第31話 駆け出し冒険者はパーティと収入源について考える
この世界はテンプレに溢れているのに何故私やディクトにはテンプレが起こらないのだろうか?私はチートは貰えないし、ディクトも不遇なりに壊れスキルを持っていたり、今の決意でスキルを獲得したりしてもいいだろうに。
思い耽っていても仕方がないし、他の魔物に襲われたらたまらない。生命力を回復させたのはいいが、服が血だらけになったので村に返ることにした。霧散せずに染み込んでしまった血はもちろん私のものだ。今日は鍛練も軽めにして早めに休もうと決め、足を進める。
ギルドに着くと中に入る前に裏の井戸で体を洗い、着替えて血の付いた服を洗濯した。血は完全には落ちなかったが多少薄れたので良しとする。
ギルドに行き、討伐報告をして、報酬をもらう。
「レジー、顔色悪い。大丈夫?」
「はは、ジャイアントラットに仲間を呼ばれて、囲まれしまって怪我をしました。まだまだ未熟ってことですね」
見た目小学生くらいのドワ子に心配されて情けない気持ちになってくる。
「ジャイアントラットは経験を積んで、レベルを上げていけば普通に倒せる。でも、冒険者はほとんどソロの限界を感じたらパーティを組む。まだ先の話だろうけど考えてはいた方がいい」
「そうですね、ありがとうございます。考えておきます」
そう答えながらも私はディクト以外とは組むつもりはなかった。魔力を持たず、魔法とスキルの一部が使えない私がパーティに受け入れられるかわからない、私は拒絶されるのが怖いのだ。
そう考えるとディクトと契約できたのは本当によかった。お互い1人では足りない部分を補って信頼をおいている。傷の舐めあいではないがある意味では依存しているのかもしれないなどと考えながらカウンターを後にした。
食事処で昼食をとり、ネコ商人の店で使ってしまった傷薬と回復薬を補充する。その際に絵本がもっと欲しい、他にも新作はできないかなどと聞かれ、そんなに売れるかと尋ねると以前からアインスの商人にも卸していたらしいが数を増やしたいそうだ。事情はわかったがあまり目立ちたくないため適当に言葉を濁しておいた。
私はまだ駆け出しの冒険者である。そんな駆け出しでありながら分不相応な収入をこれ以上加速させたくない。この村では害意を感じたことはないが都市で噂が広がるのは好ましくない。人は群れると歪むものだ、特に助け合い精神の強い村より厄介なことになりそうな気がする。
そう考えると作者に私とディクトの名前を入れたのは失敗だったかなとも思うが、まぁやってしまったものは仕方がない。
(新作をいつでも出せる準備だけはしておこうか、今度はカタカナを混ぜて、その次で簡易漢字かな。今はお金に困ってないけど今後はわからないからな)
(わかった、次はどんな話にするの?)
(そうだな、ワイルドラビットとグリーンタートルのレースとかかな)
こんな話をしながらいつもよりは少し軽めの鍛錬をして、酒場で夕食をとり、宿泊所へと戻った。




