第26話 駆け出し冒険者は討伐報告をする
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油断して手痛い反撃を受けたがスライムを倒すことが出来た。
最下級の魔物とは言えども魔物を討伐出来たという事実は私にとって大きなことだ。
(おめでとう。大事な第一歩だね)
ディクトと一緒に喜ぶ。それから戦いの間にメモしてもらったことを二人でああでもないこうでもないと纏めながら、記念すべき魔物図鑑1ページ目を完成させた。イラストもない、情報も足りない不十分な状態だがまず第一歩だ。
その後、さらに2体スライムと戦った。
1体目は先程と同様に待ち構え、後の先を取ることで倒したのだが、跳躍してくるスライムを唐竹で叩き落とし、今度は突き刺さずに横薙ぎにしたのだが、それでも倒しきれず、横に反動ではねたスライムを追いかけ、袈裟斬りにしてやっと倒せた。
この結果から先に推測したスライムが刺突のような突撃に弱いだろうということが確認とれた。
2体目は相手の『体当たり』に合わせてカウンターで刺突を当てようと試み、見事失敗。スライムよる2度目の胸ドンを喰らいむせる。その後は最初のスライムと同様に飛びかかってきたところを【一閃】で迎撃後、刺突で倒した。
油断した訳じゃない。試行錯誤して、ハイリスク・ハイリターンな賭けで負けただけだ。
(失敗は認めたほうがいいと思うよ)
相棒の優しさが身に染みた。
2度目のダメージに焦って使ってしまったがアーツ【一閃】の使い心地としてはやはりいつもよりも剣速が出るため初撃や迎撃に向いているように感じた。実戦練習ができたからいいかと納得する。
体感的にだが生命力は半分になってしまっているはずである。回復薬を使うのはもったいなく感じ、そのまま村に帰ることにする。
この世界で厄介なことが、魔力は微量ながらも空気中から吸収されるため時間経過で自然回復するが、生命力は回復薬を使用するか、健康な状態で睡眠をとる必要があるということだ。休憩でスタミナは回復するが生命力は回復しないのである。
健康な状態というのは進行性のある外傷や病気、呪い、栄養不足などがない状態である。
もったいないが死亡フラグにならないように行きの行程以上に警戒しながら戻り、無事村までたどり着いた。
村に戻り、食事処で昼食をとってからギルドへ向かう。
ドワ子のカウンターでスライムの魔石を3個提出する。
「スライムが3体の討伐報酬で900ダラ、魔石は1個100ダラで300ダラだけど、どうする?」
「討伐報酬だけでお願いします」
900ダラを受けとる。
実は私の今の所持金は10万ダラを超えている。この900ダラは絵本作家レジュメ&ディクトにとっては小さな額だが、私たちにとって最初の冒険者として報酬だ。嬉しくないはずがない。
「ディクトのレベルが上がったらまた鑑定してあげる。頑張って」
そう、魔石を売らなかったのは理由がある。実は魔物がどうやってレベルを上げているかというと、他の魔物や人種を殺して、魔石や魔力器を補食することでレベルを上げられるのだ。
この世界では従魔を連れた冒険者は多くない。魔物が村人や都市の住人に忌避されていたり、契約が難しいということもあるが、1番は育成にお金がかかるからである。
私はもちろん出来る限りディクトに与えるつもりだ。
ドワ子に礼を告げ、この後に訓練場の使用許可を貰おうとすると、許可は必要ないらしく、自由に使っていいそうだ。今までは講習でずっと通っていたため初めて知ったが手間が省けてありがたい。
訓練場に着くとマスターが1人で立っている。何をしているのだろうか?
(レジュメ君を待ってたんじゃないかな?)
いや、流石にそれはないんじゃないかと思ったら、私に気付いたマスターが近づいてきた。
(そうかも知らないな、ディクト、よくわかったな)
(だって、マスターみたいな人をツンデレって言うんでしょ)
噴き出しそうになるのを堪えながらマスターを迎える。
「どうだった?」
「スライムと3回戦って、勝ちはしましたが油断から2回体当たりを受けました。まだまだ鍛練が足りませんね」
「ふん、わかっているならいい。調子にのっているようなら鼻をへし折ってやろうかと思っておった」
危ない、危ない、私は危機を潜り抜けたようだ。
「これからは午前中は草原で魔物討伐をしますが、午後からはこれまで同様に訓練を続けようと思います」
マスターは頷いて、こころなしか嬉しそうにギルドに戻っていった。
確かにあれはツンデレかな。




