もふもふ少女と夏祭り
夏休みである。夏祭りである!
「先輩、こんばんは」
「伸二先輩もこんばんはー」
伸二と二人待っているとかなみさんとあざや君が来た。
「かなみさん、着物?」
「はい……どうですか?」
そう言ってかなみさんは一周回る。
「いいんじゃないかな」
凄くいい! 似合ってるよかなみさん!
「和樹先輩、僕はどうですか?」
「まあいんじゃねぇの?」
「僕には冷たい! 何でですかー」
「うっさい」
大袈裟に言うあざや君を受け流してかなみさんの方をちらりと見る。
……特に変わった所は無さそうだ。この前のはやっぱり聞こえなかっただけか?
そんな事を考えていると隣にいた伸二の体が前に傾いた。
「シンちゃーん! 元気してたー? この着物似合うかなー?」
「なぜ毎回物理的ダメージを与えるんだ……」
「着物に関しての感想は?」
「お前の動きがセーブされていい感じだ、欲を言えばもう少しセーブしてほしい」
「それ感想じゃない……あ、よっす!」
伸二に飛びかかった由美さんが俺とかなみさんに軽く挨拶。そしてあざや君を見て
「……誰?」
と、悪びれも無く言った。
あざや君はそれに気を悪くした様子も無く、笑顔で答えた。
「本藤あざやです、伸二先輩の一個下でかなみさんの許婚です」
「……許婚!?」
由美さんがオーバーに驚く。
「はい、許婚です」
由美さんは「ふうん」と言ってかなみさんを見て……俺を見た。
「……えと、なんすか?」
意味あり気な視線に思わず聞くと由美グッと近くに寄ってきて、小さな声で話し始めた
「ちょっと、許婚ってどういう事よ」
俺も同じように小さな声で答える
「いや、俺に聞かれましても」
「あんたかなっちの事好きなんじゃなかったの?」
呼び方が『かなみっち』から『かなっち』に省略されている。何故だ?
「どうなのよ、好きなの?」
「いや、それは……まあ」
曖昧な返事をすると由美さんは大袈裟に溜息をついて
「そんなんだから中々進展しないのよ、許婚なんてぶっ倒すくらいの意気込みが無いと」
「いや、でも……」
「あのー、お二人さん」
由美さんの的確な責めに戸惑っていると後ろからあざや君が声を出した。
「その……そろそろ進みませんか?」
「うん、そうね。 さて、ぶどう飴はどこかしら!」
由美さんは俺の事など忘れたように先頭を歩き出した。




