第41話 駆け出し冒険者はスライムを見間違う
今、私はゴブリンを探していつものように森に来ている。あれほど罪悪感を覚えたゴブリン狩りにも慣れを覚え始めてきている。
この世界クレイドルでは魔物同士ですら争い合い、己の糧とする性質があるためか同じような場所で強さの離れた魔物同士が共に生活していることはあまりない。あっても同種の魔物が群れを作るくらいのものだ。しかし、その群れでも争うこともあるようではあるのだが。
森の表層はゴブリンが現れやすいためスライムやジャイアントラットは被食者となるのかあまり見かけない。
それを見つけたのは偶然だった。森の中は日光を木々に遮られ辺りは少し薄暗くなっているのだがそのとき偶然影になった腐葉土の辺りにスライム特有の流線型のボディを発見したのだ。
ゴブリンと戦っているときに横槍を入れられたくはないので討伐しておこうと思い近づき、『鑑定眼』を使用する。
・ポイズンスライム
えっ!
今の今まで只のスライムだと思っていた。
以前ポンコツとか言ってごめんなさい、助かりました。
(誰と会話してるの)
『鑑定眼』様です。ノリですよ、ノリ。
鑑定されてこちらに気づいたポイズンスライムがこちらに近づいてくる。薄暗くて分かりにくいがよく見れば体色が緑がかっている気がする。ポイズンスライムは前情報でFランク相当であることは把握しているため逃げを選ぶかは様子を見てからだ。
(ポイズンスライム、ランクはF相当、大きさはスライムと変わらない、体色は緑、動きには変化はないな。攻撃手段はまだ不明、当然毒攻撃は持っていると思う)
しかし、上位種というのは本当に情報がないと気づかない可能性があるな。先手は取れなくなったとしても『鑑定眼』は私の生命線だと思う。
解毒薬は持ってきてはいるが毒の程度がわからない。絶対に攻撃を受けない心構えでいこう。
剣を抜き、下段に構え、待ち構える。
基本はスライムと同じだ。ただ攻撃方法は確認しておきたい。
ポイズンスライムはぽよん、ぽよんと近づいてきて、まだスライムの『体当たり』距離まで来ていないのに手前で止まる。
何かしてくるか、そう思った瞬間ポイズンスライムの体にがぷるんと震える。
(来るよ!)
ディクトの警告と同時にポイズンスライムが無色の液体を飛ばして来た。
警戒していたかいがあって難なく回避に成功する。液体が付着した草むらを見るが、ただ水に濡れたようにしか見えない。しかしそれで逆に気づかずに侮っていたら毒を受けていたことになりそうで怖い。
(攻撃方法で『毒液攻撃』、射程は5メートル以内、無色無臭で遅効性だろう。あとは身体に触れたら毒を受けるかどうかだな)
なにか実験できる動物でもいればいいのだが、今回はそんな用意もしてないので体に触れないように戦うしかないな。
その後毒液を回避しながら攻撃手段の確認を進めるがポイズンスライムは一定距離をとって『毒液噴射』を何回か撃ってくるだけだった。
意を決して毒液を回避しながら近づくとスライムと同様に私に向かって飛びかかってきた。
飛びかかってきたポイズンスライムを切り上げで弾き飛ばし、追いかけて刺突で仕留めようとするが刺さっても殺しきれなかった。剣を抜き、すかさず後ろに下がる。
ポイズンスライムは刺した辺りから体液が漏れ出ているがまだ死にはしない。
(スライムよりも生命力が高いな。レベルも上だろう、でも突撃はやはり有効そうだな。攻撃は遠距離の『毒液攻撃』優先で近付かれると『体当たり』をしてくるみたいだ。)
最後にぷるぷるして瀕死のポイズンスライムへ間合いを詰めて横薙ぎにして葬り去った。
ディクト魔物図鑑
No.4
ポイズンスライム Fランク
特徴
体長 0.5m 体高 0.3m
弾性のあるの丸みを帯びた体で敏捷性は低く普通のスライムに見えるが体色が緑であり、毒を持つために注意が必要
レベル 不明
タイプ テクニックタイプ
特殊技
『毒液攻撃』……遅効性の毒液を放つ、射程は5メートルほど、直前に体を震わせるため判別は容易
『体当たり』……近距離に近づくと毒液攻撃から切り替えて使ってくる、効果はスライムと変わらない
耐性・弱点
突撃に弱い
出現エリア
アインス第3開拓村北部森林表層部




