第17話 見習い冒険者は剣術の指導をうける
マスターは私の言葉を受け、うなずいた。
「よし、まず剣を好きに振ってみろ」
マスターから木剣を受け取り、眺める。長さが80センチくらいだろうか、ショートソードと呼ばれる片手剣を木で再現したものらしいが、柄が長めで、両手で持つことも可能になっている。
右手だけで剣を握って、軽く振ってみる。
重さを確認して、右足を一歩前に出し、左足の踵を上げ、木剣を中段に構える。
振り上げてから前に進みながら剣を振り下ろす。唐竹と呼ばれるこの技?を数回繰り返し、次に八相に構え、袈裟切り、逆袈裟、抜き胴、逆胴と試していく。
次に柄に左手を添え、両手持ちでもそれぞれ試す。
実は私は学生時代に柔道をしていて、剣道を実際やったのは授業でくらいしかなかったが、隣で剣道部が練習しているのを幾度となく見てきた。その動きを参考にして剣を振るっている。
「どこで習ったのかは知らねぇが、脇の締め方は甘えし、動きはぎこちないし、振りも遅い。でも剣の振り方はわかってるらしいな。」
言われたことにはもちろん自覚がある。所詮私が今やったことは知識を自分なりに再現しただけのものだ。知っているからとはいえ出来るわけではない、当たり前のことだ。
しかし、基本は剣道に当てはめても問題ないようだ。剣道は『剣術』ではなく『刀術』に分類されるかもと思ったがお墨付きをもらい安心する。刀なんてこの世界にあるか解らないからだ。
「もう一度1つずつ、ゆっくり振ってみろ」
言われた通り1つずつ形を行う。その度にマスターから指摘され、少しずつフォームが修正されていく。指摘を受けた箇所はその都度『念話』でディクトにメモを頼む。
「基本はこんなとこだろう。これから講習の始めと終わりに素振りをしろ。それとお前は毎日身体を鍛えろ。お前は体型が細いからな、最低限筋肉がなければ魔力で強化しても効果が薄いからな」
「はい、わかりました」
講習前後にランニングと筋トレを続けて行こうと決意する。
「では、素振りを始めろ」
「はい」
フォームを意識して、時間がかけてでも雑にならないように気を付ける。
「それでいい、まずは速さより正確さだ。」
そうしてゆっくり時間が過ぎていく。
(暇ですね~)
(お前はな!)
そんなやり取りをしていたらマスターに雑念が入っていると怒られた。その通りだが何でわかるんだ?エスパーか?いかん、これが雑念だろう。そんなことを考えながら素振りを繰り返していく。
「よし、素振りはそれまででいい。これから実際に俺に打ってこい」
講習初日はまだ続くようだ。




