もふもふ少女の家に
「…………」
一人歩きながら改めて考える。あざや君の本性について。
いや、考えるまでも無い。あの本性は駄目だ。
そう考えたから俺は今ここにいるのだから。
「……うおっ!」
ふと横を見ると杭に繋がれた大きな犬が寝ていた。杭には『猛犬注意』のシール、その猛犬の部分の上にマジックで超と書かれている。
「かなみさんはこの道通らないだろうな」
苦笑してまた歩きだす。確かかなみさんは違う道を歩いていたな。
そう、かなみさんがいつも歩いている可能性があった道を俺は歩いている。向かう先は……野代家、かなみさんの家だ。
「…………」
唾を飲んでインターホンを鳴らす。
「はーい……先輩!?」
「やあ、かなみさん」
出てきたかなみさんは混乱している
「えっとなんでいやお茶をじゃなくてなんでいや」
「落ちついてかなみさん。今日はかなみさんのお父さんに会いにきたんだ」
「……え?」
混乱していたかなみさんが固まった。
「お父さんに?」
「そう、いるかな?」
「はい……いますけど」
「じゃあ取り次いで貰えるかな」
「は、はい」
かなみさんは戸惑いながらも俺を家に入れてくれた。
「お邪魔します」
「えっと……呼んできますね」
かなみさんが奥に行くと同時に上からあざや君が降りてきた。
「……和樹先輩」
俺を見るその目はあざや君が本性を現した時のソレだ。
「今日はかなみさんに用事があるわけじゃない。かなみさんのお父さんに用事があるんだ」
「そうですか……まあ、僕もこんなところで手荒な真似をしようなんて思ってませんよ」
「…………」
俺たちが睨み合っていると奥からかなみさんが来て
「先輩、大丈夫だそうです」
「ありがとう」
俺がかなみさんと奥に行こうとすると上からあざや君が手を振る。
「かなみさん、ちょっと来てください」
「えっ、でも……」
かなみさんは俺を見る。
「大丈夫だよ」
俺がそう言うとかなみさんはあざや君の方に向かった。
今回はかなみさんもいない方がいいだろう……
「かなみさん、ちょっとですね……」
そう言ってかなみさんと話すあざや君にはさっきのような本性は見えない。
全く恐ろしいやつだ……いや、今はいい。今やるべき事は他にある。
かなみさんが出てきた奥の部屋に入る。
「失礼します」
「入っていいよ」
そこに座っていたのはかなみさんのお父さん。
「突然お邪魔してすみません。かなみさんと同じ高校の和樹と言います」
「君が和樹君か、かなみからよく聞いてる。知っての通りオレはかなみの父親で野代仁斗だ」
仁斗さんは横に置いてあった段ボールから缶コーヒーを取り出して俺に投げた。
「まあ飲みな……で、オレに何かようか?」
「はい」
俺は缶コーヒーを机に置いて仁斗さんに切り出した。
「あざや君の事について、少し相談があります」




