第34話 駆け出し冒険者はマスターの憂いを聞く
誤字部分を改稿しました
草原で移動するスライムに一気に距離を詰め、横薙ぎで切りつけ、絶ちきれず後ろに下がったスライムを追いかけ、刺突で突き刺す。
スライムやジャイアントラットの討伐にも慣れてきたものだ。
スライムは動きが遅いので攻撃を当てやすいし、スライムの攻撃も跳躍からの体当たりなので動きが読みやすい。
ジャイアントラットは素早いが耐久力が低いため速度重視の軽い斬撃のほか蹴りをいれるなどでも相手を怯ませることができる。その後に止めを差せばいい。しがし、『仲間呼び』だけは危険なためできるだけ単体を狙い、複数と戦う時はいつでも阻害できるように分断させ距離を離しすぎたり、逃げられないように注意しながら戦っている。
午前の討伐を終え、午後から鍛錬に励む。今日はマスターに模擬戦をお願いした。
こてんぱんにやられましたが何か?
「実戦を経て、大分戦い方が様になってきたな」
「私には魔力もないし、腕力も弱いからスピード重視で戦うか、カウンターを狙うことしか出来ませんよ」
「さっきは一度牽制に蹴りを使ったな、自分で考えて試行錯誤しているのがわかる、お前みたいな奴は生き残りやすいだろう」
今日のマスターはどうしたのだろうか正面から誉められると落ち着かない。
(レジュメ君にデレたんだよ)
思わぬ精神攻撃を受けた。このタイミングで笑うのはおかしい。
「お前は毎日訓練に来るからわかるだろう。他の冒険者は訓練より魔物を討伐して実戦で鍛える。そのためレベルが上がるが怪我や死ぬ可能性が高まる。せめてある程度強くなるまでは訓練してくれればいいんだがな」
少しピンと来るものがあったのできいてみる。
「新しくアインスからきた冒険者の二人のことですか?」
「ああ、他にもやって欲しい連中は多いがな。その二人には酒場に飯を食いにきたときに誘ったんだがな、金にならねぇし、面倒くせぇ、って断られた」
金髪イケメン……。確かに金が大事なのはわかる。でもアドバイスをくれたマスターに面倒くせぇはないだろ。
(なんかあの人妙な自信に溢れてるもんね)
金髪イケメンは開拓村に移籍してきてから自身のランク相当の魔物や1つ上のランク相当の魔物を狩り続けているらしく既にFからEランクに昇格していた。
酒場で先日一緒に食事した時に私に格下と戦ってもなんの自慢にもならないと言っていたのを思い出す。
私はいまだに格下しか相手にしていないからランクアップはまだしていない。
「こんなご時世、冒険者は有限だ。魔物はただ湧くってのに人は鍛錬していかなきゃならねぇからな。冒険者にとって大事なのは死なないことだぞ」
頷きながら話を聞いているとマスターに忠告される。
「お前の場合は逆に格下ばかりじゃなくせめて同格くらいと戦ってみないと、格上との戦いを避けられないときに困りそうだがな」
確かに今のまま格下を狩るだけでは駄目かと思い、レベルも上がったこの機会に正式にゴブリン討伐に移ることを決意した。




