第43話 駆け出し冒険者は現状を振り返る
もう日が上がり村の人たちも冒険者達も仕事に打ち込んでいる時間帯、私は冒険者ギルドの訓練場の地面で座禅を行い、瞑想をしていた。
普段なら私も討伐に出ている時間なのだがそれには3日前の出来事に原因があった。
その日はいつものように森の表層で狩りをしていたのだが出合ったゴブリンが何故か腰布を無くしており、息子を見せつけながら爪で攻撃してきたので注意がそれてしまい、足元の腐葉土で足を滑らせて肩に『引っ掻き』を受けて負傷してしまった。
その後痛みを覚えながらもゴブリンの討伐は成功したのだがその後の展開は予想もしていなかった。
「いってぇ」
シャツに滲む自分の血を見ながらぼやき、傷薬を塗り込む。
(ゴブリンがすっぽんぽんだったからって油断したら駄目だよ)
(そうは言ってもあんなにぶらぶらされたらつい気が散るだろ)
(命がかかってるんだからそれどころじゃないよ、緊張感が足りないと思う)
(おっしゃる通りです。ごめんなさい)
傷の治療を終えて立ち上がろうとした時だった。木々の間から何かが私の方に近づいてくる音が聞こえてくる。
魔物の姿が見えたので確認して驚く。
ウルフじゃねぇか!血の匂いを嗅いでこっちに来たのか。
この世界でウルフは魔石を持っているため魔物に分類される。魔石を持つことにより様々な環境に適応した亜種なども存在する。
通常のウルフはランクとしてはFランク相当なのだが私は会いたくはなかった。
なぜならウルフは群れを作ることが多く、連携に優れているらしいのだ。
この状況は不味い。まだ傷を塞いだだけで生命力を回復できていないし、ウルフが何匹いるかわからないのだ。
剣を抜き、前方のウルフに警戒しながら周辺を見渡す。
やはりいた。
後方から2匹左右に別れて近づいてきている。
こっちは生命力が減ってて、ウルフは初見で、さらにいきなり3匹、思ったよりは小さな群れでよかったがそれでも状況は悪い。
(逃げた方がいいんじゃないかな、ウルフは警戒心が強くて見晴らしのいい草原では見かけないらしいし、草原まで逃げ切ればなんとかなると思うよ)
(それに賭けるしかないか、ひと当てして牽制してから逃げよう)
相棒との作戦会議を素早く終わらせ、少しでも後ろから迫るウルフが近づいてくる前に仕掛ける。もう気づかれて狙われているのだ『鑑定眼』に気付かれるのを気にせず使う。
・ウルフ
・ウルフ
・ウルフ
統率個体や上位種がいないのがせめてもの救いだ。
今度は逃げ損なうわけにはいかない。失敗したら死なぬ可能性が高い。以前のジャイアントラットに引き続き2度目の逃亡戦をに挑む。




