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メモからはじめる魔物図鑑  作者: 平凡な三十代
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第20話 見習い冒険者は従魔と誓いを交わす

ベッドの上でディクトと向き合おうと意を決し、話しかけようとしたところで逆にディクトから話しかけられる。


(ごめん、真面目な顔しているところ悪いんだけどさ、レジュメ君の思考はずっと読んでるから君が異世界人だって知ってるよ)


(……ですよね)


心が読まれてるのをどうも忘れがちになる。


(始めは地球のこととかよくわからなかったけど、剣道のこととか魔力がないこととかの考察していたのを見ていたら異世界人だってわかったよ。僕としては契約者が思った以上に面白そうな人でうれしいんだけどね)


(あらためて自己紹介だな。私はレジュメ。異世界人で元の世界では会社員つまり商人だったが今は見習い冒険者だな。趣味はゲームっていう、それこそこの世界みたなものを疑似体験するのが好きだった。大したこと特技もない、どこにでもいるような凡人だったんだが今では魔力も使えない、スキルも微妙な凡人以下だな)


いかん、振り返ってみたら思った以上に残念だ。気分が鬱になってくる。


(そうかもしれない。でも、君が冒険者なのに『読書』なんてスキルを手に入れたおかげで僕たちは出会えた。僕はディクト、君が名付けた名前の由来は辞書だね。種族はリビングブック、似た種族のリビングソードやリビングアーマーなんかは戦闘力が高いのだけど僕はどちらかといえば落ちこぼれかな?)


(魔物にも知性があるのか?)


ディクトは賢すぎる気がする。それと同時に落ちこぼれという言葉に凄い親近感を覚える。


(魔物も知性があるものとないものがいるよ。僕の場合は本という知識の象徴が本体のおかげで高い知性があるのだと思う。僕の場合はここから少し離れたところにあるダンジョンで生まれたんだけど生まれたレベルが低すぎてね、動けないし、戦えない。もう詰んだと思ったときに冒険者が来てね。『偽装』スキルを使って本のふりをしていたら回収されて、行商に売られ、道具屋に売られて君の手に渡ったという訳だよ。ちなみに魔石は偽装して見えないようにしているけど表紙の真ん中に付いているよ。レベルは1で、所持スキルは『偽装』と『念話』、そして種族固有の『本』スキルだけだよ)



凡人で異世界に転移して魔力を得られず底辺冒険者になった私と、魔物で生まれたのに高い知性を持ち、戦闘力がなく、敵である冒険者に死んだふりをしてやり過ごし、落ちこぼれだと自分をいうディクト、運命だなんて安っぽい言葉ではないがただの偶然だとは思えないし、思いたくなかった。なんで『読書』スキルなんてと思っていたがそのおかげでディクトと会えた。


これだけは言葉に出したくて本に手を当てて口にした。


「私たちは1人だけだと落ちこぼれだ。一緒に考えて、一緒に強くなろう」


(イエス、マイ・マスター)



これで本当の意味でディクトと契約できた気がする。



一旦落ち着いたので今後のことを考えよう。『剣術』スキルを得るまでは魔物と戦うことは出来ない。それまでまずはお金を稼がないといけないとしか考えていたがそれは正しいのか?他にするべきことがあるのではないか?


(僕は出来る限り鍛練と情報収集に徹するべきだと思う。もし情報の十分に集まったら、動物の狩りをして少しでも戦闘に慣れるべきだと思うよ。レベルは上がらないかもしれないけど技術は向上するし、『剣術』スキルの取得が早まる可能性もあるしね)


(よし、ツケを使ってでも情報収集を優先しよう。その後は狩りの成果次第だな)


(マスターは魔力がないのは異世界人だからと思っているみたいだけど、過去にも勇者や初代ギルドマスター以外にも異世界人が来てないか、その人は魔力やスキルはどうだったかも調べた方がいいかも)


確かにその通りだ。言語系のスキルが有るわけでもないのに日本語で読み書き出来るのもおかしいし、ギルドの弱者に福利厚生が厚いことも怪しい。過去に日本人の転移者や転生者がいた可能性は高い。


(それとマスターの話にあったゲームのことなんだけど、その中でマスターが思い浮かべた物に攻略本ってあったでしょ、あれ、特にモンスターデータ、ああいうものがあれば少しでも戦闘が楽になるんじゃないかな?)


確かに、魔物の弱点や能力がわかれば戦いやすさは全然違うものになるだろう。それに実はゲームで図鑑を集めるという作業が私は大好きであった。ボールでモンスターをゲットするものやドラゴンの出てくるクエストでモンスターを育てるものなどのゲームで必死に図鑑を埋めるために睡眠時間を削っていたのを思い出す。


(いいね。ギルドで情報を調べて図鑑を作っていこう。この世界で生きていくために強くなろう。強くなるために情報を集めよう。趣味として楽しむために魔物図鑑を作っていこう)




こうして1人の異世界人と1冊の本は力を合わせ困難へと立ち向かっていく。

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