たちの冒険者としての目的の一つである魔物図鑑のことを話すと感心し、それは役に立つし、いずれ他の冒険者のためになるかもしれないと協力をしてくれることになった。
始めのうちは貴重なAランクの冒険者である師匠が開拓村に留まっていていいのかと心配したのだが聞いてみると開拓村は人種勢力の前線であるのだが高額の依頼は少なく上級冒険者はあまり居着かないらしく逆に歓迎されるらしい。稼ぎは大丈夫なのかと聞くと笑って返されたのでよほど生活には余裕があるのだろう。
『操気術』の修行を始めることになりギルドの訓練場ですることになったのだが私が師匠に指導を受けていることで、Aランク冒険者の指導が受けられると噂になり希望者が殺到し、師匠も『操気術』を広めるためと快諾した。しかし、訓練場で並んで座禅を組み、ずっと瞑想を続ける修行に次の日には半数近くが来なくなり、合間で行われる地味な基礎鍛錬に徐々に脱落者が増えていった。結果としてスキルを得るまで残ったのは私ともう一人だけだった。
そのもう一人というのがなんとドワ子である。この時知ったのだがドワ子はDランク冒険者でもあるらしい。
ドワ子よ、仕事は大丈夫なのかと思わないでもないが休憩時間や休日に概念や基礎学び、仕事中開拓村の受け付けなど忙しい時間を除けば比較的暇らしく受付で瞑想に励んでいたらしい。ちなみに初めメガネに居眠りしていると勘違いされ説教を受けたらしいが。
・スキルを獲得しました
・アーツを習得しました
以前から気を多少感じることができていたため思ったより早く聴剄はできるようになるなったのだが自身の気を動かすことに苦戦し思った以上に時間がかかり結局気を循環させられるようになり『操気術』を獲得したのはドワ子に追い越されて少しあととなった。
スキル獲得に伴い【気配探知】と【躯体活性】のアーツを習得した。『魔力操作』の【魔力感知】、【身体強化】に対応しているようである。
使用した感じとしては【気配感知】は360度レーダーで周囲の気配がわかるというもので人や魔物、動物、植物で気の気配が異なるため存在を察知できるという便利なものであった。まだ私では5メートルくらいにしか範囲が限られているがスキルレベルを上げたり、習熟することで範囲や感度を向上されられるらしい。
【躯体活性】は身体能力が向上しているようであり、【身体強化】を合わせ持つ、師匠やドワ子に違いを尋ねると魔力では体を外側から、気では体の内側から強化されている感じの違いがあるようだ。
では両方を併用するとどうなるのか尋ねると師匠はドワ子の肩をポンと叩く。
「うん、【身体強化】、【躯体活性】」
ドワ子がアーツを併用し身体に力を蓄える。
「どちらも全体的に身体機能が向上するのだけれど魔力は体を外から覆い、気は中から活性化するイメージだからね、魔力は攻撃力や防御力、気は敏捷性や反射速度が特に強化されるんだよ。そしてそれを合わせて使うとこうなる。リン、いいよ」
ドワ子が瞬時に訓練場の巻き藁の前に移動し、棍棒を振り下ろす。
ドーンと轟音が響き、振りされた棍棒によって巻き藁は無惨に吹き飛んでしまった。
撲殺幼女が爆誕し、私の作った巻き藁君1号が寿命を迎えたのであった。




