第13話 見習い冒険者は朝食を食べる
今日はアラーム鳴らないなと思いながら目を覚ます。
見覚えのない殺風景な部屋を見て、一瞬驚くが、昨日1日のことを思い出し、夢じゃなかったんだなと思う。
体感時間ではおそらくもうすぐ日が登る頃だろう。バッグからメモ帳を取り出し、昨日書きつらねたものを確認し、メモ帳の紐を一旦ほどき、メモ紙の優先順に並び替え、紐を結び直す。昨日と同様まわりのものに鑑定をかけ、ベッドから立ち上がる。
昨日は内容の濃い1日であったので紙の上でも振り返れたのは良かったが、私によって書かれた内容だがゲームについて書いているようにしかみえず、なんとなく笑ってしまう。
そんな事を考えながらベッドのシワを伸ばし、部屋を出る。ギルドタグを回収して、階段を降りて1階に降りる。
ようやく日が登り始めたくらいなのにギルドは営業していた。
冒険者達も数人来ており、依頼表の前やカウンターにいたり、酒場のテーブルに座っている。 酒場は朝食もやっているのだろうか?
おばちゃんももう働いていた。
「おはようございます。よく寝られました」
「それは良かったね。頑張んな、レジー」
「ありがとうございます。あの、その呼び方って……」
「レジュメってんだろ、リンちゃんが言ってたよ。見習い期間が長くなるかもってね、芽が出るまで時間がかかるかも知れないけど諦めるんじゃないよ」
「はい、頑張ってきます」
何故、このおばちゃんは私の好感度の上げ方を熟知しているのだろうか? そしてドワ子よ、個人情報漏らすなよ。
おばちゃんが言うには今この開拓村にGランクはわたし1人しかいないらしく荷物は置いたままでもいいということだ。
しかし、これでGランクがちょっと長くなっても大丈夫そうだな。
ついでに井戸の場所を尋ねるとギルドの裏にあると教えられたので行ってみるとギルドの裏は広い空き地になっており、脇の方に衝立に囲われた井戸があった。顔を洗い、手拭いで顔を拭くついでに服を着たまま上半身だけでもと手拭いで身体を拭いておく。
手拭いをしぼり、ギルドに戻って酒場へ行くと若い人族の茶髪の兄ちゃんがいた。
「朝食がとれますか?」
「朝は2種類だけだ。軽めか、重めどっちにする?」
「軽めでお願いします」
「あいよ、あんた新顔だな、俺はトムってんだが……」
茶髪兄ちゃんは話をしながらも手を動かし、黒パンと野菜のスープを出してくれた。
「ありがとうございます。私はレジュメです。重めのメニューだとどんな感じですか?」
食事を受け取り、黒パンに手を伸ばしながら気になったので聞いてみる。
「よろしくな、重めっていってもこれにベーコンか、ハム、ソーセージのどれかがついて黒パンが増えるくらいだぞ。ちなみに軽めが300ダラ、重めが500ダラな。ああ、あんたまだGランクか、なら200と400だ。」
本当にこの世界の冒険者ギルドは初心者に優しく出来てるな。想定よりお金が持ちそうだ。今日の買い物次第だがありがたい。
「ご馳走さまでした。そういえば何でGランクって分かるんですか」
食器を返し、尋ねる。
「ああ、そのタグに石がついてるだろ、その色はランクで変わるんだよ。見習いは色がないの、他は受付で聞きな」
茶髪兄ちゃんは食器を片付け、椅子に座り、本を読み始めた。
私は財布を取り出し200ダラを支払う。
私は立ち上がり、ギルドのカウンターへと向かう。
今日はカウンターにドワ子と眼鏡をかけた30代の人族の黒髪男がいる。
私が行くのはもちろんドワ子の前だ。
「おはようございます。講習について聞きたいのですけど……」
「おはよう、レジー。講習は昼からになるから昼前にギルドの裏にある訓練場に来て」
昼前って大雑把過ぎないか、そう思い尋ねる。
「時間の目安って何かないんですか?」
となりのメガネが横から入ってきた。
「横から申し訳ありません、私クロームと申します。時間ですがアインスのような都市であれば朝、昼、夕と一定時間ごとに鐘がならされるので把握しやすいのですが、このような開拓村では日の出、日が最も高くなるとき、日の入くらいでしか目安がございません」
うん、わかったけどあんたに聞いてないんだけどな。
「ありがとうございます」
メガネにお礼を伝えて、ドワ子の方を向く。
「先ほどギルドタグの石の色がランクに対応していると聞いたのですけど詳細を教えていただけませんか?」
流石にもう一度横槍が入ってくることはなかったがこちらを凝視している。
ドワ子が慌てているところをみるとメガネはドワ子の上司なのかもしれない。
「Gランクが無色、Fが青、Eが緑、Dが黄色、Cが赤、Bが銀、Aが金の石が入ってる、一応昨日説明したはず……」
見苦しい言い訳をするドワ子。
「そうでしたね。すいませんでした、説明されたのを忘れていたみたいです。ありがとうございました」
後からが楽しみなので話を合わせておくことにした。
さて、外に買い物にも出掛けよう。
教えてもらったランク対応色をメモし、ギルドの外へ向かった。




