第18話 見習い冒険者は組み手をする
マスターと3メートルくらいの間合いを取り、互いに向かい合う。
私は右手で木剣を構え、動きを妨げないように木の小盾を左腕にベルトで固定して、左手で取っ手を握っている。
対するマスターは右手に棍棒、右手に通常サイズの木盾をどっしりと構えている。
「好きに打ってこい」
「はい、行きます」
マスターの胸を借りる。すり足でゆっくり、近づいていき、間合いに入ったと思った瞬間に袈裟切りでマスターの左肩を狙って切りかかる。
あっさりとマスターの盾に阻まれる。木盾に思い切り打ち付けたため手が痺れる。
「次!]
痺れが収まってはいないが、一歩だけ後ろに下がってから胴抜き。
防がれる。
私の『剣術』ではマスターに攻撃が通じないことがよくわかり、その後も素振りで練習した技をいろいろ試していく。
もちろんマスターの鉄壁の盾に全て防がれる。ひと通り試行錯誤した後、もう一度とマスターの頭頂を狙い唐竹切りをして、盾に防がれた時のことだった。
(左!)
ディクトの声が聞こえたと思った瞬間、顔のすぐ横に棍棒が寸止めされていた。
「攻撃が出来る距離ってのは、もちろん攻撃される距離だ。体格の劣るお前の場合は立ち止まって、攻撃の打ち合いは不利になるだろう。だから、攻撃をしたらすぐに離れろ。立ち止まるな、それとお前の剣技だが対人に特化しているな。魔物にも人型はいるし、悪くはないんだが魔物は人型以外も多い、低い位置や切り上げの鍛練もしておけ」
話しに納得して頷きながらディクトにメモを頼む。
そのあと下段からの横薙、切り上げを新たに含めて、練習を重ねる。剣を振ったあと、後ろに下がる。左右に動くなど動きを増やしていく、下段に関しては特に慣れない動きのため片手では力が入り難く、盾を外し、両手持ちで練習していく。
結構な時間が過ぎたのだろう。そこでマスターが声をかけてきた。
「今日の講習はここまでだが、剣の振り方は正確さが必要だ。焦らず、雑にならないようにゆっくり体に覚え込ませていけ」
マスターは続ける。
「それとなんだが接近戦闘を行う冒険者は魔力を身体強化に用いて戦うことが出来る。普通はスキルの発現で武器術スキルか『魔力操作』スキルかが手にはいるのだが、残念ながらお前にはない。1つ聞きたいのだがお前は魔力を感じることができるか?自身の魔力を感じることができれば魔力を少しずつ動かしていくことで『魔力感知』や『魔力操作』を習得できるのだが……」
正直に答える。
「私の魔力は0でした。私には魔力がないため使うことも、感じることもできません。魔力を上げるために先にレベルをあげた方がいいのでしょうか?」
私の言葉にマスターが目を見開く。
それからマスターに言われたことに私は言葉を失った。
「生き物は生命力と魔力を持っているが、人種では生命力は生命器に、魔力は魔力器に蓄積される言われおり、魔物は両方が魔石に蓄積されると言われている。レベルを上げることで生命力と魔力が増えるのはこの器官や魔石の最大蓄積量が拡張するからだと言われている」




